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ConcertReport・コンサートレポート

Toyo University Groovy Sounds Jazz Orchestra RECORDING REPORT

東洋大学Groovy Sounds Jazz Orchestra レコーディングレポート[ 第45回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト連動企画/ベストランクアップ賞 副賞 ]/2014年12月23日(火) Buddy [東京・江古田]

レポート
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 晴天とはいえ冷え込む年末の火曜日、東京・江古田にあるライブハウス「Buddy」の店内に入ると、すでに東洋大学Groovy Sounds Jazz Orchestraのレギュラーグループが入念かつ寒気を追い払うような熱いリハを開始していました。
 ベストランクアップ賞の副賞として行われるレコーディングは、昨年の国際基督教大学Modern Music Societyもこの場所で、しかもこの1年を締めくくるリサイタルという一大イベントであるということも同様です。メンバーの表情にも緊張感と意気込みを感じ取ることができます。全員黒いスーツを身にまとったこのバンドの印象はとても理知的。50名ちかくいるメンバーが1曲ごとに入れ替わるリハーサルの進行を、バンドマスターの平川伸幸さんとコンサートマスターの加藤麻理さんが的確な指示で進めていきます。驚いたのは休憩時間に取材にやってきた私に対して、平川さんの号令のもと、それまで談笑していた大勢のメンバーが一斉の立ち上がって「よろしくお願いしま〜す」とキラキラした表情で挨拶してくれたこと。規律を重んじる伝統がこのバンドにはあるのかなと思ったのですが、「挨拶・返事・掃除は僕のこだわりとしてこの一年徹底させてきたことなんです」とあとで平川さんが話してくれました。このバンマスの並々ならぬ意気込みが、ベストランクアップ賞へとつながったのかもしれません。
 今朝現地入りした録音スタッフは、昨年とほとんどおなじ環境ということもあり、すでに機材のセッティングは終えています。各楽器にマイクを設置することはいつもどおりですが、今回は天井に設置するアンビエンスマイクを客席後方に移動し、ライブ会場の臨場感が出るよう工夫しています。
 リハーサルと最後の全体ミーティングを終え、いよいよ17:00に開場すると、このリサイタルを楽しみにしていた、友人、家族やOB・OGであっという間に客席は埋まり、通路も人がすれ違えないほど立ち見の観客で満員となりました。もちろんメンバーの顔見知りの人ばかり。始まる前から声援が飛び交い、暖かい雰囲気に包まれた最高のシチュエーションが整い、レギュラーバンドの高速チューン「Time Check」でリサイタルがスタート。ステージ上のメンバーはやや緊張気味の面持ちながら、十分練習を積んできた得意曲だけあって素晴らしい演奏を聴かせてくれています。2nd Stageのジュニアバンドもけっして見劣りすることなく、のびのびとしたスイング感を感じさせ、その演奏には惜しみない拍手が送られていました。
 3rd Stageは再びレギュラーバンドが登場し、1曲目の「And That’s That」は来年に向けたあらたなレギュラーメンバーのみによるはじめての演奏ということで、ドラムスを担当する平川さんも気合いが入っていました。そして、4年生の引退セレモニーを交えながら終盤に向け、さらにヒートアップした演奏が続きます。最後は山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストで演奏した「Come On A My House」で幕を閉じました。
 このような特別な思い入れのある演奏会なので、メンバーのみなさんも演奏中に録音していることは忘れているかもしれません。緊張の中ソロで立ち上がると、ついマイクから遠ざかってしまったり。マイクのシールドが外れていることに気づかなかったりと、ライブ録音という意味ではトラブルもありました。しかし、この日レコーディングされたメンバーの想いのこもった音は、きっと一生の宝物になるに違いありません。

インタビュー
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平川伸幸さん(東洋大学Groovy Sounds Jazz Orchestra バンドマスター)

今年度は、練習室を他のサークルと共有せざるを得ない厳しい条件の中でスタートしました。練習方法を変え、自分たちが今できることを探して試行錯誤を重ねた一年だったと思います。約3割は大学に入ってから楽器を始めたメンバーです。ミーティングでの説明を徹底し、みんなが行動に移せるようにお互い工夫しました。選曲も全員で話し合い、山野の予選を通過したことで大きくモチベーションが上がった。非常に良い雰囲気の中で技術を磨くことができました。僕らにとってこのリサイタルはしめくくりでもあり、また新たなスタートです。ライブ録音のチャンスを与えてくださった方々、また神戸からお越しくださった技術スタッフの方には、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

コメント
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クリスマスを明後日にひかえた12月23日。朝から快晴で、飛行機からは富士山がとてもきれいに見えていました。会場に到着し、搬入は東洋大学の皆さんと一緒に行いました。「おはようございます!よろしくおねがいします。」の挨拶がその日の青空のように清々しく感じました。定刻どおりに始まった設営は至って順調で、BUDDYさんのミキシングコンソールとの接続も大きな問題はありませんでした。今回は、できるだけ臨場感を生かすべく天井からマイクを吊るし、会場の空気をまるごと収録することにしました。PAシステムから少し離れた位置で、会場に来られた皆さんの声や拍手もふんだんに取り込むマイクセッティングとなります。リハーサル時にヘッドフォンで音を確認してみると、思わず笑みがこぼれてしまうほどの臨場感で、準備は上々といってところでしょうか。開場の時間を過ぎると、あっという間に会場はいっぱいになり立ち見の方々も多数居られました。そして開演。「Time Check」からスタートし3ステージがあっという間に過ぎていきました。音源のミックスは、会場の雰囲気をたっぷりと再現するために天井から吊るしたマイクを基本にして、オンマイクの音で楽器の輪郭や配置を整えていきました。客席で聴いた時の距離感や各パートの配置と立体感と、楽器の明瞭度や輪郭を両立、楽曲の途中で入るソロ後の声援や拍手の自然さ、などに苦労しました。そしてなんといってもライブならではの「勢い」が失われないよう、「作り過ぎ」に注意を払いました。4年生を送り出す節目の演奏会。その特別な日の生の音を大切にミックスしました。

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バンドマスターの平川伸幸さんから、
今回収録したライブCDの感想を頂きました!
合わせてお送り頂いた皆さんの集合写真も、笑顔いっぱいで素敵です♪

第45回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストで受賞したベストランクアップ賞のレコーディングCDが、先日送られてきました。部員一同がこの日を心待ちにしておりました。
実際にCDを聴いてみると、生でライブを聴いているかのような臨場感だけでなく、なんと会場の空気感までもが収録されていました。五感の中で聴覚と嗅覚が人の記憶を蘇りやすく、このCDには僕の嗅覚にまでも刺激されました。あの日の熱い気持ちを、CDを聴く度に思い出すことができます。
このレコーディングを通じて、私たちの思い出を形に残してくださった、富士通テンの技術スタッフのみなさまには大変感謝しております。 私たちはこれからも日々精進してまいりますので、これからも暖かい応援をよろしくお願いいたします。
最後になりますが、富士通テンのみなさま、この度は本当にありがとうございました。

取材協力:BIGBAND!編集部

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