ドアを開けると、その気分はさらに満ちてきて。
いや、満たされてきて…と他動詞的にいうべきかな、ママさん(…ったってまだずいぶんお若いんですけどね、なんかこんなお店ではこう呼びたいじゃありませんか)である坂根佳代子さんの笑顔は、一瞬でこちらの気持ちをほどいてしまう。
「こんばんわ、いらっしゃいませ」と迎えてくださる胸元には金色に輝く葡萄のバッジ。あ、坂根さんはソムリエさんなんですね。
おお、さらに店の奥にはワインが並んだカウンターも見える。ドア近くの、スコッチやブランデーが並ぶバーカウンターとは別に、なのだ。こりゃあワイン好きには嬉しいなあ。
坂根さんがソムリエの資格を取ったのも、好きなワイン・美味しいワインを、自信を持ってお客様に奨めたかったから…というのがそもそものきっかけだったとか。資格取得の後でも、坂根さんご自身は「むしろノムリエですけど」と笑っているのだけど。 |