スタジオfの録音レポート

Kanki Inoue

井上歓喜

no.11

サックスプレーヤー井上歓喜さんのオリジナル曲を集めた1stアルバム。

今回は2012年2月に発売したばかりのサックス奏者井上歓喜さん率いるバンドThe jubilaxのCD「It's mine」のレコーディング風景をお届けします。普段はさまざまなバンドのサポートやライブ活動などでそれぞれ活躍するメンバーが集まった今回のアルバム、井上さんにとっては初のリーダーアルバムであり、初めてのインストゥルメンタル集でもあるのだそうです。
「今回のアルバムは、自分の曲の中でもエレクトリックな曲を中心にライブでも頻繁に演奏する曲を収録しています。自分の作ってきた思い入れのある曲を今このタイミングでCDに残したいと思い、最初は見切り発車でしたがたくさんの方々の協力のもとで完成に至りました。あえてカバーは入れずにオリジナルだけをいれてますので、たくさんの方々に井上歓喜の、The jubilaxの音楽を聴いていただければと思います」と井上さん。そんなThe jubilaxの魅力がたっぷりと詰まった今回のアルバムはどのように制作されていったのでしょうか。


初めてながらも和気あいあいとした心地良い雰囲気で進んだ録音。

今回のレコーディングは井上さんにとっては初めてのインストゥルメンタル曲の録音。「初めてでよく分からない」とおっしゃりながらも、演奏の絶妙なタイミングや、ミキシングでの音色や音の奥行き感など、じっくりとこだわって制作されていました。
「今回のCDを作るにあたって、最初に考えたのは“ライブで表現できることしかレコーディングしない”ということ。重ね録りをあまりせず、豪華になりすぎないように心がけました」という井上さんの言葉どおり、シンプルな構成ながらも、楽曲の持つ魅力を最大限に引き出すことに成功しています。
また、メンバー同士がとても仲が良く、レコーディング中はとても和気あいあいとした空気に包まれていました。「僕自身は、初めてなことが多くてテンパリすぎていてあまり記憶がないのですが(笑)、ちょうどレコーディングの時期にキーボードの半田がコンテストでグランプリを受賞して、レコーディング中は彼を『最強』と呼んでいたのを覚えています。その半田はカードマジックが得意で、僕とエンジニアさんが真面目な話をしている後ろでマジックショーが行われていたりして、変なレコーディング風景だったのではないでしょうか(笑)」とお話いただいたように、和やかな雰囲気で進行していたのが印象的でした。

ミックス終了後、レコーディングの感想を聞いてみました。

井上歓喜さん
今回はエンジニアの長島さんにはたくさんの注文をしてしまい、ご迷惑をおかけしました。ですが、そのお陰でミックスの半ば頃から音がガラっと変わってきました。特にサックスの音のこもりに関してすごく良くなり喜んでいます。
各曲は聴く人のさまざまなシチュエーションに合いやすく、各曲の雰囲気が違うので飽きにくく長く聴いてもらえるのではと思っていますし、作り手としてそう願っています。

長島直乗さん(レコーディングエンジニア)

打ち合わせの段階でリーダーの歓喜さんが「ライブで再現できないことはしません」とのことでしたので、サックスのエフェクターのかかっている曲は、録音段階からのものです。生演奏を大切にした、アコースティックよりなフュージョンということで、ギターもベースもアンプを鳴らしての録音でした。各楽器のサウンドのマイクへの被り込みに注意しながらの、楽器の配置とマイキングをしています。
ミックスダウン時は、メンバーの皆さんがそれぞれ録音段階で音をしっかり作り込んでくれていたので、サウンド面ではそんなに悩むことなく進みました。
歓喜さんのリーダーアルバムですが、「楽器のバランスはあくまでみんなが同じくらいの立ち位置」とのコンセプトでバランスをとってあります。そこから生まれるユニゾンのフレーズの一体感が心地良い仕上がりになってる作品だと思います。

ライブ会場に足を運びたくなる、The jubilaxの1stアルバムIt's Mine。

井上さんにとって初のリーダーアルバムとなるこの「It's Mine」。タイトル通り、どこを切っても井上さん、どこから聴いてもThe jubilaxの若々しく新しい魅力のつまった楽曲ばかりです。まるで歌声のように、楽曲に合わせて雰囲気の変わるサックスの美しい音色とぴったり合ったバンドの空気感がとても心地良い一枚となっています。
「ライブで再現できないことはしない」と井上さんがおっしゃったように、アルバムを通してライブの雰囲気も伝わってきて、CDのみならず「生で聴いてみたい!」という気持ちにさせてくれます。The jubilax珠玉の一作目、ぜひお聴き下さい。

Album Information

It's mine/The jubilax

関西を中心に活躍する井上歓喜率いるバンドThe jubilaxのファーストアルバム。これまでライブで演奏してきたオリジナル曲の中でも特に思い入れの強いものを集め、新たにレコーディング。シチュエーションを選ばずに、いつでも聴きたくなる一枚。全8曲。
[¥2,500(税込) 2012年2月より全国にて発売中]

Member Information

井上歓喜さん (Sax)
大阪音楽大学音楽専攻JAZZコース卒業。河村英樹氏、土岐英史氏に師事。卒業後、パーティや結婚式等での依頼演奏やバンドサポート、レッスン等の活動を開始。2007年オリジナルバンド「KIKUKA」で活動開始。初めて名古屋、東京、北海道のツアーを遂行、2008年解散。2010年NHK神戸放送生出演。2010年大阪国際会議場、つるの剛士LIVE TOUR『つるーリング2010』ブラスセクションで参加。2011年サンケイホールブリーゼにて加藤ヒロユキ 華麗なる映画音楽の世界出演
http://hapikan-sx.historie.jp/

船冨光曜さん (Guitar)
大阪府生まれ。ミュージシャンである父親の影響でブルース、ジャズなどの音楽に興味を持つ。高校時代より独学でギターを始め、地元のライブハウス,Barなどを中心に演奏活動を開始。バンド活動では2003年にTeen's Music Festival 関西・沖縄大会でTeen's大賞を受賞。2007年にバンド KIKUKAを結成し、その翌年北海道ツアーを行うなど、精力的な活動を展開。現在は関西を中心に講師・演奏活動を行っている。指弾きでの演奏を信条とし、様々なジャンルの音楽を取り込みながら現在も独自のプレイ・スタイルを模索中。
http://blog.livedoor.jp/goshi9/

半田彬倫さん (Keyboad)
4歳よりバイオリンを始める。1999年、アメリカミネソタ州のユースオーケストラの大会にて優勝、ソリストに選ばれる。2000年、関西子供のための音楽コンクール、バイオリン部門小学3、4年生の部にて金賞及び奨励賞を受賞。2002年、毎日学生音楽コンクール小学生の部大阪大会にて入賞。高校2年生でキーボードを本格的に学び出し、ジャズやファンク、フュージョンなどに出会う。在学中、本校ライブにてベストキーボーディスト賞及びベストバンド賞を多数受賞。第5回Music Revolution予選にて、フュージョンバンドでオーディエンス賞を受賞。また第3回Music Revolutionでは大阪FINALに進出。現在、バンドやサポートでのライブ活動、バーや結婚式での依頼演奏やレッスン等で、京都・大阪を中心に活動中。

荻野哲史さん (Bass)
15歳よりベースを始める。MI Japan大阪校Bass科卒業後Bass科講師へ就任。講師業と共に京阪神で活動。5年間関西で活動した後、念願の渡米。L.A.Music.Academyへ入学。エド・ルーシー(スティービー・ワンダー、バディ・リッチビックバンドetc..)フセイン・ジェフリー(L.A ALL STARS、セルジオ・メンデス、デイブ・ウェックルetc)に師事。在学中、ハリウッド近郊のレストランやカフェでの演奏などで経験を積み1年3ヶ月の留学生活を終える。帰国後、Tb奏者河野広明と共にjaz'pressoを結成。2007年にアルバム「.JP」でデビュー。タワーレコードの邦楽Jazz部門でTop10入りを果たす。現在はESPエンタテイメントBass科講師として教鞭を取りながら関西を中心に活動中。WOWOWのネットラジオAZステーションで全国インディーズバンド紹介の音楽番組「音種」にてパーソナリティを務める。
http://soul-searching.gonna.jp/

渕雅隆さん (Drums)
大阪生まれ。15歳でジャズビッグバンドに入部しドラムを始める。甲陽音楽学院に入学。在学中から関西でプロ活動を開始。関西での活動の後、上京。熊谷徳明、岩瀬立飛に師事。フュージョン、ジャズ、ラテン、ロック、ポップス等、ジャンルを問わないスタイルで活動。Allen Hinds.宮崎隆睦.佐藤達哉.古谷充.河野啓三.古川初穂.納浩一.田中晋吾.日野賢二.下野人司.SILVA.Jay.~等と共演。現在、関東関西を中心に、アーティストのサポートや、ライブ活動を中心に活動中。
http://fuchim.web.fc2.com/