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スタジオfの録音レポート

no.36
Chika Kitamaki
北牧チカ

北牧チカさんに、練習法などなどをお伺いしました。

●練習法、喉-体調などの管理法や気を使っているところなどをお教え下さい。
日常の中で話す声も、喉に負担のないよう正しい発声を心がけています。違和感を感じたら極力休めるようにしています。
●ご自身の歌や声のアピールポイントはどういったところでしょうか?
微量のビブラートが混ざったような声や、ファルセットを出すときも強い音色がだせるところでしょうか。
●今後やっていきたいジャンル、発声法などこれからの取組みについてお教え下さい。
民謡やクラシックなど伝統的な発声法も学んでみたいです。
●特にお気に入りだったり、おすすめのヴォーカリストをお教え下さい。
エラフィッツジェラルド・ディーディーブリッジウォーター・ダイアンリーブスです。
●その他、ヴォーカルに関する日頃想われていることなどお教え下さい。
上手に歌うことも大切ですが、いい歌を歌うということをより大切にしています。どうすれば胸に届く歌が歌えるか、これをいつも考えて取り組んでいます。

レコーディングの感想

●今回のアルバム制作のきっかけは何でしょうか?
2015年神戸JVQCで富士通テン賞を受賞したことがきっかけです。
●このアルバムの制作に対する想い、意気込み、狙いの音、などを教えて下さい。
ジャズに馴染みのない方にも聴いていただけるような作品したい、その想いを、音作り・選曲・ジャケットのデザインにも反映させました。
●このアルバムのコンセプト的なものはありますか?あれば教えてください。
タイトル『Spring Blooming』は春の訪れ・めばえという意味。冬から春に向けて新たな命が芽吹く。この作品を機に今までの自分からまたひとつ新しい自分へステップアップしていく、そんなコンセプトを設けました。
●今回のメンバーの方々との演奏は何年くらいになりますか?
プロデューサーの愛川さんとはご一緒してから4年目になりますがそのほかのメンバーの皆さんはほぼ初対面でした。
●今回のメンバーでのアルバムは何枚目でしょうか?
1枚目になります。
●メンバーの方々の特徴や役割みたいなものはありましたか?
愛川さんはすべてにおいて完全なるプロデューサータイプ、荒玉さんは超癒し系、たかのりさんは会話や気配りでいつも空間を和ませてくれる存在、ぱくさんは的確なアドバイスをくれるもう一人のプロデューサーのような存在。岡本さんのセンスと若さあふれる区荒くたーにはいつも元気をもらいました。彩さんとは一度しかお会いすることがなかったのですが、同い年で家がとっても近かったので、レコーディングを機に友達になりました。
●レコーディングに向けてリハーサルはどの程度されましたか?
顔合わせとしてライブを1回、リハーサルは1回。
●レコーディングはどんな風に進みましたか?感想やエピソードなどを教えて下さい。
バンドメンバーのレコーディングはとても順調に進みましたが、ボーカル録りで苦戦しました。声が変わってしまったり、歌い方や表現がイメージと違ったり・・・予想以上に苦戦しました。
●ミックス/マスタリングはいかがでしたか?難航したりは無かったでしょうか?
ミックス/マスタリングではエンジニアの長島さんの腕と愛川さんの耳にすべてをゆだね、とても順調に進みました。
長島直乗さん(レコーディングエンジニア)
Drum WBass Ggt Cla Pf Vocalと、最大同時編成6人!アコースティックな楽器ばかりで、ブースはドラムとボーカルで使用したので、ベース、ギター、ピアノは同じ部屋での録音でした。当然同じ部屋に楽器が3つ有ると、他の楽器の音が他の楽器のマイクに被る訳ですが、これが多過ぎると、'その'楽器の音がボヤけますし、少な過ぎると'その'楽器の音が妙にリアルなサウンドになったり、妙に近い音になってしまうので、各楽器の距離やら、マイクの向きは色々と思案しました。やはりガットギターが音量が小さいので、特にガットギターの周囲は布だったり、簡易パーテーションを置いたりの調整をしました。アレンジが良くないと、ミックス時にオケに歌が乗りにくくなり、色々と細かい調整が必要となってくるのですが、ギターの愛川さんのアレンジも非常に素敵で、後日にチェロまでダビングしていますが、ミックスでは音色の調整がメインで、細かい調整はほとんど無くても歌がしっかりと前に出てきていました。ミックスでは、歌が引き立つように、オケは奥行きと広がりを重視しております。昨年、Fujitsu ten賞を受賞された北牧チカさんの魅力を最大限に引き出すようなアレンジやミックスになっているかと思います。

アルバムの紹介

「Spring Blooming」
活動4年目にして、2015年神戸新開地ジャズボーカルクイーンコンテストのファイナリストに選ばれ、富士通テン賞を受賞した期待のジャズボーカリスト北牧チカ 待望のファーストアルバム『Spring Blooming』??ブラックミュージックに影響を受けた伸びやかで表現力豊かなボーカルが、プロデューサーとしても支持の厚いマルチプレーヤー愛川聡の独創的かつ躍動感のあるアレンジによって、より深く鮮明な色彩を放つ。 ??参加ミュージシャンは総勢6名と最近では珍しく聴きごたえのある構成。ギター 愛川聡・ピアノ ぱくよんせ・ベース 荒玉哲郎・ドラムス 岡本健太・クラリネット 鈴木孝紀・チェロ 夏秋彩といった、ジャズ・ラテン・クラシックなどそれぞれの分野で活躍する関東・関西の人気プレーヤーが集結。実力と個性を兼ね備えた盤石のプレイが作品の完成度を高めている。収録曲はスタンダードナンバーからポップスナンバーも含めた全9曲。個性的なアレンジと北牧チカのハートフルな歌声が絶妙な世界観を作り出している。

1stアルバム「Spring Blooming」

今回の録音レポートは2015年 神戸新開地ジャズヴォーカルクィーンコンテストで富士通テン賞を受賞された北牧チカさんのファーストアルバム『Spring Blooming』でした。
初日の午前11:00にはセッティングも完了し、20分程度の軽いサウンドチェックとリハーサル後、一気にベーシックトラックの録音が開始されました。昼食もはさみながら初日は5曲分のベーシックが完成。2日目の朝は10:00過ぎからのスタートとなりました。録音作業のあいだは、微妙なニュアンスのチェックやコードの変更など緊張感の連続でしたが、お昼の休憩などは皆さんとても楽しく、メリハリのある録音でした。2日目の17:00には、ほぼ全てのベーシックトラックの録音が終わり、愛川さんのギターソロパートを追加して完成となりました。残りの日程で、じっくりとヴォーカルトラックの追加を行い、丹念にミキシングされ仕上げられました。絶妙なアレンジと伸びやかな歌声、聴き応えある演奏と空気感を感じるサウンド。『Spring Blooming』のタイトルにふさわしい華やかなアルバムになったのではないでしょうか。

Album Info.

「Spring Blooming」北牧チカ

  1. 01.
    I'm old fashioned
    3:32
  2. 02.
    Destination moon
    5:01
  3. 03.
    Gravy waltz
    4:01
  4. 04.
    4:28
  5. 05.
    You and the night and the music
    4:12
  6. 06.
    And I love you so
    4:39
  7. 07.
    Alone again
    4:04
  8. 08.
    I will wait for you
    6:23
  9. 09.
    The water is wide
    4:00

Live Info.

2016年7月30日 京都Candy 『Spring Blooming』発売記念ライブ
2016年7月31日 大阪Mr.Kellys 『Spring Blooming』発売記念ライブ

Member Info.

  • 北牧チカ(ヴォーカル)
    16歳でゴスペルに出会い、Sandi Blairのクワイアに参加したことを機に本格的にシンガーとして活動を開始。大阪音楽大学入学を機にジャズと出会い、ブラックミュージックに影響を受けた伸びやかで自由なボーカルを活かし、ドラマー 宮川彪氏・トランペッター 奥田章三氏・ベーシスト 魚谷のぶまさ氏・サキソフォニスト 鈴木央紹氏・ピアニスト 西山瞳氏・K-106など多数のミュージシャンとライブやレコーディングなどで共演を果たす。その後、10年間の活動休止を経て、2011年より活動を再開。ピアニスト 宮下博行氏に師事し音楽理論などの基礎を学ぶ。大阪のみならず神戸にも活躍の場を広げ、2015年神戸新開地ジャズボーカルクイーンコンテストにて富士通テン賞を受賞。同年9月には日本を代表するベーシスト 納浩一氏との共演が実現、東京にも活動の場を広げるなど精力的に活動中。2016年5月に自身初となるアルバム『Spring Blooming』を発売。
  • 愛川聡(ギター)
    青山学院大学卒業後、Jazz&Latinの演奏家として日本全国をはじめ海外でライブ活動を行う。水前寺清子・m-floのLisaなどの著名アーティストのサポート及びレコーディング、映画音楽及びNHKの映像音楽への参加、楽譜の出版など活動内容は多岐に渡る。自身もアーティストとして活動しており、リーダーと作曲を担当する篠笛とのユニット「竹弦囃子」のアルバムはNHKをはじめ各メディアにてオンエアされると共に全日空国際線の機内BGMにも使用される。2012年から大阪にも拠点を設け、西日本での演奏活動も展開している。2013年8月には世界遺産・高野山での奉納演奏。11月には外務省の主催でカナダ3都市での公演を行う。
  • ぱくよんせ(ピアノ)
    6歳からクラシックピアノを習い始める。洛星高校入学と同時にオーケストラ部に入部。コントラバスとヴァイオリンの演奏に熱中するとともに、クラシック音楽に傾倒する。同志社大学入学と同時に軽音楽部に入部。ジャズに出会う。卒業後、大阪市立大学大学院進学を機に大阪での演奏活動を開始。同時に同大学のジャズ研究会にて多くのジャズ愛好家に出会い、多大な影響を受ける。2009年大学院退学と同時にプロに転向。関西地方のジャズクラブ等で演奏を開始。その後ドラマー平山惠勇に認められ活動の幅を広げる。2012年7月、短期間の渡米。トランぺッターMelvin Vines氏、James Zoller氏らとのセッションを経験。帰国後ギタリスト山口武のバンド「山口武&Cooldogs」に参加しFM大阪の「Cool Struttin'」に出演。好評を博す。2014年12月、”With 9 Singers”をリリース。独自のアレンジと企画の斬新さで好評を博す。2015年、拠点を東京都内にうつす。現在、東京都を中心に日本全国で演奏を行っている。
    圧倒的なテクニックと高い芸術性を併せ持ち、ピアノから美しく輝かしい音色を引き出す独特のタッチは比類ない。ベテラン、若手を問わず多くのミュージシャンから厚い信頼を得ており、今もっとも注目されているジャズピアニストの一人である。これまでにLewis Nash、山口武、平山惠勇、多田誠司、Geila Zilkha、水野正敏、竹中俊二、Gregg Lee、矢野沙織らの著名なミュージシャンと共演。また、演歌歌手藤堂あきこのサポートや仲代奈緒の朗読劇『大切な人』の音楽を担当するなど活動の幅は広い。レコーディングにも多数参加している。
  • 荒玉哲郎(ベース)
    87年竹下清志氏のグループに参加、ミッキー・ロウカーやオテロ・モリノウらと共演し94年より単身渡米。帰国後はルイス・ナッシュやミゲル・アンヘル・バルコス等、国内外のミュージシャンと多数共演し綾戸智絵をはじめ様々なレコーディングに参加。05年アルゼンチンを訪問し大統領官邸にて演奏会を行い好評を博す。08年ドイツ総領事の招待によりデュッセルドルフ等四ヶ所で演奏会を行う。09年全曲オリジナル・アルバム「ヘーザ」を発表。10年ウラジオストク・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルに出演。11年なにわ藝術祭ジャズ大賞受賞。現在は演奏活動の傍ら大阪芸術大学にて後進の育成にも力を注いでいる。
  • 岡本健太(ドラムス)
    1989年生まれ。天理大学在学中にBig Band Jazzを始め、ドラムを担当し、山野BIG BAND JAZZ CONTESTにて、敢闘賞受賞。卒業後はDrummer,Percussionistとして、様々な著名アーティストのツアーサポート、コンサートやディナーショー等、年間200本以上のステージやレコーディングに参加している。金沢JAZZ competitionにてグランプリ受賞。現在は、「熱帯JAZZ楽団」「オバタラ・セグンド」「The Symphony Hall Big Band」「BANDA LIBRE」等のレギュラーバンドの他、free-lance Drummer,Percissionistとして、アーティストサポートやセッションライブなどで活動中。
  • 鈴木孝紀(クラリネット)
    大阪音楽大学音楽学部クラリネット専攻卒業。卒業後、大阪市消防音楽隊クラリネット奏者を経てクラシック奏者として、室内楽やオーケストラなど多数のコンサートに出演。ジャズミュージシャンである家族の影響を受けてJazzに傾倒し、演奏活動を開始。2006年には、民族音楽とジャズ、室内楽を融合させたユニークなユニット「トラヴェルセ」に参加しアルバム「バルカン・サンバ」をリリース。現在、ジャンルを問わず様々なミュージシャンとの共演を重ねライブ活動を行う他、アーティストのCDへの参加をはじめ、USEN放送やCM音楽、その他のスタジオワークも精力的に行う。2015年、自身のTrioで鈴木のオリジナルを収録したリーダーアルバム「COLLAGE」をリリース。クラシックを踏襲してきた鈴木ならではのウォームで芯のある音色とジャンルにとらわれない独自のスタイルで、新たなクラリネットミュージックを展開している。
  • 夏秋彩(チェロ)
    10歳よりチェロを始める。東京芸術大学附属音楽高校、同大学、大学院を卒業後、関西フィルハーモニー管弦楽団に入団し、8年間在籍。室内楽においては「プロジェクトQ」「JTが育てるアンサンブルシリーズ」「ミュージックマスターズinかずさ」「シモンゴールドベルク記念音楽祭」「アフィニス夏の音楽祭」などに参加、出演。また、「原村リゾナーレ室内楽セミナー」にて”緑の風音楽賞”を受賞。現在はフリーのチェリストとして活動中。これまでに河野文昭氏、向山佳絵子氏、山崎伸子氏、苅田雅治氏の各氏に師事。