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ジャズピープル

化学反応を楽しみたい。

アコースティックギタリスト 押尾コータローさん
The Symphony Hall Big Bandリーダー 菊池寿人さん
全国で活躍するトッププレイヤーたちを集めた、関西発の本格的なジャズ・ビッグバンドであるThe Symphony Hall Big Band。10回目となる記念すべき公演のゲストは、一本のギターから鮮やかな音色でゆたかな世界観を描くアコースティックギタリストの押尾コータローさん。普段はソロギタリストとして活躍されている押尾さんがビッグバンドと共演、しかも音響に定評のあるザ・シンフォニーホールでとなると期待が高まります。今回は、3月15日に開催されるザ・シンフォニーホール記念特別公演VOL.10について、押尾コータローさんとザ・シンフォニーホールビッグバンド代表の菊池寿人さんにお話をうかがいました。

person

押尾コータロー

2002年アコースティックギタリストとしてメジャーデビューし、同年10月全米メジャーデビュー。海外での評価も高く、スイスの「モントルー・ジャズ・フェスティバル」への出演や、アジア各国でのソロライブも多数開催。1本のギターで弾いているとは思えない、鮮やかで迫力あるギターアレンジとあたたかく繊細な演奏は世代を超えて多くの人々に支持を受けている。ソロアーティストとして全国ツアーなどのライブ活動を中心に、映画音楽、番組テーマ曲、CM音楽などの作曲も行っている。ジャンルを超えたコラボレーションも話題で、幅広いスタンスで活躍中。



菊池寿人

大阪芸術大学演奏学科卒業後、クラシックを中心に活動し、ジャズ、ラテンなどポピュラー音楽のジャンルに活動の場を移す。1994年に自身の主宰するビッグバンドを結成し、演奏活動を行う。そのなかで学校教育の一環としての「学校音楽鑑賞会」に力を入れ、好評を得る。2010~15年には神戸ジャズストリートに演奏者、ワークショップの講師として参加。2013~14年には東日本大震災の被災支援活動プロジェクト「Smile For Swing Girls」にて石巻市の学生ビッグバンドの指導にあたる。2015年The Symphony Hall Big Bandリーダー兼音楽監督就任。



interview

「押尾さんとならすごい化学反応が起きるんじゃないか」(菊池)アコースティックギターとビッグバンドのコラボレーション。



── The Symphony Hall Big Bandと押尾コータローさん、すごく意外な組み合わせで楽しみなのですが、ゲストを選ばれた経緯をお聞かせください。

菊池「The Symphony Hall Big Bandができてちょうど2年になります。今ビッグバンドって社会人の方や学生さんの間でも流行っていますが、ビッグバンドっていろんな可能性がありますよね。スイングジャズやモダンジャズだけじゃなくてクラシックやポップやラテンなんかの要素もある。このビッグバンドの特長はそのたくさんあるジャンルをアレンジして、普段ビッグバンドとコラボしない楽器と一緒にやって新しい可能性を作るところです。押尾さんは普段一人で活動されていることが多いですが、本当に一人とは思えない分厚い演奏をされています。それをビッグバンドとアレンジしてご一緒させてもらったら、すごい化学反応が起きるんじゃないかということで今回お願いしました。」

── 押尾さんはモントルー・ジャズ・フェスティバルにもご出演されましたが、ジャズはいかがですか?

押尾「そうですね、これまでジャズのカテゴリでやってきたわけではなくて、どちらかというとセッションと言ってもアドリブを求められることの多いジャズとは反対の、決めたものをやるというスタイルが多かったですね。僕の奏法はオープンチューニングも多いので、なかなか即興的な演奏っていうのは困難だと思っていました。でもソロでやればやるほど、周りから『一緒に何かやろう』って声をかけてくれることが増えてきて、これはちゃんと練習しないといけないなと。だからここ最近は、ジャズの楽しさもわかるようになってきたと思います。」

── これまでビッグバンドと共演されたご経験はありますか?

デビューしてすぐの頃とその数年後、アロー・ジャズ・オーケストラの皆さんと一緒にやったことはあるんですが、それ以来なので僕自身もすごく楽しみです。」

── 予定されているプログラムを見ると、「スペイン」や「A列車で行こう」などのおなじみの曲からクラシック曲「花のワルツ」、そして押尾さんの「Together!!!」「蜃気楼」と、これらの曲がどうアレンジされるのか楽しみです。

菊池「そうですね。ザ・シンフォニーホールという場所柄、普段はクラシックを聴くお客様が多いと思います。そういう方にビッグバンドってこんなに楽しいんだよ、ジャズってこんなに面白いんだよ、ということを知っていただきたくて、どこかで聴いたことがあるスタンダードナンバーをチョイスしました。」

── 普段ジャズ聴かない人には魅力が分かりやすい曲ですし、聴く人も「この曲がどんなふうになるんだろう」という楽しみが広がる選曲ですよね。

菊池「そうですね。あと今回はなんといっても押尾さんの曲です。押尾さんのファンの方は普段たくさんコンサートで聴かれてると思うのですが、その押尾さんの曲がビッグバンドと演奏すると…というところを楽しみにしていてほしいですね。」

── 押尾さんお一人でも華やかですが、さらにビッグバンドが加わるとなるとどうなってしまうんでしょうか…すごく期待が高まります。

菊池「そうでしょう。その化学反応を是非聴いていただきたいですね。」

── あと、先程、あまりビッグバンドとコラボしない楽器と言われてたように、ビッグバンドの音の厚みにギターというのが異色な気がします。

菊池「このホールでやるときは生の音を重視しているので、よくあるような感じで両サイドに大きなスピーカーを置いたりはしません。アコースティックのサウンドにちょっと足していくようにPAを組んでいきます。そこに押尾さんの音を上手くのせていくという感じですね。ザ・シンフォニーホールの音の響きの良さも含めて、それも楽しみにしていただければと思います。」

── ところで押尾さんは大阪が拠点ですが、神戸にも来られることはありますか?

押尾「ありますよ。大阪に住んでいる僕からすると神戸と京都はちょっと憧れなんですよね。神戸は街がきれいだし、商店街も楽しいし、美味しいものありますし、あとはなんといっても神戸といえばジャズですよね。」

── 神戸の魅力をありがとうございます。

押尾「神戸でやりたいっていうミュージションも多いですし、さすがジャズ発祥の地って思います。素晴らしいミュージシャンもたくさんいますしね。」

「身に付けたテクニックを活かして、それを超えるものを」(押尾)プロミュージシャンだからこその感動の生まれる音楽。



── 神戸は中高生のビッグバンドのイベントの開催地でもあります。そこで押尾さんに、ミュージシャンを志している学生さんに何かアドバイスがあればお聞きしたいのですが。

押尾「びっくりするぐらい上手い奴もいるし、テクニックも瞬発力もあって、僕らからすると脅威すら感じますからね。どうやって出る杭を打とうかと(笑)。一番テクニックを身につける時期ですからね。未来の素晴らしいミュージシャンがたくさんいるので、反対に僕らがどのように上手くサポートしてあげるか、どうやってより良い環境に持っていってあげられるか、大人として考えないといけないこともたくさんあると思っています。でも、一番伝えたいことは、テクニックを磨いて、より良い音楽をたくさん聴いて、最終的にはそのテクニックを活かして、それを超えるものを見つけて欲しいなということ。人の感動や涙はテクニックだけじゃできないことです。でも学生の間はテクニックをたくさん身に付けた方がいい時期だと思います。」

── 押尾さんご自身は独学ですよね。

押尾「そうですね。独学で、ライブを重ねていくうちに、お客さんに『完璧なテクニックを見せるだけではだめなんだ』ということを思い知らされましたね。」

── 感動っていうのはロジックが難しいですからね。でも押尾さんのコンサートは、演奏はもちろん、トークもすごく楽しくて、お客さんの満足度も高いと思います。

押尾「トークは必要に迫られただけですけど(笑)。人となりや曲に込めた想いをトークでわかってもらって演奏するほうがお客さんの心に届きやすいという面はあると思います。初めて来てくれた方にも『すごく良かった。今日来て良かったな』と思ってくれるものを目指したいです。お客さんが笑顔で帰ってくれるには、スーパーテクニックもひとつだけど、一音一音魂を込めて演奏するっていうことが大切だと思っています。特に今回の公演ではビッグバンドといかにピタっと合うか、みたいなところも聞いてもらいたいですね。」

── ビッグバンドは大所帯ですからね。

押尾「そうそう。どうよ、このキレ!みたいな(笑)。これがプロという演奏をしたいですね。お客さんに『また来たい、ザ・シンフォニーホールのビッグバンドと押尾コータロー』って思ってもらえたら次にもつながります。」

── すごく大切なことだと思います。最後に、今回の公演で押尾さんご自身が期待されていることがありましたらお聞かせください。

押尾「やっぱりゴージャスになりますからね。僕は普段一人でやっていて、もちろんその世界観が好きなんですけど、ビッグバンドの分厚いサウンドとシンクロするっていうのは、これは絶対カッコイイなと。また全然別物に生まれ変わるんじゃないかな。ビッグバンドが初めてのお客さんは『ビッグバンドっていいな』って、ビッグバンド好きな人は『アコースティックギターっていいな』って思ってもらえたら嬉しいですね。ビッグバンドのギターってどっちかというとリズムを刻むポジションなので、新たな魅力を知ってもらえれば僕もありがたいですし。それにプラスして、ザ・シンフォニーホールですからね。大阪が誇る音響が素晴らしいホールなので僕も楽しみです。」

菊池「すごく贅沢感の感じられるコンサートになると思います。学生さんにも是非来て欲しい。」

押尾「そうですよね。普段は大音量に慣れてしまっている方たちにも、楽器そのものの音を楽しんで欲しい。ライブって楽しい、生音ってこんなにいい音がするんだっていうことを、ザ・シンフォニーホールで是非体験して欲しいですね。」

── 今日はどうもありがとうございました!

information

[ Live Information ]


日時:2018年3月15日(木)19:00開演(18:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール
料金:S席¥5,400 A席¥4,320 B席¥3,240/学生席¥1,080 プレミアム席¥7,560(全席指定 税込)
出演:The Symphony Hall Big Band/スペシャルゲスト 押尾コータロー
曲目:◆シング・シング・シング
◆くるみ割り人形から「花のワルツ」
◆スペイン
◆A列車で行こう
◆Together!!!(押尾コータロー作曲)
◆蜃気楼(押尾コータロー作曲)
チケット:ザ・シンフォニー チケットセンター 06-6453-2333(10:00~18:00 火曜定休)
http://www.symphonyhall.jp
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