スタジオfの録音レポート

Toshihiko Miki

三木俊彦

no.18

自身がキャンバスになることを目指した、三木さんの初アルバム。

今回、スタジオfで録音したのはアルトサックス三木俊彦さんの1stアルバム「Happy Song」。ライブ活動のなかで出会ったメンバーとの出会いを記念してカタチに残したいと思ったのがアルバム制作のきっかけなのだそうです。「メンバーのラリー・マーシャルがちょうど日本にいる時期だということもあって、作るなら今だと思いました。今回の制作にあたってのコンセプトは、自分がキャンバスになって皆に大きな音楽を作ってもらおう、そういう存在になることを目指しました。サックスはフロント楽器なので、リズムセクションの上で自由にプレイすることを考えるかもしれませんが、そうなるにはまず自分のプレイや音楽を大きく広げることが大事だと思いました」と三木さん。三木さんを筆頭に箕作元総さん、萬恭隆さん、ラリー・マーシャルさんというレギュラーメンバーに、東京で活躍されているピアノの野本晴美さんという最高のメンバーで作られた今回のアルバム。どのようにしてレコーディングされたのかをレポートしていきたいと思います。


まるで絵画を描くように紡がれていく、多彩な楽曲。

今回のレコーディングは録音前日からしっかりとしたリハーサルが行われ、エンジニアとの事前打ち合わせや準備も綿密にされていたことから、当日は一気に録音が進んでいきました。各楽曲ごとの音のイメージが明確で、さまざまなニュアンスの演奏内容とバリエーションにとんだ録音セッティングとが相まって、多彩な雰囲気の楽曲をまるで絵画を描くように生まれていきました。
そのなかでももっとも三木さんが悩んだのはアルバムタイトルにもなっているHappy Songという一曲。「クインテットとギターレスのカルテットで2パターン録ったのですが、どちらも甲乙つけがたい素晴らしい内容でどちらを採用するか悩みました。クインテットの方はギターのイントロが神懸ってましたね。結局、カルテットバージョンとギターのイントロ部分を一曲として『Interlude』として収録しました。この曲は毎回イマジネーションが溢れるものになっているので、アルバムだけでなくライブでも是非聴いていただきたいです」。

ミックス終了後、レコーディングの感想を聞いてみました。

三木俊彦さん
レコーディングでは、自分のプレイや音楽を大きく広げることをテーマに演奏した結果、他のメンバーそれぞれも力を発揮してくれて、素晴らしいアルバムになったととても満足しています。
レコーディングエンジニアは今回、スタジオfさんからの紹介で万波さんにお願いすることになりましたが、本当に僕の細かいこだわりにとことん付き合っていただきました。なかでも「Heaven on Earth」は万波さんのアイデアが生きた曲になりました。

万波幸治さん(レコーディングエンジニア)

ミキサーとしての第一歩は、アーティストの音楽概念やスタイルを把握することから始まります。方法はいろいろありますが、言葉でのディスカッションでは伝わりにくいことも多いので、私はライブに足を運んだり、その方の大事にされている音源を聴かせていただくところからスタートします。今回も三木さんに事前に多くの音源を聴かせていただいて、私も迷いなくレコーディングに挑むことができました。
今回のアルバムで聴いていただきたいのは、曲によってのサックスの音色や全体の中での定位(楽器の配置)です。響きの良い広いスタジオ内でサックスをブースに閉じ込めてしまわずに、他の楽器との位置関係やサックス自体のマイクの距離を曲ごとに変えていくことによってさまざまな表情を捕らえることができるのです。その環境の変化によって、サックスはもちろんのこと、他の楽器の表情も相対的に変わっていきます。広いスタジオならではのユニークな楽曲作品も誕生しました。もし各楽器をそれぞれのブースに分けていたなら、音自体はクリアになりますが、これらの独特な表情を得るのは難しかったと思います。

最高のメンバーが揃った熱い想いがこめられた珠玉アルバム。

打ち合わせからリハーサル、レコーディング当日、ミックスダウンまで非常に丁寧に作られた今回のアルバム。楽曲のイメージごとに作りこまれた各楽器の奥行き感や空気感の違いが心地よく、まるで画集のように私たちを楽しませてくれます。ただ単に生々しいだけではない微妙な部屋の響きや、目の前でそっと奏でてくれているような優しいタッチなど、聴きこめば聴きこむほど味わい深い音が伝わってきます。
表題曲であるHappy Songをはじめ、ライブ活動中に生み出されたオリジナル曲からスタンダード、コンテンポラリーまで幅広く収録された一枚は、TPOを選ばずに素敵な気分にさせてくれる素晴らしいアルバムに仕上がっています。

Album Information

Happy Song/三木俊彦

10年以上前から多数のアルバムレコーディングに参加しているサックスプレイヤー三木俊彦が満を持してリリースする初のリーダー・アルバム。ライブ活動を通じて生まれたオリジナル楽曲をはじめ、コンテンポラリーからスタンダードまでを幅広く収録。ライブでのレギュラーメンバーに加え、ピアノに野本晴美、ドラムにラリー・マーシャルを迎えた豪華な一枚。
[Canvas Recordsより2012年11月14日全国発売]

プレゼント告知!
三木俊彦さんのご好意により、1stアルバム「Happy Song」を3名の方にプレゼント! オリジナル曲からスタンダード、コンテンポラリーまで幅広く収録された一枚です。
さらに今回は特別に、来年1月5日開催のレコ発ライブのチケットもプレゼント!
CDとチケット両方が当たるかも知れません!!豪華プレゼントをお見逃し無く♪

※ライブチケットも併せてご応募される方は、上記プレゼント応募ページ内「その他、ご意見・ご感想」に「チケット希望」とご記入下さい。
■プレゼント概要
[賞品]
1. CDアルバム/三木俊彦 「Happy Song」
2. 新年ジャズライブ ペアチケット http://yokomiki.jimdo.com/
  日時:2013年1月5日(土) 開演 13:30(開場 13:00)
  会場:芸術文化センター 神戸女学院小ホール
[当選者数]・CDアルバム:3名様 ・ライブチケット:5組10名様
 ※どちらか一方、もしくは両方当選の可能性があります。
[当選発表]発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
[開催期間]2012/11/28~2012/12/10
※ご応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
※チケットのプレゼントに、会場までの交通費等は含みません。
※応募受付の確認、当選・落選についてのご質問や、電話でのお問い合わせにはお答えいたしかねます。
※お客様のご連絡先・ご住所が不明などで商品がお届けできない場合は、当選を無効とさせていただく場合があります。
※当選者は本権利を他人に譲渡、または金銭や他の物品と交換はできません。
※当選されたお客様からご提供頂いた個人情報につきましては、当選されたお客様への商品発送のみに利用させて頂きます。頂いた個人情報をその他目的で使用する事はありません。
ライブスケジュール
■三木俊彦ニューイヤーコンサート
日時:2013年1月5日(土) 13:00開場 / 13:30開演
場所:西宮芸術文化センター[神戸女学院 小ホール]
料金:前売り¥3,500 / 当日¥4,000
問い合わせ:http://yokomiki.jimdo.com/

Member Information

三木俊彦さん (Sax)
1976年神戸生まれ。大阪音楽大学Jazz科卒在学中よりプロ活動開始。2000年上京し、自己のグループのほか江藤良人(Dr)グループ、須川光(org)グループ、村上寛(Dr)カルテット、藤井康一(Vo)グループなど多数のバンドに参加し、作曲活動でも頭角を現す。2006年NYに移住し、Bill Saxton(ts)、James Carter(ts)、Greg Bandy(dr)、Randy Johnston(g)などと共演するほか、レゲエ界の大物プロデューサー、Derrick Barnettのレコーディングに参加し 多方面にわたる音楽活動を精力的に展開。また、セネガルやマリなどのネイティブアフリカンバンドにも参加するなど、jazzの伝統を重んじながらグローバルな視点での音楽性を追及している。
http://yokomiki.jimdo.com/
http://yaplog.jp/mikitoshihiko/

野本晴美さん (Piano)
12歳のときにNHKホールで自作曲を東京フィルハーモニーオーケストラと共演。東京芸術大学で作曲を専攻するが、中退。 在学中にジャズを聴くようになり、ジャムセッションに通い、演奏もするようになる。以後、増尾好秋、大坂昌彦、池田篤、中村健吾、Tommy Campbellらのバンド、ツアーに参加。多くのミュージシャンと共演する。2002年1stアルバム「Another ordinaly day」、2007年2ndアルバム「Belinda」リリース。 現在は自己のピアノトリオの他、テナーサックス竹内直とWagane N'diaye Roseらセネガルのパーカッションとのユニットや、シンガーソングライターちみんのサポート、nobomusicaなど活動の場を広げている。
http://blog.livedoor.jp/ha_roomy/lite/

箕作元総さん (Guitar)
1970年、大阪生まれ。幼い頃より、音楽家であった祖父や、音楽好きだった両親の影響で、いろいろな音楽に親しむ。13才でギターを始め、クラシックギターを中川誠氏に師事。15才の頃よりライブハウスなどで活動を始める。ジャズに興味を持ち、道下和彦氏に師事。同時に音楽理論を、祖父に学ぶ。その間に半野喜弘氏と、3年間に渡り共に活動する。20代前半に渡英、渡米。数多くのミュージシャンとのセッションを経験する。現在ライブハウス、イベント,ホテル等で幅広く活躍中。
http://ameblo.jp/motosuper400/

萬恭隆さん (Bass)
1979年京都生まれ。大阪音楽大学短期大学部ジャズ科卒。ジャズを木村知之氏、クラシックを坂倉健氏に師事する。ブルースマンの父の影響を受け少年時代からギターを演奏し、ブルース、ロック、ファンク等のバンドで活動する。のちにジャズに傾倒し、アコースティック・ベースに転向する。大阪音楽大学在学中からジャズシーンでの演奏活動を始め、全国のミュージシャンと共演を重ねる。現在はジャズの枠にとどまらず様々なクリエイティブなシーンで活動中。
http://yasutakayorozu.blog.fc2.com

Larry Marshallさん (Drums)
1965年ペンシルベニア・フィラデルフィア生まれ。フィラデルフィアはジャズの歴史で重要な場所であり、幼少からフィリー・ジョー・ジョーンズ, ジョー モレロ,マックス・ローチ,ロイ ・ヘインズ等の演奏を聴く機会に恵まれた。ウエストチェスター大学在学中にプロとして活動を開始。ケヴィン マホガニー, オテロ・モリノー,ランディ ブレッカーらと演奏を重ねる。他にもエディ ヒギンズ,パットマルティーノ, リッチー コール, フレディ ハバード, ワイクリッフ ゴードン, ジョン・ファディス, アイラ サリバン, ドナルド バード, ビッグバンド(指揮者 クリス リドル)と共演。近年日本に移り、最近はピアニスト プィリップ・ストレンジと活動中、デュオレコーディング In The Moment (Summit Records) をリリース。日本のジャズシーンにおいて確かな存在を見せている。