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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.146
WA Dining いり江

金曜の夜は、お座敷ジャズライブ♪
@神戸・兵庫

神戸の兵庫駅近くの居酒屋さんでは、毎週「お座敷ジャズライブ」が開催されているという。お座敷でジャズ?なんとも不思議な組み合せだが、いったいどんな様子?というわけで、さっそくお店に行ってきた。

JR兵庫駅南側、駅前広場を抜けて信号を渡ってすぐ。一階は定食屋さん「厨・駅さいど」、隣のドアから階段を上がった2階は「WA Dining いり江」。一見ごく普通の街の食堂と居酒屋だ。2階の半分のスペースは洒落たテーブル席で、奥は広々とした畳の座敷という造りになっている。昔の宴会場のような昭和な佇まいに、正面にはドラムセットやキーボード、アンプなど機材が設置され、ちょっと不思議な和洋折衷、レトロな雰囲気が漂う。

オーナーの入江眞弘さんに伺うと「そもそも僕がジャズ好きやから、ライブを始めたんです」。なるほど〜。入江さんは、甲南高校・大学出身で軽音楽部でジャズに親しんだそう。「私らの時代の甲南はロックが全盛でね。ジャズやってたのは私と友人の数人くらい。ベースをやってました」「カラオケが世に出る前の時代で、お小遣い稼ぎと練習を兼ねて、クラブやキャバレーなどあちこちのお店で演奏させてもらいましたね」と話を聞かせてくれた。家業の飲食業を継ぐため音楽の道は諦めたそうだが、当時の仲間にはプロとして第一線で音楽活動を続けているミュージシャンも。7年前に、入江さんが西区伊川谷で経営していた創作料理の店で、彼らの神戸凱旋イベントをしたのがきっかけで、ライブを開催するようになったそうだ。
その後、弟さんの店を引き継いで現在の場所に。伊川谷の店に出演していたいつもの音楽仲間が、座敷を見て「ここでライブしたらおもしろいやん」と、フローリングカーペットを敷き“ステージ”を手作りし、機材を整えた。座布団を並べると20〜30人のライブ会場となる。今では、毎週金曜日にライブを開催し、お客さんは美味しいお酒と料理とともに、くつろぎながらジャズの演奏を楽しんでいる。中には、寝転んで聴いている人もいるとか。

「まさかお座敷でジャズライブをすることになろうとは」と笑う入江さん。「告知も準備も出演者がやってくれるので、ほったらかしですわ。うちはお客さんが飲んで食べてくれたらそれでええので、貸し会場みたいなもんです」。このお座敷ライブ、出演するミュージシャンには「木造で音が抜けるから演奏していて気持ちいい」と好評。裏路地を歩いていた人が、本格的なジャズが聴こえてきた!と店にやってきたことも。街中なので、周囲に気にせず夜遅くまで心置きなく演奏できる。

第1金曜は 映画「スウィング ガールズ」のモデルとしても知られるサックスの入江美香さんのグループ、第3金曜はダイアン・リーン&Vシネマーズ、そして、第4金曜は我らがデンソーテンのジャズバンド「Jazz Materials」がレギュラー出演している。第2、第5金曜もライブを開催。ぜひ、お座敷とジャズという意外な組み合わせを楽しんでみてほしい。