Jazz People
JiLL-Decoy association インタビュー
[第2回]『ジルデコ9~GENERATE THE TIMES~』収録曲解説
1.JiLL's Overture / 2.Starlight Generation

Interview
アーティストインタビュー by 山口哲生
1.JiLL's Overture
── 1曲目の「JiLL's Overture」は、ビッグバンドを招くのであれば、ファンファーレを作ってしまおうというところから始めたんでしょうか。
towada:そうですね。いまはアルバムの意味合いってどんどん薄れてきていると思うんですけど、最初にコンセプトをしっかりと伝える、こういうパッケージなんだよという印を作っておきたいなと思いまして、この曲を作りました。
2.Starlight Generation
── その流れのまま入っていく「Starlight Generation」はメロウでロマンティックな雰囲気で、ビッグバンドも参加されています。
towada:この曲に関しては、自分たちが憧れている90年代のジャズのコード進行やサウンド感を、(kubotaに)“作って”という無茶振りをしたところから始まりました(笑)。
kubota:こういう曲は好きなんですけど、それをどう歌モノに落としこむのか悩みました。ポップスとジャズの境界ギリギリの球を投げたいなと思っていたので。ちょっと難しく聴こえちゃうかもしれないけど、こういうサウンドはいつかやってみたいなと思ってはいたんですよね。
── 90年代のジャズでリファレンスされたものというと?
kubota:僕らが共通で好きなのは、ニコラス・ペイントンとか、ジョシュア・レッドマン、あとはウィントン一家の人たちとか。あの辺の世代に影響を受けていて。
towada:言葉が悪いかもしれないけど、ちょっとバブリーなイメージを感じるというか、ザ・ニューヨークの夜景みたいな感じというか。20代の頃って、夜景を見ながらかっこいいジャズを聴いていると、なぜか急に世界を語り始めちゃったりして(笑)。何に憧れているのかはわからないけど、何かに夢見がちになっていることってちょっと懐かしいなと思ったし、今の子たちってそういうことにワクワクしたりしないのなかと思ったんですよね。
kubota:確かに、若い頃に聴いていたジャズって、“背伸び感の象徴”というか(笑)。ちょっとよくわからないけどかっこいいから聴いてるみたいな感じがあった。
towada:今の若い子たちを見ていると、肩の力が抜けているのはかっこいいけど、そういう背伸び感をちょっと味わってほしいなっていうのを、正直ちょっと思っちゃったりするところがあって。そういう気持ちをちょっと込めてますね。歌詞にもちょっと口出ししちゃったりして。


── chihiRoさんとしては、歌詞はどう書いていったんですか?
chihiRo:私も夜景を見ると、“絶対に歌で成功してやる!”って鼻息荒めになっちゃう若者だったんですけど、今は夜景を見ると、私はこの社会の歯車のひとつになっているのかな……って結構切なくなっちゃったりするんですよ(笑)。逆に、田舎とかに行って星空を見ると、すごく綺麗だなと思ったりして。
towada:でも、その気持ちって自分が変わったのか、時代のせいでそう思うようになったのか、ちょっとわからないんですよね。たとえば、エネルギーのことを昔よりも考えなければいけないという意味では、夜景を見るよりも星空を見たほうが落ち着くのは、もしかしたら年齢じゃなくて時代のせいかもしれなくて。
chihiRo:確かにね。あれ(夜景)って、自分たちの親が作ったものじゃないですか。昔は“お父さん、こういうところで仕事してかっこいい!”って思っていたけど、自分が親になって子供たちに何を残すのかと考えたときに、星と夜景が共存できるような世の中を残せていけたらいいなと思って。2番からは今の私が見ているものを書いている感じになっていますね。
第3回へつづく──
Album
ジルデコ9~GENERATE THE TIMES~
JiLL-Decoy association
