(前ページからの続き)
——「効果的な練習方法」を教えてください。
- 「基礎練をひたすら、ですよ。ロングトーンとタンギングの練習をひたすら。それを端折るともう全然ダメですよ」
- 「難しいフレーズを練習するときにテンポ関係なく一音ずつさらってるのを見ると、めっちゃゆっくりでもいいからメトロノームを鳴らした方がいいよっていうのは言いたいですね。どんなに早い曲でも、絶対にこれならできるっていう遅いテンポから始めて、どんどん早いテンポにしていくと割りと効率的に難しい曲もできるようになると思うんですね。スローな曲はスローな曲なりの、ミディアムテンポならミディアムテンポなりの、早いなら早いなりの歌い方があるんで、それはすごくいいと思いますね」
- 「おお、勉強になります」
- 「そういうのも踏まえて、僕からは、今日自分が何の練習をするかを決めてから楽器を出すっていうのですね」
- 「ああ、それ!」
- 「そう、楽器出してから何練習しよっかなあっていうのでは、ウダウダして一時間、基礎練してから練習する曲決めて1時間っていうのはザラですからね。だから、今日自分が何を練習して、何をできるようになるかっていうイメージをちゃんと持ってから楽器を出すようにしてますね。そうすると一日終わった後も、何ができたかできなかったかっていうことも自分で分かりやすいので効率的だと思いますね」
- 「それは本当そうですね」
- 「社会に出てからの方が、時間がないというか、楽器を持つ時間が限られてくるんですよね。楽器を持つことはあってもレッスンとかライブとかで、自分のための演奏じゃない。で、家に帰ってきたらもう12時だ、でも15分くらい吹こうかなっていうときに、どんだけ効率のいい15分にできるかっていうね」
- 「わー、めっちゃ参考になります~。私とりあえず楽器出してました(笑)」
- 「そうですね、私トレーニングばっかりで楽器を吹くのが大変なんですよ。リップスラーとか延々やって一日終わっちゃったみたいな」
- 「本当時間ないよね。あ、僕今これ使ってるんですよ。アンブシュアっていう口の周りの筋肉、口輪筋を鍛えるピートっていう道具なんですけど、これやったら事務作業しながらできるんですよ。カッコ悪いけど家に帰る途中に咥えながら帰ったりとかね」
- 「効きます?それ」
- 「うん、ええと思うよ。僕、これでロングトーンの練習端折ってますもん。30秒ぐらいでプルプルするよ。意外と高いですけどね、まあ消耗品じゃないんで(笑)」
- 「それ、買います(笑)」
——「学生時代にやってて良かった!やれば良かった!」と思うことは?
- 「学校の勉強もうちょっとやっとけば良かったかな…」
- 「そうですよ!私それで大学に行くっていう選択肢なくなったんですよ!」
- 「それ、リアルなやつやな(笑)」
- 「そうですよ。もう本当に楽しくて音楽にのめり込み過ぎて卒業できないんじゃないかと言われるぐらいにヤバかったんで、しとけば良かったなって(笑)」
- 「うん、大学は良かったよ(笑)。まあ冗談じゃなく、今の人脈は大学時代に出会った人ばっかりなんで。あとサークルに入り浸りやったんで、大学時代にもうちょっと面白そうな授業受けとけば良かったとは思いますけど」
- 「あ、そうや。僕もサークルに入り浸りやったんですけど、その中でも僕はかなり硬派な考え方の人間で、皆バーベキューしようって言ってるのに『いや僕は練習するから』って(笑)」
- 「(笑)」
- 「サークルの皆は行ってるんですよ。先輩も後輩も。それやのに、僕一人だけ部室に残ってプーってロングトーンやってたりとかしてたんで(笑)、あのときバーベキュー行ってたら、今もうちょっといい曲書けたんちゃうかなって」
- 「ストラッティン・なんとかバーベキューみたいな曲をね(笑)」
- 「うん、今僕思うのは自分で作る曲っていうのは、今まで自分が見てきた風景とか生活とかから来ていて、音楽とはまったく関係ない他の経験が大事なんですよ。バーベキューだけじゃなくて、打ち上げの飲み会もボーリングも、僕は行かなかったんですよ。それに参加しとけばもっと豊かな曲が書けたんじゃないかなって。音楽だけじゃなくて、なんでもやっとけば良かったなって」
- 「私も全然行かない派だったんで、それはよく分かりますね。まあ行ったら行ったでアレなんですけどね(笑)」
- 「そうそう、急に行くから入れなくて『行かんかったら良かった!』ってなって、また行かなくなるんですけど(笑)」
——学生プレイヤーの皆さんへ一言!
- 「楽しくやって欲しい」
- 「そうですよね」
- 「うーん、やっぱりねプロミュージシャンて金銭的な面で上手くいってないなって自分で思いがちなんですけど、そうじゃなくてもっといいところ見て楽しい方向にいってほしいなとは思いますね。本当に金銭的に辛いこともあると思うけど、音楽ってそれだけじゃないというか、いろんなものを得られるものなので、それを考えてやっていって欲しいなと思いますね」
- 「まあ僕達もプロミュージシャンとして恥ずかしくないように、今頑張ってる身なんですけども、頑張るって決めたら一緒に頑張って行きましょう」
- 「楽しいのはもちろんだけど、僕は真剣に音楽をやっているし、真剣に自分の音楽を作ろうと思ってるんで、やろうと思ってるんだったら真剣にやってほしいよね。プロとアマチュアの違いって、プロ意識やと思うんですね。アマチュアにも上手い人はいっぱいいますけど、やっぱり覚悟の上で違いますよ。僕の友達でプロドラマーがいて、腕を骨折してビッグバンドの練習に来なくなったんですよ。で、トラでアマチュアの人が練習に来てくれてたんですけど、その人は全然来ない、本番はその人が叩くのに。それっておかしくて、プロなんやったらやっぱり、自分が叩けなくてもきっちり練習を見て、練習に参加するのが僕はプロやと思うんですね。そんな人には僕は背中を預けられないっていうか、それはプロじゃないよねって思います」
- 「出された仕事はきっちりとやりましょう」
- 「そうそう、そうすれば結果は絶対楽しいんで」
(Fine)