MINATO RYOICHI / Support Amateur Big Band Event
社会人バンドイベントを支える。
今年で27回目を迎える西日本アマチュアビッグバンド連絡会(NABL)の定期コンサート、「NABL BIG BAND JAZZ FESTIVAL」。京阪神をはじめ、東は滋賀、西は広島と遠方か らの参加バンドも多く、さまざまなビッグバンドサウンドが楽しめると年々来場者も増えています。演奏はもちろん運営も初回から参加バンド自らが行い、多忙ななかでも素晴らしい演奏を毎年聴かせてくれます。社会人バンドが主体となったこのコンサートの立ち上げから今日にいたるまで運営に携わっているNABL理事長、港良一さんにこれまでのNABL BIG BAND JAZZ FESTIVALの歴史、そしてこれからの展望についてお話をうかがいました。
写真:港さん(右)と東京ユニオンバンドリーダーの高橋達也さん(左)。NABL jazz festivalには数々の有名ジャズプレイヤーもゲストで登場。高橋さんもその一人。
person
NABL ビッグバンドジャズフェスティバル総合責任者
NABL理事長 港良一さん
1944年香川県出身。明石で活動するメイトジャズオーケストラの元バンドリーダー。小学生の頃から楽器に親しみ、メイトジャズ時代は主にテナーサックスを担当。現在は本業のかたわら、西日本アマチュアビッグバンド連絡会(NABL)理事長、NABL BIG BAND JAZZ FESTIVAL総合責任者として活動しています。
NABL BIG BAND JAZZ FESTIVAL西日本アマチュアビッグバンド連絡会(NABL)
第27回西日本アマチュアビッグバンド連絡会コンサート「NABL BIG BAND JAZZ FESTIVAL」は2007年6月24日(日)に開催。
場所は神戸ハーバーランドセンターB1Fスペースシアター、入場無料。詳しくはNABL公式サイトまで。
ジャズファンにはおなじみの1981年から続くNABL BIG BAND JAZZ FESTIVAL。記念すべき第一回~現在までのパンフレットもすべて参加バンド有志による手作り。
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回
第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回
第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 第21回
第22回 第23回 第24回 第25回 第26回
interview
「レベル向上のための合同発表会を」メンバーとともに作り上げた第一回目。
1981年当時、メイトジャズのバンドリーダーを務めていた港さんが「バンドのレベル向上」にと考えたバンド交流会としての合同発表会がNABL BIG BAND JAZZ FESTIVALの原型。他バンドに話を持ちかけ、賛同は得られるものの実現は困難と実施にはいたらなかったそうです。転機が訪れたのは、発案から半年後のこと。
「カリフォルニア州立大学バークリー校の学生が日本に演奏旅行に来ることになっていて、関西方面で受け入れ先を探しているとのことでした。これはチャンスだと思って、その情報を入手した当時コンサートマスターの津野啓三さんと私は、受け入れの返事をしつつ、メンバー全員にも賛同を求めました。するとメンバーの一人が『みんなで一万円ずつカンパしよう』と言ってくれて、全員がそれに応えてくれました。このときの感動は今でも忘れません。
噂で知っていたさまざまなバンドリーダーの方に声をかけたところ、5バンドが応えてくれました。そして東京のローグスとカリフォルニアのバンドにスペシャルゲストとして参加してもらい、神戸国際交流会館メインホールで第一回目のコンサートを行いました。出演者にもお客さんにも一枚1000円の入場券を払っていただいたのですが、コンサートは大成功。来年からも続けていこうということになりました」
港さんがバンドリーダーを務めていた頃のメイトジャズオーケストラ
「コンサートへの熱意に勇気付けられた」仲間とともにコンサートをつくる喜び。
「二度目のコンサートを準備中、今回は出演辞退となっていたダンディデュークスさんより急遽直前に参加表明の打診がありました。出演をしり込みするメンバーに、バンドマスターの中村淳さんがコンサートの意義をメンバーに強く訴えたそうで、詳しいいきさつを聞いたときは本当に嬉しかったです。私以上にこのコンサートの実施に熱意を持った方がいるという事実とバンド一丸となっての協調体制は、このコンサートが軌道にのるまでの約8年間常に私を勇気付けてくれました」
その後NABL BIG BAND JAZZ FESTIVALは開催地と幹事長を輪番制にして続いていきます。しかし、毎年一度限りのステージの持ち時間が20分前後、参加の交通費は自己負担という事実に、港さんは提案者でありながらも常に心苦しさを感じていると言います。
コンサートを重ねるたびにNABLへの加入バンドも増え、自然と活動拠点も広くなっていきます。交通費だけでなく、ステージの持ち時間も短くなってしまいます。また、全体の技術レベルは向上しているにも関わらず、観客が限定されてしまうという問題点も出てきたそうです。これらの問題を解決すべく、参加バンドの活動拠点の中間地点である神戸での開催を決めました。
「私自身、神戸は馴染みのある土地。まず会場提供のご相談にハーバーランド情報センターにご相談しました。快く承諾いただけ、ハーバーランドでの第一回目のコンサートを行うことができました。当日の観客は約5000人という予想以上の集客で大成功と言える結果だったのではないでしょうか。観客にも施設の関係者にも喜んでいただけて、今後も震災10周年までは会場をお借りすることになりました。その後も神戸市をはじめ、行政と民間会社の支援をいただき10周年を超えましたが、ますます神戸での連続開催の声が強くなり、まだしばらくは神戸開催を続けることを決定しました」
 
第26回NABLビッグバンドジャズフェスティバルの模様
「友情や責任感を大切にしたい」これからのNABLコンサート。
もともとはバンドの技術向上と親睦を目的として始められたNABL BIG BAND JAZZ FESTIVALですが、今では神戸での連続開催は地域の活性化につながり、NABL会員以外の学生、社会人バンド、個人のジャズファンにも愛される存在に。
「社会貢献に寄与できているという評価をいただいてるのはとても喜ばしいことです。NABL会員も増えて、お客さんも増えてコンサートの規模は年々大きくなっていきます。いいムードではありますが、これだけの規模のコンサートを入場無料で継続するには当然経済的負担も大きいのも事実。予算の大部分は加盟バンドからの会費、ハーバーランド関係団体様からのご支援ですが、これですべてがまかなえるわけではありません。神戸を中心とした企業様にご協力いただいていますが、こえからも私たちは我々の活動を支援してくださる企業を切望しています。
とはいえ、やっぱり好きで始めたことですから苦労する反面、楽しさも人一倍。私が責任者というカタチにはなっていますが、グローバルジャズオーケストラの野々村さん、ウエストウインズジャズオーケストラの中田さんをはじめNABL関係者の多大な協力があってこれまで運営することが出来ました。また出演バンドはみんな仲間です。みんなで作り上げたコンサートを成功させる喜びは格別。これからもビッグバンドを愛する仲間で友情や責任感を大切にして、市民にも親しめる集いができることを目指しています」
特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People