(前ページからの続き)
——「効果的な練習方法」を教えてください。
- 「あったらずっとやってるけどな(笑)」
- 「ドラムだけで練習することもあるんですけど、まあリズム隊なんでベースの人と練習するようにしてるんですね。で、最近そのときに試しで練習しているのが、テンポ30を鳴らしてるときに、3つ入れたら三拍子、4つ入れたら四拍子っていうのを頭だけ鳴らしてチェンジアップしていくっていうのをベースの人と一緒にやるんですよ。これを8までやっていったら倍になるから、そこまでいったらまた戻していくっていう。要は先を読む力ですよね。今やってるリズムだけに集中すると絶対できないことなんで。三連符とか8分音符を一緒に流すんですよ。だから完全にカオス状態になってるんですけど、ハメるだけでハマるんですよ。で、それを何故二人でやるかというと、そういう難しいことをしながら、相手が何をしているかっていうのを聴く練習も入ってるからなんですね。っていうのを先輩のベースの人にこないだ教えてもらって、今やってるとこですね」
- 「13までやるらしいですよ(笑)。13って(笑)」
- 「あとはシングルストロークを持続させる練習っていうのもいいって聞くよね。1分間を120でずっとピアノとかフォルテとかで持続させるっていう。それをどんどん上げていって、世界レベルは最低300だって聞いたけど(笑)」
- 「シングルストローク300が最低!?えぐいっすね…(笑)」
- 「俺も挑戦したけど、血を吐きそうになったもん(笑)」
- 「僕たぶん200とかでわーってなりますよ(笑)。えー、300ですか?」
- 「そう、だから200が最低ラインで、世界の最低基準が300」
- 「ああ、なるほどね。じゃあクリス・デイブ400とかいくんですかね」
- 「いやあ800ぐらいいくんちゃう(笑)?」
- 「(笑)」
- 「なるほどね~」
- 「他になんかいい練習方法知ってるんやったら、教えて欲しいですけどね」
- 「僕が魚谷さんから教えてもらったのは、四拍目でメトロノーム鳴らすってヤツ。120やったらメトロームの四拍目だけを鳴らして、その位置を意識するように自分の中でやるっていうのも効果的っていうのを聞きましたけどね」
- 「それいいですね。私は基礎練やるときに一つのパターンでも、一個のテンポでちょっと出来たからと違ってやめるんじゃなくて、例えば長い30分単位とかで、その中でフォルテとかピアノとか混ぜていって。一つのフレームで完成ではなくて、自分はどこが弱いのかとか、自分の身体のバランスを見たりとか、そういう練習をしますね。一つのことを長く続けてやると、次は何をするべきかとかが見えてくるような気がするんで」
- 「効果的な練習方法ってあるんですかね?自分は…ただ叩いてるってだけなので。ルーディメンツだったらどれだけ早くできるか、とかそういう感じで。あとはまあ、毎日練習することですね。とはいえ、練習する人は毎日恐ろしいぐらい練習してると思うので、私なんてまだまだですけど」
- 「きっと毎日シングルストロークだけを8時間ぐらい練習しないと、バディ・リッチみたいにはなられへんもんなあ(笑)」
——「楽器のお手入れ方法」について
- 「まあ、自分の楽器はどういう状態かっていうのは把握してますけど。あんまり自分の楽器のことをよく分かってないっていう人も結構いますからね~、そういうのはちょっとどうかなって思います。ドラムってめっちゃシンプルなんですよ。だからネジ一本変えるだけで全然変わってくるんで、逆にそれがすごく面白いんですよ」
- 「うんうん」
- 「シンバルとか磨くんですか?」
- 「俺は磨くよ。日本は湿気が高いから、青錆がめっちゃ付くんだよね。外国は湿気が低いから、カラッとしてて青錆とかは付かないんだろうけど。だからまあ、軽くでも拭いて上げたほうがいいとは思うよ。そんなにキレイには拭かなくていいけど、軽く拭くだけでもその間に楽器のチェックもできるし。まあ、僕は楽器が好きな方だと思うし、人それぞれやけどね。全然拭かないっていう人もいますし。最初は響きすぎて少し錆付いてるぐらいがいい感じの鳴りになるっていう人もいますし、今の状態の音が好きなんやったらそれに合わせて拭く人もいますしね。十人いたら十人違うんじゃないかな」
- 「あー、確かに。僕はシンバルとかはあんまり拭かないですね。スネア片付けるときにスナッピー外すぐらいかな」
- 「(笑)」
- 「それめっちゃ気ぃ使ってるやん(笑)」
- 「(笑)いや、伸びたらあかんなーって。意外と高いですし」
- 「みさき、めっちゃ手入れするよな」
- 「いやあ…そんなことないですけど…まあ、一ヶ月に一回は全部の金属を磨くんですよ。リムとかスタンドとか、ドラムは金属多いから2時間ぐらいかかるんですけど(笑)」
- 「一時期運ぶときに軍手してたよな(笑)」
- 「あれは新しいドラムに指紋付けたくなかったんですよ(笑)。もう今は全然ですけどね」
- 「いやあ、でも自分の楽器に愛を持って接するっていうのは本当に大事なことやと思うから、それはすごいいいことやと思うけどな。拭くのも練習するのも、やっぱり愛ですよね」
——学生プレイヤーの皆さんへ一言!
- 「自分の視野を広めることですね。例えば学校で練習してるんだったら、外にセッションに行く。ジャズが好きなんだったら、それ以外のジャンルの音楽も聴くみたいな。いろんなものを見ていけば世界観が広がっていいと思いますね」
- 「うん、同じくですね。いろんなところに出て、いろんな経験をしていって欲しいと思います。そうしないと何も始まらないですしね。いいか悪いかは別として、いろんなところに行って、いろんな人と話せば自ずと広がっていくんで、怖がらずに一歩進んでみるっていうのが大事だと思います」
- 「そうですね、そういうのも大事だけど、好きなものをとことんやるっていうのがいいと思いますね」
- 「私はまだ学生なので、本当に大したことは言えないんですが…。まあ、経験として思うのは、いろんな人からアドバイスをたくさん貰うんですけど、極端に言うとまったく反対のことをアドバイスされることってよくあると思うんですね。そういうときに鵜呑みにするんじゃなくて、いくつもの意見を飲み込んで、自分なりに解釈できる人間になりたいなって思いますね」
- 「お、それ大事やと思うで。超有名なマーク・レヴィンの『ザ・ジャズ・セオリー』という本があるんですけど、最後のページに『人のアドバイスは必ず話半分に聞きなさい』って書いてあるからね。最後のページの右側の上の方に書いてありますから(笑)。あ、そうだ。ちょっと高いごっつい本ですが、ジャズ・セオリーは読んだほうがいいと思いますよ」
(Fine)