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ConcertReport・コンサートレポート

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 山中湖、といえば、あの1986年から1995年まで続いた「Mt Fuji Jazz Festival」を思い起こすジャズファンも多いことでしょう。亡きフレディー・ハバード、トニー・ウイリアムス、ミッシェル・ペトルチアーニらの演奏や、ダイアン・リーブスの日本デビューなど「伝説」と呼ぶにふさわしい、世界から注目されたジャズ・フェスティバルでした。
 その同じ地で、今年7月30日、「2011山中湖ジャズ・コンペティション in きらら」 が初めて開催されました。全国から広くアマチュア・ジャズ・プレイヤーを募集。音楽の質・技術の向上、また地域の音楽文化振興をめざすこのイベントには、アマチュアコンボ3組と中学生から大学生までの学生ビッグバンド7組が参加しました。
 第1部はコンボからスタート。各バンドがこの日のために準備した曲をそれぞれ熱演。休憩を挟み第2部に移る頃、天候が急変。雨のため途中中止も心配されましたが、2段構造になっているステージの下段へ客席を急きょ設置するというスタッフの努力もあって、1時間後になんとか再開することができました。

 ビッグバンドの名門、富士学苑中学高等学校 Moon Inlet Sounds Orchestraから始まった第2部は、それまでの不安を吹き飛ばすかのようなエネルギッシュな演奏。ステージへ移動した観客は、思わずその迫力に引き込まれます。ギャラリーとの距離が近くなったことで、かえって熱くなったのか、どのバンドの演奏も活き活きと充実した内容です。また出番を終えた中学生が、大学生の演奏を客席から固唾をのんで聴き入る姿も印象的でした。
 各賞発表のころにはすっかり雨も止み、それまで厚い雲に覆われていた富士山が、ステージ正面に夕景の絵画のような姿を現し、有終の美を飾りました。
 「2011山中湖ジャズ・コンペティション in きらら」は、人と地域を育てつつ、情報発信をしていくという、伝統ある「ジャズのまち」にふさわしいイベントとして、新たに定着していくことを予感させてくれました。

■出演バンド[コンボの部]
  1. 吹谷 禎一郎 Jazz Quartet
  2. 魚返 明未 トリオ
  3. AKTQ
■出演バンド[ビッグバンドの部]
  1. 富士学苑中学高等学校 Moon Inlet Sounds Orchestra
  2. 国際基督教大学 Modern Music Society
  3. 山中湖村立山中湖中学校 Blue Lake Beat
  4. 横浜市立大学 セカンド·ウインド·ジャズ·オーケストラ
  5. 正則学園高等学校 EMP
  6. 横浜市立笹下中学校 Sasage Jazz Ensemble Orchestra
  7. 慶應義塾大学 ライト·ミュージック·ソサエティ
■審査員(敬称略)
  1. 吉田 治(サクソフォンプレイヤー、作編曲家)
  2. 羽毛田 耕士(トランペッター、作編曲家)
  3. 古谷 淳(ピアニスト、作曲家)
  4. 長田 美紀子(山中湖村教育長)
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専門の運営スタッフさんは、音響チェックや進行確認など、夕方まで準備に忙しい。野外ステージの前には広々とした芝生スペースが広がっています。

審査員吉田治氏によるサックス・クリニックも同時に開催。参加した高校生に対し、楽器の指導だけではなく、卒業後の進路の可能性について丁寧に相談にのっていたことが印象的でした。

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ゆったりとした大きなステージ。芝生のグリーンが青空と爽やかな朝日に映えます。

芝生に日よけテントを張って出番を待つ中学生。 学生の保護者や地元のお客さまなどが少しずつ姿をみせはじめたころ、雲行きが怪しくなってきました。

いよいよイベント開始。首都圏近郊で活動する3グループが出演。オリジナル曲・スタンダード曲などを披露。

現役トップミュージシャンの各審査員がそれぞれチェックシートに採点。出演したミュージシャンにはきめ細やかな講評が送られました。

コンボの部終了後、大粒の雨と強風が。落雷注意報も出てイベントは中断。観客を避難させ、経過を見守るスタッフ。

予報を聞きながら演奏席や楽器・機材を移動。 ステージ上に観客席を移動することを検討するスタッフ。雨足はなかなか収まりません。

2段構造になっている舞台上段をステージに。下段には可動式の客席を設置して再開することになりました。大勢のスタッフでグランドピアノを上段へ移動する大がかりな作業。

中断したことを忘れさせるような力強い演奏。地元山梨ではもちろん、ビッグバンドの名門として全国的にも有名なバンドです。

昨日クリニックに参加していた3年生の宮谷君のアルトサックス・ソロ。レッスンを受けたその成果を披露。

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