仕事の傍ら広報班長として運営に携わる「スチューデント・ジャズ・ライブ」の桝野衣里さん、「大阪城ジャズフェスティバル」実行委員長の藤川結華さん、「スイング・ジャズ・クルーズ」実行委員長の井上由起乃さん。奇しくも3人はトロンボーンのプレーヤー。関西ではおなじみのイベントの企画・運営に携わる3人にお集まりいただき、イベントへの思いを熱く語ってもらいました。
−−それぞれのイベントの内容を教えてください。
- 桝野:
- 「スチューデント・ジャズ・ライブ」は、1999年の1回目から「ジャズの輪を広げたい」「あらゆる世代の人たちにジャズの楽しさを知ってほしい」という思いから始まって、今年で14回目になります。
- 藤川:
- 「大阪城ジャズフェスティバル」は、1991年から始まり、今年で22回目になりますが、16回目から学生が企画・運営するようになりました。関西の11大学と企画バンド、そして、関東のバンドも参加し、2日間にわたって行われる関西最大級のビッグバンドジャズライブです。
- 井上:
- 「スイング・ジャズ・クルーズ」は、大学生の手によって「神戸の街とジャズを盛り上げよう」と2008年からスタートして、今年で5回目を迎えました。まだ歴史は浅いですが、毎年、規模も大きくなってスケールアップしています。
- 桝野:
- 学生主体の中・高生のビッグバンドイベントは少ないので、中・高生の演奏機会を提供し、彼らの演奏を聴いてほしいという思いがあります。イベントは今月末に迫っていて、当日に向けて最後の準備を進めています。
- 藤川:
- 企画・運営が学生主体になって7年目になりますが、他大学の人とのつながりや、お客様と出演者が知り合える、そんな人とのつながりがいちばんの魅力です。大学生のパワーや地域の活性化、交流によって、関わる人すべてが元気になれるイベントをめざしています。
- 井上:
- ビッグバンドもコンボもセッションもあり、ジャズのほかにも文化系イベントとのコラボ企画も考え中です。2008年に立ち上がったとき、10年継続開催イベントにしようという思いがあって、そのためには、去年と同じことをするのではなく、去年しなかったことにチャレンジしたいです。
昨年の「スチューデント・ジャズ・ライブ」
−−イベントの雰囲気はどんな感じなのでしょうか?
- 桝野:
- ご父兄の方やOBなど、年配の方も多いですね。みなさんイベントのことも知ってくださっていて、毎年、楽しみにされているお客さんもおられます。お客さんと演奏者が近いアットホームな雰囲気があります。
- 藤川:
- 私たちのところもご年配のファンの方に来ていただいていて、毎年、最前列近くで見てくださっています。今年は例年よりも開催時期が遅くなり、会場は屋外ということもあって、暑くなりそうなのでドリンクの販売を予定しています。学園祭みたいな感じになりますね。
- 井上:
- 昨年まではイベントの正式名称が「スイング・ジャズ・クルーズ in 神戸ハーバーランド」でしたが、今年から「in 神戸」に変えることで、よりいっそう神戸で愛されるイベントにしたいという思いがあります。また、SJCをイベント名だけではなく、将来的には活動団体として認知されるようにできればと考えています。
昨年の「スイング・ジャズ・クルーズ」
−−さて、今年のイベントの見どころは何でしょうか?
- 桝野:
- 中学生と高校生の6バンドと、今年も甲南大学のゲスト出演が決まっています。今回は14回目ですが、来年は15回目という節目になるので、オープニング前にこれまでのライブ映像をスクリーンに流し、また、会場内では写真を展示してイベントの足跡を振り返ります。
- 藤川:
- ゲストバンドとして、おなじみのジャズフェスOBバンド「Double Force Jazz Orchestra」、そして、関西を代表する「The Global Jazz Orchestra」が出演します。ほかにも、関東・関西それぞれの大学生によるセレクションバンドや、ガールズバンドのメンバーが今年も浴衣を着て登場します。
- 井上:
- 私たちのイベントは9月なので、まだ、具体的には決まっていませんが、イベントの枠を超えて神戸とジャズを盛り上げる活動をしたいと考えています。神戸市や神戸の企業と一体になって、神戸を盛り上げたいという思いがあるので、うまくリンクできればいいと思います。イベントを通して、神戸の街を変えるくらいのムーブメントを起こしたい。
−−実行委員会の活動を教えてください。
- 井上:
- 「スイング・ジャズ・クルーズ」の実行委員会のメンバーは15名です。12月に今年度の委員会を発足しました。部局が広報、ステージ、協賛・企画と3つに分かれているのですが、部局ごとにチームカラーを決めて活動しています。今年のテーマが「JAZZ×COLORS」なので、ジャズという絵の具で神戸の街を彩りたいという思いがあって、イベント当日も目に見えるような形で表現できればいいですね。
- 藤川:
- 協賛と企画をいっしょにしたの?
- 井上:
- そうなんです。企画を希望する人が多くて、おもしろい企画をやりたかったらお金を集めて来いって(笑)。
- 全員:
- いいアイデア。なかなかやるなぁー(爆笑)。
- 藤川:
- 私たちのところは、7月からスタートして、協賛、企画、宣伝など、6つに分かれ、23名のメンバーで活動しています。月1回の全体ミーティングと各部署の幹部会を行いながら準備を進めてきました。イベントは規模も会場も大きいので委員会のメンバーだけではできず、2日間のうち、出演日ではない日はライブの出演メンバーもスタッフとして活動します。
- 桝野:
- スタッフは約20名くらいです。そのうち、広報班は7名です。高校生から社会人まで幅広いメンバーが集まっています。年末からミーティングを重ね、私は広報班長なので、主な仕事としては、お店やライブハウスなどを回ってフライヤーを配布したり、公式サイトやツイッターでは、ライブの宣伝だけではなく、お店やライブハウスを紹介したりして、双方でジャズを盛り上げられるような広報活動を行っています。
- 藤川:
- お仕事をしながらの活動は大変ですよね。
- 桝野:
- そうですね。しんどいよー。私たちのところは、毎年、変わるような実行委員長がいないので、新しいメンバーが入ってくると、立場とか、役割が変わってくるみたいな。今年から班長になりました。
昨年の「大阪城ジャズフェスティバル」
−−実行委員長になったきっかけ、また、活動を通して感じたことは何ですか?
- 井上:
- 去年から実行委員を経験して、今年にかけて継続して実行委員をやる人が少なくて、「じゃあきっと今年は私がやるんだろうな」という感じでした。そして、気がついたら「やります」みたいな雰囲気になってしまって(笑)。実行委員長をやることになりました。
- 藤川:
- 私も去年は実行委員をやっていました。委員長と副委員長から指名されて「やってね」って感じでした。イベントは歴史があるので、やるからにはちゃんとやらないといけない。所属しているバンドの活動と両立しなければならないし、1週間くらい悩みました。去年、実行委員をやって人とのつながりが大きかったので、もう1年やっていろいろなつながりをつくりたいと思いました。
- 井上:
- どうして指名されたの?
- 藤川:
- 大学がいっしょだったことはあるとは思うのですけど。あとはなんでしょうね(笑)。井上さんは、実行委員長になってどんなことから始めたの?
- 井上:
- メンバー集めから始めました。各大学にメールして「参加して絶対よかったと思わせてやるからついて来い」って言って口説きました(笑)。
- 全員:
- すごい……。情熱的(笑)。
- 井上:
- 去年、経験した人がいないので不安はあったけど、反対に去年からのメンバーがいないので、去年までのことにとらわれずにやろうと考え方を変えました。私がいなくても他の委員が自分で考えて動くような委員会にしようと思い、まずは私が考えているSJCのビジョンをミーティングなどで何度も伝えました。
- 藤川:
- 私は副委員長がやると言ってくれたからです。もし、その子がやると言ってくれなかったらやっていなかったかもしれません。お互いがやるならやるという感じでした。副委員長の子は違う大学ですが、彼女ともジャズフェスがなければ知り合っていなかったと思います。委員長としてイベントを成功させたい思いはもちろんありますが、それよりも、人とのつながりを大事にしたいという思いが強かったですね。
- 桝野:
- 私たちはみんなが長くやっていて、顔見知りでメンバーも固定されているので、やりやすいかもしれませんね。積極的に人を集めるということはありませんが、後輩に声をかけてという感じでしょうか。ただ、高校生、大学生、社会人の混成メンバーなので、高校生とのつながりを見つけるのが大変なのかなと思います。
- 井上:
- 年とか、世代が違うとやりにくかったりしない?
- 桝野:
- 最近は世代間のギャップを感じます(笑)。出演していた側から裏方として参加するということもあり、高校を卒業して積極的に参加してくれていますね。
−−イベント当日までどんな活動を予定していますか?
- 藤川:
- 今年もパフォーマンスライブを行い、イベント本番までに盛り上げるために、4月15日から5月6日まで大阪、京都、神戸で5回のライブを予定しています。イベント本番に出演する参加11大学の演奏をひと足先にご覧いただけます。
- 桝野:
- パフォーマンスライブのような宣伝活動はしていませんが、4月28日と日にちが迫って来ているので、ライブハウスを回ってチラシを配布したり、ホームページやプログを通じて、スタッフ全員で広報活動に力を入れています。
- 井上:
- ツアーライブを企画していますが、ジャズで神戸を盛り上げたいという思いがあるので、イベントの宣伝ライブというよりも、SJCの企画として活動していきたいと考えています。そして、SJCの活動をもっと広く知ってもらい、大学生だけではなく、幅広い世代の人にジャズにふれてほしいと思います。
−−最後にイベントのPRなど、ひとことずつお願いします。
- 桝野:
- 当日、会場では、今年も実行委員による手づくりのストラップを販売し、その売り上げを東日本大震災の支援に少しでも役立てたいと考えています。元気あふれる学生たちの演奏を聴き、ジャズの楽しさを感じていただきたいと思います。
- 藤川:
- 今年は支援団体と協力して、東北から関西に避難されている被災者のみなさんの無料招待を考えています。楽器を演奏される方もおられるとお聞きしていますので、フィナーレイベントでいっしょに演奏していただけたらいいなと考えています。
- 井上:
- 実行委員長として大好きなジャズと関わり、神戸を盛り上げてイベントを成功させることと、もう一つ目標があって、トロンボーンのプレーヤーとしてお客さんを感動させたいという思いもあります。イベントは9月で先になりますが、今から楽しみにしていてください。
大阪城ジャズフェスティバル
●2012年5月19日(土)・20日(日) 開場13:00/開演13:30 [会場]大阪城野外音楽堂
[パフォーマンスライブ日程]
- ●4月15日(日)12:30〜
- 大阪・第一生命ビル前(梅田) [出演]関西学院大学、立命館大学、大阪大学
- ●4月22日(日)12:30〜
- 京都・スターバックス三条大橋店前 [出演]佛教大学、龍谷大学、京都大学
- ●4月28日(土)12:30〜
- 大阪・とんぼりリバーウォーク(難波) [出演]神戸大学、佛教大学、立命館大学
- ●4月29日(日)12:30〜
- 大阪・とんぼりリバーウォーク(難波) [出演]大手前大学、神戸大学、天理大学
- ●5月6日(日)12:30〜
- 神戸・カフェ ネスカフェ三宮前 [出演]甲南大学、大阪大学、ガールズバンド、セレクションバンド