スタジオfの録音レポート

YAMADA TOMOKAZU GROUP

山田友和グループ

no.05

山田友和の感性が冴え渡る渾身の2ndアルバム。

2008年にリリースしたファーストアルバム「あおの出会う場所」も完売し、さらに活躍を続けるトランペッター山田友和さんのレコーディングを行いました。「波照間島は心の故郷」と言うほど八重山諸島を愛する山田さん、長年の夢だった八重山ライブツアーを2008年に成功させ、2011年の現在も続けられています。また、おおたか静流さんとの共演や声優・朴ろ美さんのアルバム「遠い記憶」に参加するなど、さまざまなアーティストのサポートメンバーとしても活躍されています。
今回、レコーディングしたのは5月20日に発売されたばかりのYAMADA TOMOKAZU GROUPセカンドアルバム「Ordinary Day」。「前回自主制作でリリースしたファーストアルバムから3年経ちましたが、その間に十分に曲を書きためることができたので、単なる曲の寄せ集めではなく一枚の作品としてアルバムを仕上げることができたと思います。この作品のコンセプトは日常の中でふと見つける美しさ。夜明けから始まり朧月夜で終わるこの作品の中に日常で出会う素敵なものがちりばめられています」と話してくださった山田さん。独自の感性、世界観が冴え渡るこのアルバム、いったいどのようにレコーディングされたのでしょうか。

緻密なこだわりが随所に散りばめられたレコーディング。

トランペットプレイヤーという枠にとどまらず、パーカッションやピアニカもプレイする山田さん。また、コンポーザーとしての才能も素晴らしく、今回のアルバムでもその多彩な魅力を遺憾なく発揮されています。今回はいつも一緒に活動されているメンバーでのレコーディングとあって、和気あいあいとレコーディングは進んでいきました。
レコーディング前からエンジニアの長島さんと綿密に打ち合わせを行い、レコーディングの最中も時には自らミキシングコンソールに向かう場面もあり、すみずみまでこだわり抜いた山田さんらしい音が刻み込まれていきます。トランペットの音録りでは、スタジオ内のステージ上の響きも積極的に活用した手法を採用してみたり、聴く人の耳に優しいように視聴環境をいろいろ試しながら、長島さんと何度もやり取りを繰り返しながらの作業となりました。また、今回のゲストボーカルである伊藤大輔さんも山田さんとは息がぴったり。アルバムのラストを飾る「朧月夜」は長島さんもびっくりのワンテイクで素晴らしいプレイを見せてくれました。

ミックス、マスタリング終了後に山田さんに感想を聞いてみました。

山田友和さん
ただでさえ、にぎやかで楽しいメンバーなのですが、メンバーの中にレコーディング直前にハッピーな出来事があった人もいて、笑いの絶えない楽しいレコーディングでした。リーダーとしてナーバスになっているところをいいメンバーに助けられたと思います。ミックス作業では、私が作る曲の中には、ピアニカや小物パーカッション、レインスティックなどを使う曲も多くあり、一般的なジャズの作品よりも各楽器のバランスに注意が必要なケースが多かったのですが、細かい要求にもしっかり応えてもらえたのでよいバランスでミックスできたと思います。マスタリングに関してはエンジニアの長島くんにお任せしたのですが、私の曲をとてもよく理解してくれているので満足のいく仕上がりにしてくれました。

長島 直乗さん(レコーディングエンジニア)

山田さんの作品は今回で2作目となるわけですが、1作目は僕はMix Downのみ担当しています。今回は録音からマスタリングまでを担当することになっていたので、事前の打ち合わせから綿密に行いながらの録音になったわけです。山田さんの楽曲はアレンジなどにも手が込んでおり、楽器の数が多いのも一つの特徴と言えるかもしれません。ミキサーのチャンネルをフルに使いながらの録音になりました。トランペットの音に関しては、オンマイクとオフマイク(Ambient)をうまく混ぜながらの音作りを行いました。オンのマイクで、力強さと近さを演出し、オフのマイクで柔らかい響きを足すといったことをしてます。あとミックスダウンにおいては、音の減衰などにも細かい気配りを発揮してました。パーカッションなどの音の減衰は場面によって自然に減衰させる場合と、機械的に減衰させるのを使い分けるといった具合でした。あと9曲目の「朧月夜」が歌まで含めて完全にテイク1でOKだったのが印象的でした。

日常の中でふと見つけた美しさを感じる「Ordinary Day」。

YAMADA TOMOKAZU GROUPのセカンドアルバムとなる「Ordinary Day」。「ふと視点を変えると、普通の日常の中にも美しいものがたくさん隠れている」というコンセプトのとおり、一曲一曲がとても美しく、あたたかい空気に包まれた演奏になっていて、日常への愛情が感じられる一枚となっています。「夜明け」から始まり、「朧月夜」で終わる「Ordinary Day(普通の日)」、山田さんというフィルターを通した日常にある美しさをじっくりと堪能できるのではないでしょうか。

Album Information

Ordinary Day

トランペットプレイヤー、作曲家として活動中の山田友和の2ndアルバム。「ふと視点を変えると、普通の日常の中にも美しいものがたくさん隠れている」をコンセプトに、自身のグループにゲストボーカル伊藤大輔を迎える。アルバムを通してストーリー性を感じることのできる、美しさとあたたかみに満ちたオリジナル曲集。
JAZZ LAB. RECORDS(JLR1104)/5月20日より発売。]

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Member Information

山田 友和さん (Tp, Flh, Pianica, Perc)
1977年北海道生まれ。嶋本高之氏に師事し、在学中よりジャズトランぺッターとして音楽活動を開始。2004年に山田友和グループを結成し、自身のオリジナル曲を中心に活動。2008年4月に自主制作盤「あおの出会う場所」を発売。同年7月には八重山ライブツアーを成功させる。また、声優の朴ろ美のCDへの参加や、おおたか静流との共演など、様々なバンドのサポートメンバーとしても多方面で活躍中。
http://www.yaeyamada.com

里村 稔さん (Sax)
関西のライブハウスを中心に活動。98年にグローバルジャズオーケストラとともにアメリカ西海岸のモンタレージャズフェスに参加、フュージョンユニットBLACK CANDYでは韓国ツアーに参加するなど、活動の場を海外にもひろげる。古谷充ネイバーフッドビッグバンド、上場正俊「THE BULL」、BEEPOPなどに参加。
http://satomuraminoru.web.fc2.com/index.html

矢藤 亜沙巳さん (Piano)
1984年生まれ。大阪府出身。5歳からクラシックピアノを始める。大阪音楽大学短期大学部ジャズ科に入学。在学中は石井彰氏、今出哲也氏に師事。卒業後は、日野皓正氏、土岐英史氏、大坂昌彦氏、江藤良人氏など、多くのミュージシャンとセッションを重ねる。現在、関西を中心に演奏活動し、またヤマハの講師も務めている。
http://blog.goo.ne.jp/yasama-pf

時安 吉宏さん (Bass)
1978年兵庫県生まれ。大阪音楽大学ジャズ科卒業。音大在学中よりライブ活動を開始。京阪神を中心に、最近では全国的に活躍中。ジャズのみならず、ポップスやゴスペルなどのサポート、また有線やCD作品、DVDなどの参加。そのほか現代美術との競演など、オリジナリティーあふれるその活動は多岐に渡る。

松田"GORI"広士さん (Drs)
16才からハードロックの影響を受けドラムをはじめる。ジャズインプロに傾倒し、2000年渡米。旧友・清野拓巳(g)とデンジャラスサウンドを貪欲に追求、模索、昇華を繰り返し自身のインプロワークGORIOLOGYにて実験。現在NEXTORDER Vermilion Field Igzit-nineなどプログレジャズインプロシーンで活動し多数のアルバムに参加。

伊藤 大輔さん (Vocal, Voice)
13歳から独学で歌を始め、音楽専門学校在学中にプロとしての活動を始める。21歳でYAMAHAポピュラーミュージックスクールの講師になるのと同時に、本格的にジャズのシーンでの活動を始める。関東を中心に日本全域で演奏活動行っている。2006年頃より始めた自身の声だけで演奏する、Voice Soloというスタイルのほか、「音の葉∞言の葉」、「Tommy Campbel Vocal Session Band」、「Strandbeest」のメンバーとして活動するなど、さまざまなアーティストとのセッションライブを行っている。また、ポップスグループ「iora」や、神田サオリなどとのコラボレーションも多数展開し、"声"の可能性を追求している。
http://www.daisuke-ito.net/