ジャズ探訪記
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B-ROXY

なんば…というより日本橋、黒門市場の入口近く。B-ROXYはそんな「ちょいディープ」な大阪ミナミの一角にある。堺筋を西に渡ってほんのちょっと、ビルの階段を降りたらすぐにそのドアはある。

オーナーの松本政子さんがB-ROXYをオープンしてすでにほぼ40年、その間あちこち何度も移転したそうだけど(たしかずっと以前、なんばの府立体育館近く、ボクシングジムと同じビルにあった時代に僕も一度来ているはずだ)、今はミナミのこの場所に落ち着いている。
場所が変わっても一貫してるのは「セレブじゃない街、ミナミみたいなダウンタウンでやりたい」という政子ママの姿勢。いやたしかに、ジャズはこんな街で生まれたんでしょうね。

ドアを開けると、お酒のボトルがびっしり並ぶカウンター。さらに続く左手の壁面にもボトルとグラスが並んでいる。マッカランの12年がずらりとボトルキープされているのは壮観だけど、なぜかカンパリがボトルキープされているのがなんだかおかしい(笑)。
ステージ奥にはベイビーグランド、ドラムセットもヨユーで置いてある。今日はピアノとボーカルのライブとのこと、セッティングもシンプルである。
チェット・ベイカー、デューク・エリントン、ステージ奥の壁にはいわゆるジャズジャイアンツの写真…と思ったらなんとこれは絵画なのでした。

ライブはほぼ毎日、スケジュールを見ていくと大塚善章、リリー・タナカ、畑ひろし、山内詩子…などなどジャズファンならおなじみの名前が並んでいる。「世界のヒノテル」も、ふらっとあらわれたりするそうだ。最近のオススメは若手の女性ベーシスト・廣田昌世さん。政子ママ曰く「オトコマエ!」なベーシストだそうで、ベース好きな僕としても興味深い。

しかしこのお店、なんというか、不思議に客席とステージが近い感じ。もっと狭いお店もあるし、ステージと客席が同じ高さなのはめずらしくないんだけど…。プレイヤーと観客が、同じところでジャズを楽しんでいるって感じ。んー、政子ママのお人柄でもあるのかな。いわゆるアットホームな感じ、常連のお客さんにばかりでなく女性の一人客も多いということだ。まあ40年お店が続くってのはこのあたりに理由があるのかもしれませんね。

ところで、政子ママはおっしゃるのだ。
「最近のジャズはちょっとおとなしすぎるように思う。もっともっと新しい何かが出てきてもいいんじゃないかなあ」
ずっとずっとジャズを愛し、ライブを聴き続けた人なればこそのこの言葉。
そう、ジャズはもっと荒削りでいい。その中にあるパワーこそが、ジャズという方法なのだと僕も思う。そして、それが生まれるのはこんな場所なんじゃないかな、と。

B-ROXY
●大阪市中央区日本橋1丁目20-9 ジョウトウビルB1
●TEL:06-6633-8205
取材日:2011.07.12


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