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ConcertReport・コンサートレポート

YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST 2014

第45回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト 2014年8月16日(土)・17日(日) 大宮ソニックシティ 大ホール [さいたま市/大宮区]

レポート
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 今年も「ヤマノの夏」がやってきました。
 開催場所である大宮ソニックシティ周辺では、楽器を抱えた学生や応援に駆けつけた学生、毎年楽しみに訪れるファンの方たちで朝早くから賑わいを見せるお馴染みの光景が目にとまります。
 今年で第45回を迎えた山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト(以下YBBJC)。1970年当初、大学13校によるコンサートとしてスタートしたこのイベントは、いまや予選を含めると全国から50校を超える大学が参加する一大コンテストに成長しました。楽器演奏レベルの向上、数多くのプロの輩出、そして何よりビッグバンド・ジャズという音楽の発展に貢献してきたことに間違いありません。
 今回、その節目の年にふさわしいトピックスが発表されました。ひとつは『学バン アワード』という新たな賞が設けられたこと。これは審査員による審査とは別に、本選出場バンドが自分たち以外のバンドの中から最も良かったと思うバンドに投票、学生自身の選定による新たな賞の誕生です。2つ目は、社会人バンドを対象とした『社会人 山野ビッグ・バンド・ジャズ・フェスティバル』の開催が、来年7月に決定したこと。YBBJC卒業生はもちろん、全国のアマチュア・ビッグバンドにとって大変喜ばしいニュースといえます。
 そんな明るい話題とともに始まった本大会は、より活気に満ちたハイレベルな内容となりました。「今までもよかったが今回は特にすばらしかった」(瀬川昌久・審査委員長)という講評にも表れているように、過去のYBBJCと比較しても各大学の順位は僅差、惜しくもシード校に届かなかった大学の演奏も平均して高得点だったようです。「3曲ともベイシーの一番いいところを表現していた」(角田健一)立命館大学 R.U.スウィンギン・ハード・ジャズ・アンサンブル、「他の学校が忘れたものを持っている。派手に鳴ってる感じがいい」(本田雅人)埼玉大学 スウィング・キューブ・ジャズ・オーケストラ・ブルー・バンド、「ユニークでびっくりした。気持ちが演奏に乗り移っていた」(内堀勝)国際基督教大学 モダン・ミュージック・ソサエティなど、審査員のコメントからもその充実ぶりがうかがえます。
 また今大会は、多彩な楽器——チューバ、ホルン、フルート、ピッコロ、クラリネット、バイオリンなどが効果的に使用され、ますます音楽性の幅広さ、そして個々の演奏技術の高さを実感できるコンテストだったことも特筆すべき点でしょう。結果こそ早稲田大学 ハイ・ソサエティ・オーケストラの連覇、となりましたが、入賞バンドのみならず参加バンド全体の成長が感じられ、ビッグバンドの醍醐味を十二分に味わうことのできた価値あるコンテストだったといえます。
 大変残念なことに、当初からコンテストを見守りつづけてくださった審査員長の瀬川昌久先生が今回をもって引退されることとなり、会場からは惜しみない感謝の拍手が送られました。
 たくさんの想いとともに終了したヤマノの夏。参加した学生は、早くも新たな次の一歩を踏み出しているに違いありません。

受賞結果

今年も宇関陽一氏のオリジナル曲を演奏。美しいバロック調のイントロ、激しいソロ・バトル、超絶サックスソリからゴスペルへと、壮大なドラマを演じきっての二連覇。「各セクションのリードがすばらしい。管は最高」と角田健一氏。

豪放なプログレッシブ・サウンドが今年も炸裂。「ダイナミクスがいい。音量を自然にコントロールできている。鳥肌がたち、くやしいけど感動した」と本田雅人氏。

研究し尽くされた精緻な演奏で会場を圧倒。「近年にないくらいよかった。ギター、ベースのサポート、リズム隊の音色、サックスセクションとすばらしい」と三木敏悟氏。

にぎやかなMCと磨き抜いた音色で会場を一気に盛り上げる。「勢いでいくバンドからコントロールされた端正なバンドへと変身した。短いソロをしっかり演奏していた」と守屋純子氏。

数十年ぶりにアコースティック・ベーシストが優秀ソリスト賞をゲット。「リズム隊のコンボがバンドを支えている。ブラスは音程がしっかりしていた。何も言うことがない」と納 浩一氏絶賛。

お馴染み・手拍子隊の応援とともに会場を歓喜の渦に。「おもしろかった。ディス・イズ・ドンバ(バンド)! 押さえきれないエネルギーと洗練されたガラの悪さがいい」と前田憲男氏絶賛。

今年もオリジナル曲で勝負。「プレッシャーを超えて余裕を持って演奏していた。アルトサックス、クラリネット、バイオリンが凄いサウンドを生んでいるさすがの編成」と前田憲男氏。

充実した演奏が朝一番の会場を魅了。「アンサンブルがすごい。ホーンセクションはよくまとまり、持ち替え楽器がうまくいった。ソロもすばらしく、何も言うことがない」と内堀 勝氏。

骨太な演奏で2年ぶりの入賞を果たす。「3曲とも違うタイプの曲だがどれもすばらしかった。トロンボーンなど音色がきれいで工夫されている。とてもスマートな演奏」と内堀 勝氏。

モダンな楽曲の魅力を十二分に演奏。「曲の始まりから集中している感じが伝わった。エレキベースの早弾きや管の中身の詰まった音色がいい。音楽がいきいきと聞こえた」と角田健一氏。

富士通テンより、「レコーディング権」が副賞として授与されました。

出演バンド(出演順)

8月16日(土)
  • 01. 青山学院大学[ロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
  • 02. 金沢大学[モダン・ジャズ・ソサエティ]
  • 03. 龍谷大学[ジャズ・バード・オーケストラ]
  • 04. 立命館大学[R.U.スウィンギン・ハード・ジャズ・アンサンブル]
  • 05. 名古屋大学[エーデル・レーテ・ジャズ・オーケストラ]
  • 06. 東京工業大学[ロス・ガラチェロス]
  • 07. 慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]
  • 08. 明治大学[ニュー・ウェ-ブ・ジャズ・オーケストラ]
  • 09. 名古屋音楽大学[めいおん ジャズ・オーケストラ]
  • 10. 中央大学[スウィング・クリスタル・オーケストラ]
  • 11. 立教大学[ニュー・スウィンギン・ハード]
  • 12. 神戸大学[KOBE マソック・ジャズ・オーケストラ]
  • 13. 埼玉大学[スウィング・キューブ・ジャズ・オーケストラ・ブルー・バンド]
  • 14. 洗足学園音楽大学[ゲット・ジャズ・オーケストラ]
  • 15. 獨協大学[スウィンギン・キャッツ・ジャズ・オーケストラ]
  • 16. 愛知大学[ブルー・スターズ・ジャズ・オーケストラ]
  • 17. 上智大学[ニュー・スウィング・ジャズ・オーケストラ]
  • 18. 日本大学[リズム・ソサエティ・オーケストラ]
  • 19. 洗足学園音楽大学[しわしわーず]
  • 20. 日本医科大学[ミッドナイト・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
  • 21. 同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]
8月17日(日)
  • 01. 慶應義塾大学[K.M.P. ニュー・サウンド・オーケストラ]
  • 02. 京都大学[ダーク・ブルー・ニュー・サウンズ・オーケストラ]
  • 03. 学習院大学[スカイ・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
  • 04. 国際基督教大学[モダン・ミュージック・ソサエティ]
  • 05. 東洋大学[グルービー・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
  • 06. 甲南大学[ニューポート・スウィング・オーケストラ]
  • 07. 早稲田大学[ハイ・ソサエティ・オーケストラ]
  • 08. 神奈川大学[カレッヂ・サウンズ・オーケストラ]
  • 09. 横浜国立大学[ベイサウンド・ジャズ・オーケストラ]
  • 10. 昭和大学[メディカル・オール・スターズ・ジャズ・オーケストラ]
  • 11. 大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]
  • 12. 法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]
  • 13. 天理大学[ALS ジャズ・オーケストラ]
  • 14. 明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]

取材協力:BIGBAND!編集部

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