KOICHIRO TOKUMOCHI / Line Drawing In The Air
「線」が奏でるジャズの名曲。
まるで紙から抜け出した「線」のプレイヤーと本物のプレイヤーが共演しているような、不思議な風景。空中でペンを走らせたような「線」のプレイヤーたち、実は彼らは鉄筋で作られた彫刻作品なのです。これはNYでジャズに魅せられて以来、ジャズに関する作品を次々と発表している芸術家、徳持耕一郎さんによる作品。作品と空間が溶け込み、見慣れている風景もアートの一部となって観る人の心に飛び込んできます。「線」のプレイヤーたちが奏でる音が聴こえてきそうなほど、生き生きとした「線」の世界はジャズのスイング感さながら。ジャズとアートの魅力を併せ持つ、楽しさいっぱいの徳持さんの作品は国内外で高い評価を得ています。
person
徳持 耕一郎さん
1957年鳥取県出身。版画全般を学び木版画を10年間制作。1989年にNYでの個展をきっかけに、アートとジャズに出会いました。ジャズライブを聴いている最中にナプキンにスケッチをしたことから、以来ジャズに関する作品を発表しています。鉄筋彫刻をはじめ、銅版画やシルクスクリーンなど作品多数。アルバムジャケットやスイングジャーナルなどの雑誌イラストも数多く手掛けています。鳥取を活動拠点としながらも、最近では神戸ジャズストリートでの作品展示やKOBEjazz.jpにもご協力いただいたりと神戸のジャズ文化活性にも貢献されています。
作品をご覧になりたい方は、ギャラリー春志音
http://www.halcyon.co.jp)まで。
 
徳持 耕一郎さん
Workshop SAURS
ワークショップ・ザウルス
〒680-1412
鳥取市宮谷300
E-mail/saurs@hal.ne.jp
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SAURSホームページ
commentary
硬さと柔らかさを表現する「線」。
鉄は硬いというイメージがありますが、硬さとともに柔らかさも持っていると徳持さんは言います。柔らかいことで曲がり、硬さでかたちを固定する鉄。徳持さんの作品特有の「宙に描かれた線」も、均一な太さで空間にベクトルを持つことのできる鉄の特性が活かされています。
砂丘と「線」のコラボレーション。
「最初は何気なく持って行って写真を撮るつもりだった」という地元、鳥取砂丘では、美しい夕焼けに出会い、以来作品の背景として好んで使うように。日中、夕暮れ、雪景色、などさまざまな表情を見せる砂丘の雄大な姿に鉄筋彫刻が映え、美しい作品になっています。
ジャズのスイング感=「線」。
普段から書き溜めているスケッチが表現の源。「走るように描いた線とジャズのスイング感が一致した」というように、見たものを素早く描くスケッチはまさに即興であり、ジャズそのもの。「描くというより、いい音楽に描かされている」という「線」にはジャズの魅力も詰まっています。
「線」にこだわり続ける作品づくり。
「日本の芸術のアイデンティティは『線』にある」という徳持さん。鉄筋彫刻、銅版画、シルクスクリーンなど表現は違えど、どの作品もそれぞれの素材の特性を活かし、それぞれの技法でしか出せない独特の「線」で描かれています。生きた「線」にこだわり続ける作家です。
特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People