クリヤ・マコトのビックリヤ音楽鑑

GINGERBREAD BOYS

ジンジャーブレッドボーイズ

no.01

関西期待の若手ジャズバンド、GINGERBREAD BOYS。

記念すべき第1回目は、関西ジャズシーンの期待の若手GINGERBREAD BOYSのレコーディング風景をお届けします!
GINGERBREAD BOYSは、関西の若手を代表する5人のミュージシャンで結成されたジャズバンド。「全員が音楽監督で、リーダーシップを発揮し、それぞれのオリジナル曲、バンドアレンジのスタンダードを通じてバンドサウンドを追及すること」をコンセプトに、関西のライブハウスやフェスティバルなどを中心に精力的に活動されています。
今回はGINGERBREAD BOYSとしては初めてのアルバムづくり、「このメンバーでバンドとして活動しだして一年半、コンスタントにライブを重ねて育ってきた楽曲を形にしたい。また、音に関しては、とにかく自然な生音を捉え、バンドサウンドも背伸びせずありのままの自分たちの音を刻みたい」とのことです。

リバーブを抑えた自然な音を重視したレコーディング。

「自然な生音」をテーマにした今回のアルバムでは、録音もライブ感を優先。リーダーである権上さんのベースをスタジオ中心に、それを囲むようなイメージでスタジオ内のステージ上手にピアノを配置。個別ブースにはトランペット+サックス、ドラムをそれぞれ配置し、メンバーの目線がリーダーに集まるようなポジションで録音がスタートしました。
「メンバー全員が音楽監督!」のコンセプトどおり、演奏内容から音色や響きまで、メンバー全員の熱い意見が飛び交うレコーディングは、和やかさと何にも束縛されない自由さの中に適度な緊張感があり、とてもクリエイティブな雰囲気でした。
レコーディング中は、全体のグルーブや微妙なニュアンスの確認を演奏ごとに行い、目指す演奏になっていなければ何度も演奏のやり直しを行ないます。このなかでも、レコーディングエンジニアさんは最終形態に近いラフミックスを行いながら確認作業をすすめるのですが、メンバーからは「もっと生っぽく」「リバーブを抑えて」と何度も要求が出ていました。
ご存じの方も多いと思いますが、「リバーブ」とは、生音に残響(響き)を加えることを言います。リバーブを加えることによって、残響のほとんどない小さなスタジオ内のブースで演奏した音が、高級ライブハウスやコンサートホールで演奏しているような音に変化します。皆さんが日常的に聴いている音楽も、多かれ少なかれリバーブ処理が施されているのです。 日頃から人工的な響きのない環境で演奏している皆さんにとっては、このリバーブはいくら高品位でも、自然な響きとは異なる「擬似的な音」であるため、自分たちの耳で聴いて「リバーブを抑えて」という指示をしているんですね。

レコーディング作業を終えて、GINGERBREAD BOYSの
みなさん、レコーディングエンジニアさんに聞いてみました。

権上 康志さん(ベース、リーダー)
まずクオリティの高い機材、特に素晴らしいスピーカーでプレイバックを聴くことができるのは素晴らしかったです。また、スタッフの皆さんの協力的な姿勢が本当にありがたかったです。そして木の温もりのあるゆったりした空間。この三拍子が揃って、最初から最後までリラックスしてのびのびと演奏することができました。

横尾 昌二郎さん(トランペット)
さすが音響機器専門の会社、本格的な機材に驚きました。アコースティックな音楽の製作には最適なスタジオですね。関西の音楽を活性化させる拠点になれば素晴らしいと思います。ちなみに昼食は社員食堂でいただきましたが、こちらも安い、ウマいでGood!

浅井 良将さん(サックス)
スタジオは木の暖かい響きがあって吹きやすかったです。また使いたいと思うスタジオでした。

大友 孝彰さん(ピアノ)
富士通テンのスタジオは、とてもリラックスして演奏できます。スタッフの方たちの音楽を愛する気持ちが、スタジオのいい空気感に繋がっていると思いました。重厚な抜群のスピーカーで自分たちのプレイバックを聴けるので、その点も素晴らしいところです。ピアノは味わい深い音色が出ます。

齋藤 洋平さん(ドラム)
まず広いですよね。ここでフルバンドでもレコーディングしたことがあるのですが、こんな素晴らしい設備がこんな形で使わせていただけるのは本当に素晴らしいことだと思います。そして前より機材なども新しくパワーアップしていて、より良くなっています。

長島 直乗さん (レコーディングエンジニア)
スタジオfは、わりとライブで明るい響きなので、GINGERBREAD BOYSの録音では特にピアノとベースにAmbienceのマイクを立てて、スタジオfらしい音の収録を目指してみました。
ベースの権上さんのリーダーバンドということで、特にベースの録音にはマイクのチョイスを悩みましたね。結局はマイクがAmbienceまで含めると4本。DIも録音したので、計5回線使いました。
マスタリングにおいてはメンバーの皆さんと相談して、デジタル領域での音声信号処理が多かった今回の音源を東京のマスタリングスタジオにてアナログテープに録音し、音に暖かみを加えるといった方法をとりました。
録音時に立てたピアノとベースのAmbienceマイクによるスタジオf特有の空気感がうまく再現された音に仕上がりました。

バンド名がアルバムタイトルになった、
自信の1st「GINGERBREAD BOYS」。

アルバムレコーディングが終わった後、晴れ晴れとした表情で「今回のレコーディングを通じて、バンドとしての更なる一体感が生まれました。自分たちのバンドの活動が、関西のジャズ、ひいては日本のジャズ、音楽界を盛り上げると信じて、これからも積極的にアクションを起こし、道を拓けるべく頑張っていきたいと思います」と語ってくれたGINGERBREAD BOYSの皆さん。
バンド名がそのままタイトルとなった今回のアルバム、オリジナル曲の新鮮なメロディーが聴きどころなのはもちろんのこと、3曲目7曲目のイントロでの重厚でスリリングなベースソロは思わず息を止めて聴き入ってしまうほど。また、全体的にリバーブ感を抑えたドライな仕上がりながら絶妙なマイキングによるスタジオの生の響きや空気感と主旋律であるトランペットとサックスの存在感が新しさの中に饒舌な説得力を付加しているようにも感じられました。

GINGERBREAD BOYS

ベーシスト権上康志の呼びかけにより、関西の若手を代表する5人のジャズミュージシャンで結成。'09年2月より活動を開始し、関西のライブハウスやフェスティバル等を中心にライブ活動を重ね、そのハードバップを基調としつつ、現代的なエッセンスを加えたバンドサウンドは各地で好評を博す。

bass権上 康志http://jazz-bass-gonjo.seesaa.net
trumpet横尾 昌二郎http://yokoobb.blog88.fc2.com
alto sax浅井 良将http://saxryosuke.exblog.jp
piano大友 孝彰http://otomo.tv
drums齋藤 洋平

GINGERBREAD BOYS

バンド名と同タイトルの1stアルバム「GINGERBREAD BOYS」は全8曲中7曲がメンバー自身によるオリジナル曲集。基本に忠実なバップの流れを汲み、どこか耳障りの良い懐かしい感じを醸し出しながらも新鮮なフレーズが次々と耳に飛び込み、最終トラックまでその雰囲気を一気に聴きたくなる現代ハードバップアルバム。
[JAZZ LAB. RECORDS(JLR1003) 価格:2,000円]