SHUJI MIYAZAKI / Yamano Big Band Jazz Contest Execution chairman
今年はどんなドラマが 生まれるのでしょうか?
今年で41回目を迎えるという歴史あるビッグバンドコンテスト「YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST」。8月の本選会を前に、今年は初めての関西での予選が開催されました。
本番前の緊張感ただよう中、実行委員長の宮崎修次さんにお話をうかがいました。
person
山野楽器 ビッグ・バンド・シャズコンテスト
実行委員長 宮崎修次さん
interview
「全員参加」で始まったコンサート&クリニック
歴史あるこのコンテストですが、そもそもはどのようなところから始まったのでしょう?

「このコンテスト、最初はコンテストという形ではなく、山野楽器本店で行なっていたプロの方のクリニックみたいなものを通して集まった学生バンド達によるコンサートというか「ビッグバンド・フェス」といったものだったんですね。しかも申し込みをされたバンドは全員参加という前提で、予選そのものもありませんでした。

そのうち、せっかくたくさんのバンドが参加するんだから…ということで、第5回からコンテストという形を取るようになったんです。

ところがだんだん参加バンドが増えてきて、初期には一日で終わっていたコンテストが、それではおさまらなくなってきたんです。じゃあ、ということで今度は2日間の開催となりましたが、それでも間に合わなくなってきました。そして、最多の時には50バンド近いバンドが参加することになったんですが、だからといって今度は3日間に…というわけにもいかなくなりまして…」

物理的に難しいところがでてきたわけですね。

「そうなんです。結果的に、予選を行うことになりました。
最初はテープ審査でしたが、いろいろ問題も出てきたため、今はライブで審査することになりました。
予選・本選を通じて「公正さ」が大前提ですので、メンバーの登録やそのチェックもかなり細かくやっています。


実際のバンド活動では、個々のメンバーが複数のバンドをかけもちしていたり、自分の所属ではない大学のバンドのメンバーとしても活動していたりするケースもあるんですね。極端な例だと、プログラムの医科大学のバンドメンバーの所属が「文学部」と記載されている、というようなことがありまして(笑)。
大学間で交流があるのはいいことなんですが、あまり行き過ぎるとちょっとこのコンテストの主旨とはずれてくることもあり、メンバーのチェックはかなり厳しくすることになりました。まあそのぶん作業は大変になるんですけど(笑)。
去年は、いよいよ関西での予選開催…となったんですが、直前になって例のインフルエンザの騒ぎがありましてね、ライブでの予選ができなくなってしまったんです。そして、ようやく今年、第一回目のライブでの西日本予選の開催となったわけです」

学生バンドの個性にも関西スピリットが?
関西の各参加バンドに対しての印象やご意見があればうかがいたいのですが。

関西の学生バンドはとても個性的でおもしろいと思いますね。
スタンダードなジャズをやっているバンドがある一方で、先進的なことに取り組んでいるバンドもある。
それに芸人魂といいますか、観客を楽しませようという工夫が感じられるんですね。もちろん基本的な技術なども重要な審査項目ではありますが、そこはやはり音楽ですから、審査項目の中にはステージング、エンタテイメント性みたいな項目もあり、見逃せないところではあります。

近年、どの学生バンドも本当にうまくなっています。
でも意外に、聴いている音楽の幅が狭いような気もするんですね。もちろん自分たちがやっている曲は聴いていると思いますし、譜面の解釈もきちんとしている。
でももっと他のジャズや、ジャズ以外のいろんな音楽も聴いてほしいんです。そうすることによって音楽的な素養というか、自分の音楽を高めていってほしいと思います。
そうすることでもっともっとバンドの魅力は大きくなるはず。若い、可能性のある人たちだからこそ、ちんまり小器用にまとまらず、どんどん大きく育っていってほしいですね。

東日本予選・西日本予選それぞれに、予選でありながらとても感動しました。いや、まさに「笑いあり涙あり」といいますか、とても魅力的な演奏が聴けました。やはりみんな素晴らしいバンドです。
大学を卒業してもずっとアマチュアとしてジャズを続けていく人たちや、高校生バンドも多くいるわけで、そんなことも視野に入れなければいけませんね。
彼らにとって憧れの場・そしていい想い出の場にもなるようなコンテストにしたいと思っています」

特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People