ジャズ探訪記 バックナンバー
●Kobe Live House BIG APPLE
レア・コア・マニア。北野の意外なライブスポット。
トアロードを北へ、ゆるゆると上っていく初冬のこの日。まあ日が短いのなんの、5時前にはすっかり夜である。北野ホテルやシックで趣のある中華料理のお店を越えると東側には異人館通りが見えてくるこの辺り、三宮や元町のようなにぎやかさはないけど、いわゆる「はんなりした」雰囲気が漂っている。ま、神戸の表現に京都弁ってのもどうかとは思いますが(笑)。
で、たしかこのへん…と聞いたけどなあ、とまわりを見ると、目に飛び込んでくる大きなリンゴ。なんともカラフルで、誰でも迷うことはないだろう。

地下にお店があることは、この看板でもすぐわかる。階段を降りると、お、この古いドアがどうも今回の目的地らしい。
そっとドアを開けると…、おおなんだ、この空気は。
壁際のソファ席、小さな黒いテーブルとイス、カウンターに雑然と並んだボトル、ラックにぎっしり詰め込まれたCDと本や雑誌…。
あれ?なんか懐かしい…。なんだか懐かしいぞ?なんだこの感覚は?

あ、そうか。
いや、思いかえせば20年ほど前。毎週のように、重いフレットレスベースを抱えてスタジオやライブハウスを廻っていた季節が僕にもありまして(←カミングアウト・汗)。当時やってたのはジャズではなくてロックでしたが…。その頃に何度もライブをしたあちこちのライブハウス。「インディーズ系」といっていいかもしれない、そんなライブハウスのいくつかはちょうどこんな雰囲気だったなあ。ああ、そうだ、たしかにこんな感じ、出演バンドの賄いの定番だったチキンライスの味まで思い出した(笑)。




お聞きすると、なんとこのビッグアップルは今年で開店20周年。なるほど、僕がバンドやってた時代ともピッタリである。懐かしさのワケはこんへんにあったんですね。
ライブスケジュールを見ると、ジャズに限らずいろんなライブが聴けるようだ。
ノコギリ音楽のサキタハヂメさんのゲスト出演があったり、「先端音楽実験会」「THE ERECTRICK PANIC!!!」などなど、こういうバンド名のレアでコアな響きも、いやあ、実になつかしい。
ジャンルを問わない、いろんなライブがてんこ盛り。思わず遠い目になってしまう…。

ビッグアップルでは、自主制にも力を入れているようで、録音機材も充実している。
引用すると、「MOTU896とDigital Performerによる、最高の24bit/96khzの24chマルチ高音質録音!」。ミックスとマスタリングまで行っているそうで、自分のアルバムを作りたい…と願うミュージシャンには朗報かもしれない。
販売中のアルバムには、須山久美子さんの「おうまさんがやってくる」なんていう、競馬をテーマにしたものもある。しかも連作!こりゃあちょっと他ではありませんねえ(笑)。

静かな北野の街の一角に、こんなライブハウスがあるなんて…。いや、意外な発見でした。
レアでコアな音楽ファンにはたまらないお店のひとつだろう。

Kobe Live House BIG APPLE
●神戸市中央区山本通3-14-24 トーアハイツB-1
●TEL:078-251-7049
取材日:2009.12.10
●http://www.bekkoame.ne.jp/i/big-apple/
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