MAKOTO MAEDA / Osaka Castle Jazz Festval Executive Producer,Trumpet Player
大阪城がスイングする2日間。
「音楽文化を通じて地域を元気に、みんなを笑顔に」を目標に、関西11大学200人以上の学生と、ゲストのプロミュージシャンを招いて2日間に渡って開催されるビッグイベント『大阪城JAZZ FESTIVAL』。野外ならではの開放感とリラックスした空気の中で、ビッグバンド・ジャズに心ゆくまでひたりきれるジャズ・フェスです。大阪城野外音楽堂を舞台にしたこのライブも今年で第18回を迎え、総来場者2000人以上というビッグイベントに成長しました。
そのプロデュースを手がけているのが、トランペット・プレイヤーとしても活躍中の前田真さんです。
person
大阪城ジャズ・フェスティバル実行委員長、トランペット・プレイヤー
前田 真さん
関西大学総合情報学部に在籍(取材時)。中学入学と同時にトランペットを始め、関西大学に入学後も甲南大学ジャズ研究会に所属、ビッグバンドでの活動を継続中。
演奏活動と平行して『大阪城JAZZ FESTIVAL』の実行委員会に参加、広報担当幹部を経て現在は実行委員長を務める。
その他、現在は神戸ハーバーランドでのイベント『スイング・ジャズ・クルーズ』の実行委員長も務めている。
大阪城ジャズ・フェスティバル WebSiteスイング・ジャズ・クルーズ WebSite
interview
そもそものきっかけは…
待ち合わせの場所にあらわれた前田さんはいかにも現代的な若者という印象。そして、もの静かな佇まいのいったいどこに、『大阪城JAZZ FESTIVAL』や『スイング・ジャズ・クルーズ』のようなビッグイベントを企画・実行していくパワーが潜んでいるのか…。
とても興味をそそられるところですね。
今回の「ジャズ・ピープル」は、『大阪城JAZZ FESTIVAL』を中心にお話をうかがいます。
大阪城ジャズ・フェスティバルとの関わりはいつ頃から?。
「関西大学に入学してから、実行委員会に参加したんですね。その後も、2回生で広報を担当したりして、3回生で実行委員長を務めることになりました」
こういうジャズ・イベントに関わるようになったそもそものきっかけは?
「2006年でしたが、兵庫県の『学生による商店街活性化支援事業費補助事業』のスタッフと出会ったことが大きいですね。その後も幾つかのプロジェクトに携わっているうちに、『大阪城JAZZ FESTIVAL』の実行委員長を務めるようになったんです」
学生にしかできないことがあるのでは、と。
「社会が低迷していて、みんなに元気がない。そういう現代だからこそ僕たち学生にしかできないことがあるのでは…と思うんです。ですから、今回のスローガンといいますか、目標として『音楽文化を通じて地域を元気に、みんなを笑顔に』という言葉を掲げたわけです」
たしかにフットワークの軽さとか、横の繋がりのようなものは学生の方が生かせるでしょうね。
「そうなんです。そして、今回はまた別の目標もありました。『ジャズフェスの進化!』、『ジャズを新しい層へ!』。ジャズという素晴らしく楽しい音楽があって、優れたプレイヤーもたくさんいます。でもそのわりには社会的にはいまひとつ存在感が薄いというか…。そんな状況を打開するきっかけにしたいんですよね。
「このイベントを通じて、ジャズフェスの新しい魅力を生み出し、もっともっとたくさんの人にジャズを届けたい…、そんな想いでこのイベントに取り組みました」
なるほど。2000人以上という入場者数は、その成果を表していますよね。でもそのために、ライブ以外の部分でもいろんな取り組みをされていると思うんですが?
「いくつかありますが、まず告知が大事なので、5月には高槻ジャズストリートのライブ会場でチラシを配布しました。その他、宣伝ライブとしてパフォーマンスも京阪神各地で行いました」
もっともっとジャズを楽しんでほしくて…
「ライブステージのひとつの目玉は、参加11大学の女子だけで構成されたGirl's Bandです。これはふだんジャズを聴かない人にも関心を持っていただくために考えた企画で、演奏だけじゃなく、ステージで踊ったりもしたわけですが、みんな体全体でジャズの楽しさを表現してくれたと思います。
ゲストの、ピアニスト・守屋純子さんとセレクションバンドにみなさんにもご協力いただいて、演奏後にサイン会も開催しました。お客様とプロ・ミュージシャンが直接交流できるチャンスとあってこれも大好評、長い列ができてました。
「ライブのフィナーレには参加者全員で演奏したんですよ。総勢200人という、正真正銘のビッグバンドです(笑)。もちろん僕もトランペットで参加しましたよ。
「演奏面ではありませんが、関西大学の放送研究会のみんなにも協力してもらいました。普段から司会の勉強をしているメンバーですから、進行をさらにスムーズにしてくれてとても助かりました」
当初の目標は着実にカタチになっていっているようですね。そして、たくさんの人々がこのイベントを応援して支えてくれたわけですね。

「本当にそうです。僕たちだけがいくら頑張っても、それだけでは成功しなかったと思います。来場してくださったお客様はもちろん、協賛企業やお店の方々にはあらためてありがとうございましたと言いたいです」

プロデューサーとしてのこれから。
ジャズイベントのプロデューサーとして、今後の活動のご予定は?
「現在手がけているのは、神戸ハーバーランドで行う『スイング・ジャズ・クルーズ』ですね(2008年7月20日開催)。ハーバーランドの4つの会場を舞台に、学生バンドもアマチュアもプロも入り乱れてのジャズライブです。もちろん、学生の選抜バンドというか、まあ『連合軍』の演奏には僕も加わる予定です」
実にパワフルな活躍ぶりですね!前田さんをそんなに駆り立てるものはいったい何なんでしょう?
「いろいろあるんですが…。ひとつは、仙台のジャズフェスに負けたくないということです。とにかくスケールも大きいし活気も凄い。それに匹敵するような、できればそれを越えるようなジャズフェスをやりたいんです。そのためには関西のジャズをもっと盛り上げたいんです。
「そしてもうひとつは、ジャズに関わっているみんなとの繋がり。ジャズを通じて出会ったみんなとの繋がりですが、特に学生の場合、卒業・就職で環境が変わるとそれが途切れてしまいやすいんですよね」
たしかにそうですね。ジャズフェス企画もそのために?
「その役に立ってくれると思います。『スイング・ジャズ・クルーズ』も、ぜひ来年に続けたいですね。ハーバーランドの来年の計画に、このジャズフェスの企画をねじ込んでから卒業してやろうかと思ってます(笑)」
あ、現在4回生ということは来年はご卒業なんですね?
「はあ、一応その予定なんですが(笑)。それが実現できたら、しばらくはジャズとサヨナラしててもいいかもしれません」
もしそうなると、関西のジャズ界は貴重な戦力を失うことになるのではと、ちょっと心配ですが…。
インタビュー後、「今でもほとんど毎日練習してますよー。今日もこれから練習なんです」と駅に向かわれた前田さん。
その熱心さからすると、どうやら無用な心配のようですね。
長時間ありがとうございました。これからのご活躍をお祈りしております。
特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People