スタジオfの録音レポート

Yoko Sakai

阪井楊子

no.10

ソウルフルな歌声が素晴らしい、阪井楊子さんのセカンドアルバム。

今回は2011年11月に発売されたジャズボーカリスト阪井楊子さんのセカンドアルバム「So Many Hearts」の録音風景をお届けします。阪井さんがスタジオfで録音するのは2009年にリリースされたファーストアルバム「Special Fragrances」に続いて今回で二回目。「スタジオfは前回のアルバム録音でもお世話になりましたしよく知っているスタジオ。今回のアルバム制作のコンセプトとも音の感じがとても合っていて、絶対に上手くいく!と確信していました」と阪井さんから嬉しい言葉をいただきました。
セカンドアルバムは「今回のレコーディングにあたって一番想いを込めたことは、お聴きくださる皆様に明日へのパワーや心の安らぎをお届けしたいというところです。一年前、『私の歌でできること、それはやはり皆さんにパワーをお届けすることだ』と自覚しました。それから歌唱法を研究しなおし、現在に至りました。今の自分の歌で、誰かの幸せのお手伝いができたら、こんな幸せなことはありません」という阪井さんの思いが詰まったもの。演奏も阪井さんが心から信頼できるというメンバーを集めた渾身の音楽となっており、レコーディングにも期待が高まります。


心地よい緊張感がいい音を生む、ジャズならではのレコーディング。

レコーディングはジャズのアルバムらしく、個々の録り直しがきかない一発録音で行われました。誰かが失敗すると最初からやり直すことになるのでプレッシャーも大きく、緊張感もありますが、だからこそライブ感に溢れたリアルな音を奏でることができます。「適度な緊張はもちろん必要ですが、音楽で人に安らぎやパワーを感じていただきたいと思っている私が緊張でカチカチの歌を歌ってしまっていたらもともこもないので…。レコーディング中ずっと温かく見守り、サポートしてくださるスタジオfスタッフの本島さんと浜田さん、そしてエンジニアの万波さん、アシスタントの野間さん、すべてが私のコンディションを最高のものにしてくださったと思います」と阪井さん。
「演奏で重要視したのは、メンバー全員のテンションがひとつになっているか、全員のバランスがとれているかということです。私のCDですが、たとえ自分的に不出来なところがあっても全体が最高にひとつになっているならOKテイクとしました」というお話のとおり、録音風景はまさにライブそのもの。なかでもピアノとのデュオ曲にいたっては、自然な響きを積極的に活用した音作りを目指して、スタジオ内でもっとも響きが豊かなステージ上に配置されたピアノのすぐそばで阪井さんが歌う姿はコンサートの一幕のようでした。その他の曲も、スタジオの自然な響きを活かしながら音の解像度を意識した楽器の配置や遮音処理によって、そのリアルな音が作られていきました。
「So In Loveをお昼休みをまたいで2テイク録音しました。おなかが空いたら声が出ないのは知ってましたが、空腹時と食後では声の質感も量感も全然違うんだと知りました(笑)」というボーカリストならではの発見もお話くださいました。

ミックス終了後、レコーディングの感想を聞いてみました。

阪井楊子さん
今回のこのコンセプトのもとにレコーディングするには、心から信頼でき、あうんの呼吸で演奏できるミュージシャン仲間との共演は必須でした。息の合った5つの楽器がひとつになってひとつの方向を向いた時こそ、聞き手の方に最高のパワーや温かさを感じていただけるのだと思います。
レコーディングのときにお話ししたとおり、全体が最高にひとつになっているテイクを採用しているので、メンバー個々では気になるところもそれぞれあるのだと思いますが、全体的には全員が「めっちゃいいアルバムができた!」と思っています。だから自信を持って、皆さんに是非聴いてください!と言える一枚です。

万波幸治さん(レコーディングエンジニア)

今回のアルバムは選曲、アレンジともにバラエティに富んだ内容で、そのどの曲においても阪井楊子さんの歌声のダイナミクスを十分に活かした仕上を意識しました。ステージでの歌声を聴かれたことのある方なら説明は不要だと思いますが、阪井さんの歌の魅力は明るく元気な発声がまず印象的で、また、それとともに繊細な息づかいからのグッと飛び出す強いダイナミクス感がものすごいのです。ですから、今回のアルバムにおいてもその魅力が十分にお聴きいただけるように工夫しました。どの曲も歌と演奏との押し引きの調和が素晴らしく、曲調ごとでの楽器バランスを楽しんでいただけると思います。
また5曲目に収録されているA Timeless Place(The Peacocks)では唄とピアノのシンプルなデュオ形式でありながら、絶妙な音の響き合いはダイナミクスと共に音楽の持つスピード感を、分かりやすく感じることができるでしょう。

パワフルかつハートフル、渾身のセカンドアルバム。

アルバムのタイトルにもなっている「So Many Hearts」は歌声で人々にパワーを届けたいという阪井さんの願いがこめられたもの。そのコンセプトを表現した2曲が1曲目のFor Once In My Lifeと最後のLibertyです。この曲順は選曲の最初の段階から決まっていたそうで、アルバム全体を通して聴くとより一層阪井さんの思いを感じることができます。ダイナミックでソウルフルな阪井さんの歌声と各メンバーの演奏が絶妙で、まさに聴くたびに元気が湧いてくるようなコンセプト通りの作品に仕上がっています。
アルバム制作までに歌唱法を研究しなおされたとおっしゃる阪井さんのダイナミックでリアルな歌声を、是非お聴きください。

Album Information

So Many Hearts/阪井楊子

ソウルフルな歌声で人気を博す阪井楊子のセカンドアルバム。
「明日へのパワーや心の安らぎをお届けしたい」というコンセプトで作られた本作はまさにパワフルでハートフルな曲ばかり。
演奏には前作同様サックス奏者栗田洋輔、ピアニスト大野綾子らが参加。全11曲。
[JKY-1002/¥2,500(税込) 2011年11月より全国にて発売中。]

Member Information

阪井楊子さん (Vocal)
幼少のころからピアノを学び、祖母、母の影響でジャズ、映画音楽を聴いて育つ。ジャズ界の重鎮、アルトサキソフォン奏者の古谷充氏に師事。自己のグループであるスペシャル・フレグランス、YOU‘s Quintetのほか、ヴォーカルデュオユニットGee-Baby、関西歌ものバンドに参加。ソウルやファンクなど様々なジャンルの音楽も手がけている。第7回神戸ジャズヴォーカルクイーンコンテスト準グランプリ受賞。FM COCOLO(76.5Mhz)「KINCHO presents Come Rain, Come Shine~楊子・クリスの雨にぬれても!」にてパーソナリティーを勤める。
[今後のライブスケジュール]
・2月3日(金)西本町・フリーダム
・2月9日(木)堂島・クレッセント
・2月24日(金)京都花園・双園(レコーディングメンバーでのライブ)
・2月25日(土)京都祇園・キャンディー
・2月27日(月)梅田・ミスターケリーズ(北野タダオとグレイビー8)
詳細などは以下のウェブサイトをご参照ください。
http://yoko-jazz.com/ http://blog.goo.ne.jp/yokosing/

栗田洋輔さん (Sax)
テナー・ソプラノサックス奏者。同志社大学軽音楽部在籍時代に自ら率いるビッグバンドが全国大会で2年連続優秀賞、個人の部でも優秀ソリスト賞を獲得。ボストン・バークリー音楽院に入学、サックスや作編曲等を G・ガゾーン、T・ピース、S・ロシンスキ氏らに、スピリットをW・ビーズリー、小曽根真氏らより学ぶ。在学中はアメリカを本拠地として演奏活動を行うほか、参加フラメンコアルバムが世界盤になるなどジャンルを越えた音楽家達と交流・共演を重ねる。帰国後、自身初のアルバム Sleepin' Sheepをリリースし海外流通を果たす。国内でもJazzLife誌等にて中抜きで紹介されるなど話題を呼び僅か一年で完売。現在はライブやレコーディングアーティストとして精力的に活動を繰り広げている。
http://www.yosukekurita.com/

大野綾子さん (Piano)
ピアニスト。幼少のころよりクラシックピアノを習う。大学卒業後、就職と同時にジャズに出会い、ジャズピアノを藤井貞泰氏に師事。退職後2001年頃より音楽活動を始める。現在は、京都を中心に関西でさまざまなバンドやセッションに参加、活動の幅を広げている。
http://ayatin1129.blog31.fc2.com/

西川サトシさん (Bass)
ベーシスト。1964年大阪生まれ。奈良在住。大阪府立東住吉高校ブラスバンド時代からジャズを始め、関西学院大学軽音楽部に所属し、その頃からプロ活動を始める。数回のニューヨーク滞在で本場のジャズに触れる。数多くのセッション経験があり、ウィントンマルサリス(tp)やスティールドラムのオテロモリノー、中山正治(dr)など多数にわたる。最近はアルトサックスの大御所、古谷充氏率いるネイバーフッドビッグバンド、氏の息子光弘(ts)氏とのサンダーバーズやアコースティックトリオに所属し、トランペットの唐口一之カルテットやピアノの清水武志氏の地球防衛隊にも参加している。最近はラテン音楽に興味を持ち、カルロス菅野(per)熱帯トロピジャムなど幾つかのセッションに参加している。
http://satobaho.exblog.jp/

山本久生さん (Bass)
4才でエレクトーン、6才でピアノを始める。大学時代にコントラバスを始め、中嶋明彦氏、蓑輪裕之氏に師事する。2004年~2005年は竹田一彦トリオに参加。2010年、2011年は、Tony Suggs(Count Basieオーケストラ)トリオ西日本ツアーや、多田恵美子トリオに参加。現在日本各地のコンサート、ライブで活動中。
http://ameblo.jp/himamoto/

三夜陽一郎さん (Drums)
1978生まれ、18の時にオスカーピーターソンのトリオを聞いてジャズを始める。金子敏夫、御薬袋一男両氏に師事。以後国内外の様々なミュージシャンと共演、その傍らNHKドラマのレコーディングやポップスアーティストのツアーや後進の指導などその活動は多岐に渡る。