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ConcertReport・コンサートレポート

YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST 2011

第42回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト 2010年8月13日(土)・14日(日) 大宮ソニックシティ 大ホール [さいたま市/大宮区]

2011年8月13〜14日に行われた第42回山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト。3.11の影響を受けつつも、充実した内容で観客を魅了。国立音楽大学ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラは大会5連覇を成し遂げました。

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「再会を果たし、最初に音出しをしたときの感動はひとしおでした」。
 そうコメントし、拍手で迎えられた東北大学ジャズ・オーケストラの演奏からスタートした、第42回山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト(以下YBBJC)。

 3月11日の東日本大震災は、日本列島に大きな衝撃を与えました。YBBJCも震災直後は、出演者および来場者の安全確保、また計画停電による電力の安定供給への懸念から、開催自体が危ぶまれた状況でした。しかし予選審査方法・日程の変更などを経て、ようやくこの日の開催を実現。被災地からの東北大学の参加は、YBBJCにかかわる誰にとっても、感慨深い復興への「象徴」だったのではないでしょうか。

 今回の本選は「各大学の個性が際だち、目指すべき方向がはっきりしてきた」(審査委員長・瀬川昌久氏)大会であったといえます。
 ラテンの東京工業大学ロス・ガラチェロス、ベイシーの大阪大学ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ、ギル・エバンスの青山学院大学ロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラなど、おなじみのカラーを誇る大学はもちろん、他の大学でも個性に合わせた質の高いオリジナル曲・オリジナルアレンジなど、楽曲や楽器に工夫を凝らした演奏が目立ちました。そして「よくまとまった」「いつの間にこんなに成長したのか」「去年より倍以上よくなった」など、演奏の質・内容の向上を称える審査員のコメントが数多く寄せられたことも、今回の特長といえるでしょう。

 そんな中、「アンサンブル、アレンジとも最高。採点表は満点」と絶賛された国立音楽大学ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラは史上初となる五連覇を達成。「まるでプロのよう。難しい楽曲が並ぶ中、正統派路線で個性を出している」と評された明治大学ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラが第2位に。「学生バンドの域を超えている。非常に素晴らしい」と早稲田大学 ハイ・ソサエティ・オーケストラが第3位、という結果でした。

 今年から新たにトランペッターのエリック・ミヤシロ氏が審査員として参加。初日の最後に、自身のEMバンドを率い、気迫あふれる演奏で客席を沸かせました。翌日には、結成66年目を迎える森寿男とブルーコーツがゲストとして登場すると、満席の会場から敬愛に満ちた声援と大きな拍手が送られたことも印象的です。

 「ビッグバンドを愛する大勢のみなさま、どうぞ終了後もご無事にお過ごしください。そして東北大学にもう一度拍手を。これからも山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストを開催していきます!」山野楽器代表・山野政彦社長の終わりのことばは、困難に直面している日本の現状に対し、音楽文化を守り抜こうという強い決意に築かれ、演奏に情熱を注ぐ若い世代の希望へとつなげられたことでしょう。

 YBBJCは、今年も多くの感動を残し、盛況のうちに幕を閉じました。

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完成度の高さと群を抜く音色の美しさで会場を圧倒。「感動しました。あまりの素晴らしさに15分があっという間に終わった。風格さえ感じる」と角田健一氏が絶賛。

骨太なサウンドに強力なソリスト陣を加え、王道スタンダードで真っ向勝負。「トータルのクオリティが高い。自分たちが活きるテンポを考え抜いている」と本田雅人氏。

秀逸なリズム隊とドラマティックなホーンで、オリジナルアレンジのフラメンコを演奏。「今回は特に分かりやすい。すばらしい演奏。まったく問題ない」と前田憲男氏。

さいたま市長賞は今年から新たに設けられた賞。「さすがにすばらしい。
譜面にない場面で、さらにバンドのカラーが活きる工夫を」と納浩一氏。

初参加・初出場で上位入賞と大躍進。
円陣を組んでのみごとなサックスソロに「新しい可能性を感じた」と守屋純子氏。

華やかなソリスト陣をフューチャーしたノリノリの演奏。
「ホーンセクションの完成度がすばらしい」と前田憲男氏。

バンドの看板「ギル・エバンス」を中心に3曲演奏。
「楽しめました。バンドのカラーが出ていてよかった」と納浩一氏。

チック・コリアの曲をオリジナルアレンジで。
「バンドの一体感が感じられる。コンテストというより音楽会のよう。」と内堀 勝氏。

ダイナミック&パワフルなラテンで昨年に続き入賞。
「自分たちの音楽をアピールする方法を知っている」と角田健一氏。

華やかに、かつ強力にスイング。ソロのバトルは圧巻。
「カッコよかった。パワフルでバランスがいい」とエリック・ミヤシロ氏。

「この舞台に立てて嬉しい」と喜びのコメント。
富士通テンより、「ライブ録音と記念CDの制作」が副賞として授与されました。

出演バンド(出演順)
●8月13日(土)

01. 東北大学[ジャズ・オーケストラ]
02. 和光大学[グリーン・キャタピラーズ・ジャズ・オーケストラ]
03. 名古屋音楽大学[めいおんジャズ・オーケストラ]
04. 東京工業大学[ロス・ガラチェロス]
05. 昭和大学[メディカル・オールスターズ・ジャズ・オーケストラ]
06. 芝浦工業大学[カレッジ・ソサエティ・ジャズ・オーケストラ]
07. 同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]
08. 洗足学園音楽大学[ゲット・ジャズ・オーケストラ]
09. 法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]
10. 日本大学[スパイシー・サウンズ・カンパニー]
11. 大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]
12. 金沢大学[モダン・ジャズ・ソサエティ]
13. 学習院大学[スカイ・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
14. 早稲田大学[ハイ・ソサエティ・オーケストラ
15. 慶應義塾大学[K.M.P.ニュー・サウンド・オーケストラ]
16. 上智大学[ニュー・スウィング・ジャズ・オーケストラ]
17. 洗足学園音楽大学[しわしわーず]
18. 甲南大学[ニューポート・スウィング・オーケストラ]

19. 青山学院大学[ロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
20. 立命館大学[R.U.スウィンギン·ハード·ジャズ·アンサンブル]
21. 明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]
 

●8月14日(日)

01. 中央大学[スウィング・クリスタル・オーケストラ]
02. 名古屋大学[エーデル・レーテ・ジャズ・オーケストラ]
03. 日本大学[リズム・ソサエティ・オーケストラ]
04. 立教大学[ニュー・スウィンギン・ハード]
05. 関西学院大学[K.G. スウィング・チャリオティアーズ]
06. 日本大学[ホワイト・リズム・エコーズ・オーケストラ]
07. 国立音楽大学[ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ]
08. 愛知大学[ブルー・スターズ・ジャズ・オーケストラ]
09. 名古屋芸術大学[ジャンパ・スウィング・オーケストラ]
10. 東京大学[ジャズ・ジャンク・ワークショップ]
11. 天理大学[ALSジャズ・オーケストラ]
12. 獨協大学[スウィンギン・キャッツ・ジャズ・オーケストラ]
13. 日本医科大学[ミッドナイト・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
14. 慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]

取材協力:BIGBAND!編集部