JANETTE KEIKO KAWASUJI / Jazz Vocalist Queen
心にしみるスモーキーボイス。
『こんにちわ…』
目にも鮮やかな深紅のニットをまとって、彼女はあらわれました。
ジャズシンガー、ジャネットさん。シンガーとしてだけでなく、DJやテレビの司会としても活躍中の彼女。女性としては落ち着いた、低めのスモーキーボイスは時に甘く、時に切なく、ファンキーにジャジーに、そしてまたソウルフルに歌い上げる。聞くものの心をとらえて離さない、その多彩な魅力はどこからくるのでしょうか。
person
ジャネット・啓子・カワスジさん
幼少の頃よりJAZZに親しみ、学生時代はロックバンドで活躍。卒業後も演奏活動の中、宇崎竜童氏に認められ師のレッスン指導を受けプロとしての道を歩み始める。
「渡辺プロ」「田辺エージェンシー」をはじめその他多くのプロダクション、著名ホテルのオーディションに合格。ディナーショーやライブハウスで実力を発揮する反面、美しい英語・巧みな話術を武器にテレビの司会FMのDJ・ゴルフトーナメントの通訳等、マルチタレントとして活躍。
2000年には、第1回神戸ジャズボーカルクイーンコンテストでグランプリ(1位)を受賞。同年秋には念願の渡米、本場米国シアトルの米最大級のジャズクラブ「ジャズアレー」に出演、大成功を収めジャズボーカルの女王として高い評価を受ける。
Janette.jp ジャネットさんのオフィシャルサイトはこちら。
interview
ちょっと冬とは思えないようなよく晴れた暖かい午後。芦屋駅近くの、スイーツが美味しいと評判のカフェでお話をうかがいました。
 
ジャズとの出会いはとても意外で…。
●最初のジャズとの出会いは?
「テレビが大好きだったんですよね。で、当時すごく好きだったバラエティー・ショー。その中の、あるコーナーのBGM、これがジャズ だったんです!そしてそれがものすごくカッコよかったんですよ!」
ああ、たしかにその番組は覚えています。そこでジャズに目覚めたジャ ネットさん、レコード屋さんに走って尋ねたそうです。
「『ジャズありますか?』って(笑)。何も知らなくって。お店の人も困ったみたいで、『どんなのが好きなの?』と訊いてくれたんですけど、さあ私は何もわからない。そこで薦めてくれたのが、デイブ・ブルーベックの『TAKE 5』だったんです」
●そりゃまた、何も知らない女の子にとってはいきなり渋いチョイスになっちゃいましたね。
「そう、そのときは『いや、これじゃない…』って感じでしたけど(笑)」
なにも知らなかった彼女にとって、それはちょっと渋すぎるものだったのかもしれません。そのせいかどうか、それ以降しばらくはアニメの歌とか、いわゆるJ-popを聴いていたそうです。
そして第二の衝撃の出会い。
そして第2の出会いは大学時代。
「大学の軽音でドラムを叩いていたんですよね。そして参加した慶応大学の学祭。通りかかったところでたまたまやっていたのがジャズのライブだったんです。それがすごく衝撃的で」
●そのときのジャズってどんな印象だったんですか?
「なんていうか、音楽も、ボーカルの女の子もとてもオトナっぽくって。ホラ、その頃って『自分が最高』で、自分よりカッコいいものが許せなかったりするでしょ。もう、対抗意識の炎がメラメラですよ(笑)」
シンガーとして始動、しかし…。
その後、数々のオーディションに合格、芸能界入りしたものの、ジャネットさんが求めていたものはそこにはなかったそうです。
「納得のいく、自分の音楽をやりたい」と思い、関西に帰ってきたジャネットさん。日航ホテルでの「シンガーズオーディション」に合格(100人中たった3名の合格者!)、一年間のレギュラーシンガーのポストを得ました。その後、FMのDJやテレビの司会、もちろんライブハウスでの活動を続ける。そして、「第一回神戸ジャズボーカルクイーンコンテスト」にエントリー、グランプリを受賞。
ジャズ、神戸、そしてシアトル。
運命の女神は自分の道を歩もうとしている人に微笑むのでしょう。念願の渡米、そしてアメリカ最大級のジャズクラブ「ジャズアレー」に出演。
●ジャズアレーの印象はいかがでした?
「いや、もうドキドキで(笑)。そうそう、そこでのライブの時、曲目の中に「思い出のサンフランシスコ」が入っていたんですよね。で、ライブ直前になってディレクターが『ジャネット、ジャネット!』って呼びにきたんです」
『ジャネット、ここはサンフランシスコじゃなくてシアトルだ!だから歌詞の"サンフランシスコ"を"シアトル"に替えて歌ってくれ!』ですって。だからアドリブでね、全部シアトル関係の歌詞にして歌っちゃいましたけど、アハハ」
そんな冷や汗もののエピソードも披露してくれました。
そして、これから。
いろんなお話をうかがううちに、お店のBGMがシャンソンに変わりました。ジャネットさんの声は、ジャズだけでなく、シャンソンとかロックにもとてもよく似合うと思うんですが・・・。
「もちろんロック大好き!シャンソンにも挑戦してみたいですね」
ジャンルを越えてさらに幅広く。いっそうのご活躍を期待しています。
第一回神戸ジャズボーカルクイーンコンテストで
グランプリを受賞
特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People