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ConcertReport・コンサートレポート

YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST 2010

第41回 山野ビッグバンド・ジャズコンテスト 2010年8月14日(土)・15日(日) 大宮ソニックシティ 大ホール [さいたま市/大宮区]

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AWARDPHOTO
第1位 最優秀賞 国立音楽大学[ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ]

第1位 最優秀賞 国立音楽大学[ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ]

メンバーの手によるアレンジで「Azure Moon」「New Life」2曲を演奏。「アレンジもモダンでドラマチック、アドリブもすごい。過去の中でも1番の演奏」と前田憲男氏絶賛。
4連覇をなしとげ、最優秀賞を受賞した国立音楽大学ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラへ、副賞として富士通テンより「ECLIPSE TDスピーカーシリーズ TD307PAII」を授与いたしました。

第2位 優秀賞 慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]

第2位 優秀賞 慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]

マリア・シュナイダーの「Cerulean Skies」。演奏が始まると場内は水を打ったような静寂さ。「壮大なドラマを表現するテナー・ピアノ・アルト、木管と皆よかった。感動した」内堀勝氏絶賛

第3位 優秀賞 同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]

第3位 優秀賞 同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]

実力者ぞろいの上位入賞校に豪華なソリスト。「審査はもういい。コンサートに来ている感じ。アルトのソロ、フレーズ・音ともゴージャスでいちばん好き」本田雅人氏に絶賛された當村浩明さんは最優秀ソリスト賞受賞。なんと兄・邦明(ts 大阪大)さんも2年前に同賞を。史上初兄弟受賞。

第4位 明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]

第4位 明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]

華やかでスピード感溢れる演奏。
「楽しさが伝わってくる。リズム隊もホーンセクションもよかった」と納浩一氏。

第5位 76.1InterFM賞 早稲田大学[ハイ・ソサエティ・オーケストラ]

第5位 76.1InterFM賞 早稲田大学[ハイ・ソサエティ・オーケストラ]

抜きんでた実力のリズム隊をはじめ、「プロよりうまい」と本田氏に絶賛されたハイソの演奏。
秀逸なソロを披露した近藤研也 (AS)さんはみごと優秀ソリスト賞受賞。

第6位 日刊スポーツ賞 大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]

第6位 日刊スポーツ賞 大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]

常連の上位校として堂々の演奏。「超かっこいい!1曲目はベイシーバンドの再現!
味のある演奏、気合いの入った演奏が大変よかった」角田健一氏絶賛。

第7位 特別賞 甲南大学[ニューポート・スウィング・オーケストラ]

第7位 特別賞 甲南大学[ニューポート・スウィング・オーケストラ]

関西のおなじみ上位校のひとつ。クインシーの曲をはじめ華やかなソリスト。
「気迫が伝わってくる好演。ソロの会話よかった。ドラムもよかった」と角田氏。

第8位 敢闘賞 天理大学[ALS ジャズ・オーケストラ]

第8位 敢闘賞 天理大学[ALS ジャズ・オーケストラ]

昨年に続いてベストテン入り。ハイノートの素晴らしいソロで見事、
優秀ソリスト賞を受賞した長澤真衣子さん。守屋純子氏から「女エリック」の称号?を授かる。

第9位 審査員賞 立教大学[ニュー・スウィンギン・ハード]

第9位 審査員賞 立教大学[ニュー・スウィンギン・ハード]

ジャズの名曲をオリジナルアレンジのメドレーで披露。堂々ベストテン入り。
「メドレーにしたアイデア賞。編曲がいい」と前田氏。

第10位 奨励賞 東京工業大学[ロス・ガラチェロス]

第10位 奨励賞 東京工業大学[ロス・ガラチェロス]

「毎年聴いているが今年は特によかった」と守屋氏。各ソロもすばらしかったリズム隊。
みんなの熱が伝わって盛り上がり、見事ベストテンに入賞。

最優秀ソリスト賞 當村 浩明 (AS)

最優秀ソリスト賞 當村 浩明 (AS)

優秀ソリスト賞 近藤 研也 (AS)

優秀ソリスト賞 近藤 研也 (AS)

優秀ソリスト賞 長澤 真衣子 (Tp)

優秀ソリスト賞 長澤 真衣子 (Tp)

ベストランクアップ賞 名古屋芸術大学[ジャンパ・スウィング・オーケストラ]

ベストランクアップ賞 名古屋芸術大学[ジャンパ・スウィング・オーケストラ]

会場を巻き込み、太鼓を下げて歌いながらの大熱演。
「コンテストで『皆さんごいっしょに』と言った人は初めて」と守屋氏。
みごとベストランクアップ賞受賞。

COLUMN
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これまでのコンサートレポートの内容に加えて、今回は特別に1984年から4年間連続でYAMANO BIG BAND JAZZ CONTESTに参加され、現在もAS/Clプレーヤーとして、また文筆家として活躍されています山口ミルコさんに今回のコンテストについてコラムを書いていただきました。

文 山口ミルコ「人前に立つ」

人前に立って何かをやるのはなかなかむずかしいものだ。テレビや舞台で簡単そうにみえたとしても、じっさい視聴者がやってもああはいかないように、芸人さんや役者さんたちの、その人の持ち味と膨大な努力で成り立っているわけで、練習に練習を重ね、幾多の山を乗り越えてようやっと人前に立っているのである。「人前に立つ」は、特別なことだ。表現だ。私はこういう人間なんですと、世の中に向かって発表する。初めて人前に立った、のはいつだろうか。私の場合、山野といえる。

エレクトーンの発表会や学園祭でのバンド活動はほとんど身内しか聴いてないからのぞく。それから吹奏楽のコンクールもみんなと座っていたからのぞく。同じパートを吹いてる人がいたというのも「人前に立つ」にはあてはまらない。すると子どもの頃から楽器に触れてきた人にとって私のように山野がデビューという人は少なくないかもしれない。自分の表現が、知らない誰かの特別な時間を作ったりする。そんな目に見えないつながりがもてるのだから、「人前に立つ」は重責であるとともにやはり魅力があるよなと思う。

大人になってから、数多くの「一般の山野ファン」のかたがたの存在を知った。「こんなにビッグバンドをまとめて聞ける機会はそうないからね」と話してくれたある年配の方は、ご自身は楽器を触らないと言っていた。一方、私のように卒業しても、趣味で楽器を続けておられる方も多いのだろう。自分がある時期真剣に向き合ったもの、に懸命に取り組む若者たちに対してこんなにいとおしい気持ちが込み上げるとは、これは年をとらねばわからなかったことだ。山野に出ている学生さんたちを、全員かわいいと思ってしまう。ぜんぜん知らない人たちだが、親戚のおばさんのように世話をやきたくなる。自分も現役の頃にはこんなふうに、たくさんの大人たち、知らない人たちから見守られて、あの日、人前に立ったのだ。

演奏者と聴衆、学生と社会人、さまざまな土地からひとびとがやってきて一堂に会し、ビッグバンドジャズを通して心の交流をしてきた、それが40年以上続いているなんてじつに尊い。私は長年山野をあるときは遠くから、あるときは近くで、見続けてきたが、41回を迎えた今年初めて、二日間通して聴いた。すべてのバンドを聞き終わったときの達成感といったらない。最後の表彰式では学生たちの一喜一憂に自分も一緒になって、涙した。もっとも私の胸を射抜いたプレイヤーが、ソリストとして表彰されたのは、自分のことのように嬉しい。彼女の、魂打ち込んだ一音を、私はこれからもずっと忘れることはない。音ってああやって出すものだ。「人前に立つ」ならば。

山口ミルコ Miruko Yamaguchi/プロデューサー、編集者として20年にわたり出版界で活躍。現在は文筆を主に芸能・文芸メディアのさまざまな企画にかかわっている。近況は、自由ヶ丘の小さな出版社・ミシマ社の「ミシマガ」連載エッセイなど。

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