グラミー賞4回ノミネートの実力派ボーカリスト デニース・ドナテッリ。
グラミー賞ベストジャズボーカル部門に3回、ベストアレンジメント部門に1回と合計4回もノミネートされた実力派ボーカリスト、デニース・ドナテッリは、ルックス、歌声、音楽的感性、どれをとっても完成度が高いアーティスト。グラミー賞授賞式のレッドカーペットベストドレッサーに選ばれたほどのゴージャズな歌姫は、年齢を感じさせない若々しさで、会ってみるとちょっとシャイながらチャーミングで気さくな女性でした。まだ見ぬ日本のファンに生の歌声を届けたいと目を輝かせて話すデニースにカリフォルニア、サンノゼでお話を聞きました。
インタビュー・文 マグワイア由紀子(Three Tree Initiatives LLC)
デニース・ ドナテッリ (Denise Donatelli)
ペンシルバニア州の田舎町アレンタウン生まれ。音楽好きのイタリア系アメリカ人の両親と子供3人の5人家族の家庭で育つ。三人姉妹の末っ子。結婚前に歌手だった母が、耳で聴いた音楽をかなり正確にピアノで再現するデニースに才能を感じてピアノレッスンを開始したのは彼女がわずか4歳のこと。兄弟子には後に有名なジャズピアニストになったキース・ジャレットもいたピアノ教室の教師にすすめられて全米音楽コンクールで幼い頃から何度も最優秀賞を受賞する。ピアノの練習のかたわら、一番上の姉が取り寄せていたレコードクラブが送ってくるジャズレコードから流れるエラ・フィッツジェラルド、ナンシー・ウィルソン、ランバート・ヘンドリックス、ロス、サラ・ヴォーン、カルメン・マクレー、マイルス・デイヴィス、チェット・ベイカーなどの歌を覚えて歌い、後のボーカルスタイルの基礎を培う。
大学進学後まもなく学生結婚し、子育てのため音楽から一旦離れる。しかし、離婚し、シングルマザーとして奮闘した子育てがひと段落した頃に移り住んだジョージア州アトランタでジャズと再び出会い、リッツ・カールトンホテルのラウンジのジャズトリオ専属シンガーとして歌に復帰。その後5年間歌い続ける。その頃本職だったメディア関係の仕事がきっかけで知り合った人と再婚してロサンゼルスに移り、すぐに有名ジャズミュージシャンのコミュニティーに参加。まもなく、主要なジャズライブハウスやコンサートホール、大学などで歌声を披露するようになる。全米の大学のビッグバンドとの共演も多い。
故サックス奏者のフィル・ウッズが「ミュージシャンが最も愛する歌手」と言わしめた彼女の天から授かった音楽的感性と純粋なトーンの歌は、アメリカの人気テレビアニメ番組のシンプソンズや、CBSテレビプロモーション、 パラマウントやターナークラシックなどの映画プロモーションで使用される。また彼女の歌声は、CNN、ヒュンダイ、レクサス、メルセデスベンツなど世界的ブランドのコマーシャルでも使用されている。一方、慈善活動では、アメリカ心臓協会を支援し、協会のイベントなどで歌声を披露している。昨年はプラハの音楽一大イベント、チェコスロバキア交響楽団ガライベントでソロを歌うなど、国際的に活躍するトップジャズボーカリストの一人である。
ジャズを聴きながら育った幼少時代。
── 音楽に携わるきっかけはどんなことでしたか?
Denise「私は音楽一家に生まれました。私の父はプロのミュージシャンではありませんでした。しかし、専門のトレーニングを受けたことがなくても、メロディーを耳で聞いただけでピアノで演奏ができる人だったのです。 私の母は父と結婚する前にプロの歌手だったそうです。彼女は音楽が大好きで、歌を歌うことが大好きな人でした。私は3人姉妹の末っ子だったので、私の姉がピアノのレッスンを始める時、一緒にピアノを始めました。私が聞いたメロディーをピアノでかなり正確に再現するのをみて驚いた母が、ピアノレッスンに連れていくようになったのです。しかしその時、私はまだ4歳でした。」
── 子供時代はどんなお子さんでしたか?
Denise「私が育った所は近所に住む子どももいないような田舎でした。私はスクールバスで学校へ通いましたが、家に帰ると一番上の姉のジャズレコードをきいてはピアノでメロディーを弾きました。私はピアノ教師にすすめられてアレンタウン音楽クラブに入り、そこで同年代の音楽仲間と出会いました。私は、毎年、地元の音楽クラブで代表に選ばれて全米音楽クラブ連合主催の全米音楽ウィークコンクールで演奏しました。私は6歳の時、最年少で最優秀賞受賞者になりました。その後5年間連続で私はそのコンクールに参加し、ピアノ部門で4回最優秀賞、1回優秀賞を受賞しました。今思い出してみると、かなりすごい成果だったと思います。アレンタウン音楽クラブには、後にとても有名なジャズピアニストになるキース・ジャレットもいました。私の母が運転する車にキースが乗って一緒にリサイタル会場に行ったことを覚えています。しかし、当時キースはティーンエイジャーのお兄さんで私は5歳くらい。何を話したかは覚えていません。彼は当時すでにかなりの実力があるピアニストだったようです。」
── ご家族に音楽家はいらっしゃいますか?
Denise「私の姉妹でプロの音楽家になったのは私だけですが、イタリア人の祖父の兄弟がイタリアでプロの音楽家だったと聞いています。私は会ったことはありませんが、サクソフォーンを演奏する人だったそうです。」
── どうしてボーカリストになったのですか?
Denise「私はいつも歌うのが大好きでした。私がまだ子供の頃、暇なときにはいつも姉が集めていたレコードをかけては一緒に歌っていました。ナンシー・ウィルソン、エラ・フィッツジェラルド、カルメン・マクレー、サラ・ヴォーン、フランク・シナトラ、ランバート・ヘンドリックス、ロスを聴いては真似をして歌ったものです。私はピアノでクラシック音楽を弾いていましたが、本当に好きだったのはジャズでした。ジャズという音楽に感じるものがあり、一緒に歌っていたのです。」
── ジャズに関わるようになったきっかけは何ですか?エピソードを教えてください。
Denise「幼い頃から、私はジャズを聴いていました。ジャズを聴きながら育ったというのが本当のところです。私の一番上の姉は、キャピタルレコードとコロンビアレコードの音楽クラブに入会し、一番好きなジャンルにジャズを選びました。それで、毎月、4枚か5枚ジャズのレコードが送られてきました。インスツルメント音楽のレコードもあれば、ビッグバンドやボーカルのレコードもありました。それが、私がクラシックの他に知ることができた唯一の音楽でした。高校に入学するとリズム&ブルース(R&B)の音楽も聴くようになりました。特に、ビル・ワイザース、スティービー・ワンダー、ザ・テンプテーションズ、アリサ・フランクリン、ザ・ジャクソンズが好きでした。それから、ブラジル音楽に出会って大好きになりました。」
初めてのグラミー賞ノミネートでベストドレッサーに。
── 子育てが一段落した40代になってからデビューされたとのことですが、どんなきっかけだったのですか?
Denise「私が大人になった頃、ステージ恐怖症になり、クラシックのピアノレッスンをやめることになりました。音楽は脇に寄せ、高校を卒業し、大学に進学しましたが、大学一年で学生結婚をしました。子供ができ主婦になったのです。しかし、この結婚生活は残念ながら8年で終わってしまいました。夫だった人は、別の州に引越し、私は、8歳と3歳の男の子を一人で育てるシングルマザーになりました。私はフルタイムで働きました。誰か助けてくれるような家族や親戚も近くにいませんでした。ですから、夜に出勤するようなプロのミュージシャンになることなど思いもしませんでした。子供たちがティーンエイジャーになった頃、私はジョージア州アトランタに引越しました。そこで私はジャズピアニストと交際するようになりました。その彼が、私の歌を気に入り、時々彼のライブで歌うようになったのです。ある日、彼は詳しいことを告げず、ジャムセッションがあるので歌ってみたらとだけ言って私を誘い出したことがありました。その時、連れて行かれたクラブはアトランタのミュージシャンが集う場所でした。私が歌う順番になった時、有名なラッセル・マローンがバンドで演奏していました。怖かったですがやってみたらとても自然に感じられ、すごく楽しかったのです。そしてそこには、たまたまリッツ・カールトンホテルの音楽ディレクターも居合わせていました。彼は自己紹介の後、彼の演奏するジャズトリオと一緒にリッツ・カールトンホテルのラウンジで週3日歌わないかと誘ってくれました。私は、すぐに承諾し、その後5年間リッツ・カールトンホテルのラウンジで週3日歌う専属シンガーになりました。それが私の歌のキャリアの始まりでした。」
── プロのミュージシャンになることを決意されたきっかけとはどんなところにあったのですか? ロサンゼルスという新しい土地に引っ越されることは怖くありませんでしたか?
Denise「私が二人の息子と一緒にアトランタに引っ越し、そこでの仕事は、ターナー・ブロードキャスティング・システム(TBS)とCNNのマーケティング業務でした。私は、日中には週5日TBSで働き、夜には週3日リッツ・カールトンホテルのラウンジで歌いました。TBSの仕事でロサンゼルスに出張することが多かったのですが、出張中のある時、私は仕事で、後に私の夫となる人と出会いました。遠距離でしたが、時間をかけて交際して決断し、結婚して引っ越しました。その後すぐにロサンゼルスの音楽コミュニティに参加させてもらえることになりました。」
── あなたは、グラミー賞ジャズベストボーカルアルバム部門に3度、ジャズアレンジメント部門に1度、ノミネートされています。ノミネートされるということはどんなことでしたか?またノミネートされて何か変わったことがあったのでしょうか?
Denise「グラミー賞にノミネートされるということはとても光栄でありがたいことでした。グラミー賞のこのカテゴリーには毎年100枚以上のアルバムが提出され、そこから音楽仲間や関係者の人たちの投票で5人だけが候補として選ばれます。それだけでも、グラミー賞にノミネートされることは、アーティストとして信用がつくことだと思います。」
── レコーディングの時はなにか特別な準備をされますか?
Denise「私は、毎日いろんな音楽を聴き、これはと思う曲があればレコーディング用のリストにのせる作業をしています。レコーディングプロジェクトを始めるときには、私のアレンジャー(編曲者)兼プロデューサーにその曲のリストを送り、選曲、曲のテンポなど、様々なことを相談します。ボーカリストとアレンジャーの意見が一致し、プロデューサー兼プロデューサーが自身の創造力をいかんなく発揮できるプロジェクトにできることがとても大切だと感じています。」
── あなたはグラミー賞授賞式で、ベストドレッサーの一人に選ばれています。レッドカーペットのイベントに参加されることはいかがでしたか?また当日着たドレスはどうやって選ばれたのですか?
Denise「私が、初めてグラミー賞にノミネートされた時、私の広報担当のパブリシストにファッションデザイナーのシェリー・ヒル(Sherri Hill)からドレス提供の申し出がありました。私は、グラミー賞授賞式に出席する時に着るドレスを選びに彼女のアトリエに行きました。それ以来、私は、ドレス、靴、ジュエリーやメイクアップの指導はスタイリストにお願いするようにしています。このパブリシストが私をエスコートして赤絨毯を一緒に歩いてくれ、ジャーナリストやレポーターから簡単なインタビューを受けられるようにしてくれました。一番楽しかったのは、たくさんのカメラマンの前でポーズを決めたことです。信じられないくらい素晴らしい出来事でした。」
── あなたのそのいつまでも若い美貌はどのようにしてキープされているのですか?
Denise「1週間に3回か4回は、3マイル(約4.8キロ)を歩くようにしています。砂糖の摂取は避けています。そして炭水化物もなるべく避けています。とはいえ、時々大好きなアイスクリームの魅力には負けてしまいます。」
── 音楽以外の趣味はなんですか?
Denise「ゴルフが大好きです。良い運動になり、心身共にリラックスできます。」
過去の素晴らしいジャズミュージシャンの作品をたくさん聴こう。
── 今後ボーカリストを目指したい若手の方たちへアドバイスも兼ねてお答えをお願いします。次の二つの質問をさせてください。どのようにして歌を勉強されたのですか?
Denise「歌は自然に私にやって来たというのが実感です。私は話せるようなるのと同時に歌っていたそうです。私の父も母も家で気がつけば家のどこかしらで歌ってるような人たちで私はだれかが歌う歌を聴きながら育ったのです。私は、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ナンシー・ウィルソンなど素晴らしいボーカリストのレコードに合わせて歌っていました。」
── 歌の練習はどんな風にされていますか?
Denise「発声練習は毎日しています。ボーカルコーチから毎日するようにと言われた発声法の練習を毎日しっかりやっています。練習法は色々とあると思いますが、最近ではインターネット上にいろいろな発声練習のアプリがあるので、これからボーカリストを目指す人はそういうアプリも使ってみると良いと思います。」
── 若手ミュージシャンやミュージシャンを志す方々にアドバイスをお願いします。
Denise「これからプロのミュージシャンになろうとする人たちへの私からのアドバイスは、とにかく過去の素晴らしいジャズミュージシャンの作品をたくさん聴くことです。またボーカリストになろうとする人はインスツルメンツ担当ジャズアーティストのインプロビゼーション(即興)やフレージングを気をつけて聴くこともおすすめです。エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ナンシー・ウィルソン、カルメン・マックレーといった素晴らしいボーカリストの作品を聴きながら一緒に歌うのはとても良い訓練になります。」
── ミュージシャンを目指す人は、よく大変すぎるから他の仕事を見つけた方が良いと言われるようですが、それに対してどのようにお考えですか?
Denise「確かに、昨今の音楽業界はとても競争が激しいです。私は、常々、ミュージシャンとしてのキャリアがスタートできるまで他の仕事をする選択をすることは賢い選択だと考えています。私が知っているミュージシャンやボーカリストにも昼は大学で教鞭をとったりプライベートレッスンをしながらミュージシャン業を続けている人がいます。」
── あなたのようにミュージシャンとして成功するためには何が大切だと思いますか?若い人たちへのアドバイスも交えてご自分が成功に繋がったと思えるヒントを知らせてください。
Denise「音楽を勉強すること、毎日練習すること、そして技を磨くことに加えて、ネットワーキングが成功するために非常に重要です。ネットワークのいくつかの方法は、音楽ワークショップ、公演(アメリカでは学生だと時々入場料に学割があります)に参加することです。他のミュージシャンとどんどん出会い、他のミュージシャンやボーカリストとの一緒に演奏したり練習するチャンスは どんどん生かしてほしいと思います。それからミュージシャンとしての評判はとても大切です。例えば、約束に遅れたり、演奏するときに準備ができていない、服装がきちんとしていないなどのあまりよくない評判は驚くほどのすばやさで伝わるものです。」
── あなたが音楽で次していきたいことはなんですか?
Denise「できれば年内にレコーディングしたいと思って曲探しをしています。」
── 日本で公演をされたことはないそうですが、日本ですでにCDも発売され、ファンもいらっしゃいます。日本についてはどんなことをご存知ですか?
Denise「私は、歌手になってから日本に行ったことはないのですが、1980年代のはじめ、主人の出張にお供をして訪れたことがあります。まるでセレブのような扱いを受け、東京じゅうを案内してもらいました。その時、歌舞伎座に行く機会があり、日本の茶道のおもてなしを受けました。その他、忘れられない思い出は、日本のカントリークラブでゴルフをした時に心を尽くしたおもてなしを受けたことです。私は日本の文化や人々をとても尊敬していますので、また訪れることができたらと思います。また、日本に行ったことのあるアメリカのミュージシャンから、日本ではジャズが盛んで、生演奏をとても喜んでくださると聞いています。そんな方たちに私の歌もご披露させていただければと思います。」
── 日本食はお好きですか?
Denise「私の主人も私も日本食は大好きです。ロサンゼルス地区には、幸運なことに、評判の良い日本食レストランがたくさんあり、時々食べに行くのを楽しみにしています。」
── 日本にいるあなたのファンとこれからファンになる人たちにメッセージをお願いいたします。
Denise「遠く日本にいても私の音楽をサポートしてくださる人たちに深く感謝します。近い将来、そういう方たちに直接お目にかかり、またより多くの方たちに私の歌をお届けしたいと思います。どうもありがとうございました!」
── どうもありがとうございました!
[ Recommended Movie ]
- Denise Donatelli Find a Heart EPK
[ Release ]
- Denise Donatelli/Find a Heart(Savant Records)
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- デニース・ドナテッリの通算5作目の最新作品。アメリカでは、CM 出演経験もあるとのことも納得の美貌の持ち主で、毎回、美しいジャケットも印象的。しかし、歌の世界も本格的です。西海岸を拠点に活動し、参加メンバーも毎回豪華。本作は、前作に続いて、ジェフリー・キーザーを、ピアノ及び、ミュージカル・ディレクターに迎え、トランペッターには、あの貴公子クリス・ボッティの名前も。ドラマーには、M-Base の一派として頭角を現しカサンドラ・ウィルソンのバック・メンバーもつとめたマーヴィン・スミッティ・スミスを迎えている他、西海岸のスタジオ・ミュージシャンとして90 年代辺りから人気を博しているタカ・ヨコクラらも脇を固め、どの曲も役者をそろえています。ヴォーカルの世界は大胆かつ、繊細、そしてPOP なセンスも。ドナルド・フェイゲンのおしゃれなAOR サウンドを、ダイナミックなサックス・ソロ・イントロをフィーチャーして見事ジャズに描き上げたオープニング曲のセンスはまさしくジェフ・キーザーの手腕といえましょうが、それにのって、4 ビートのスウィング感も大切にしながらのびやかに歌うヴォーカルはまさしく本格派の歌。一方、ラッセル・フェランテ- ウィリアム・ケネディによるコンポジションで、ブレンダ・ラッセルが歌ったことでも知られるM2 は原曲のイメージを活かしきり、ウエスト・コーストのスムース感や、ブラコン的なサウンドが魅力。この2曲だけでも、作品のセンスを感じられます。ジェフ・キーザーのピアノのみをバックにしたエリントン- ビリー・ストレイホーンのラスト曲まで全11曲。エグベルト・ジスモンチの曲かと思わせてしまうようなトリッキーなイントロをフィーチャーしたスタンダードの変身ぶりにも驚き!(新譜案内より)
Track List
1. Big Noise, New York(Marcelle Clements / Donald Fagen)
2. Love and Paris Rain(Russell Ferrante / Will Kennedy / Brenda Russell)
3. Spaced Out (En Babia)(Geoffrey Keezer / Susan Marder)
4. Practical Arrangement(Rob Mathes / Gordon Sumner)
5. Find a Heart(David Crosby)
6. Not Like This(Jeremy Lubbock)
7. Eyes That Say I Love You
8. In This Moment(Billy Childs / Susan Marder)
9. Troubled Child(Jonathan Cain / Steve Perry / Neal Schon)
10. Midnight Sun(Sonny Burke / Lionel Hampton / Johnny Mercer)
11. Day Dream(Duke Ellington / John Latouche / Billy Strayhorn)
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