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ConcertReport・コンサートレポート

Student JAZZ Festival 2011

第20回記念 スチューデントジャズフェスティバル2011 2011年01月22日(土)・23日(日)東京・千駄ヶ谷 日本青年館

東日本の小・中・高校生によるビッグバンドの祭典

「スチューデントジャズフェスティバル」 という名称で行われる催しは、関西、浜松など各地で開催されています。2011年1月22日〜23日、東京・千駄ヶ谷の日本青年館でも、今年で20回目となるスチューデントジャズフェスティバルが開催されました。この前身であるイベントが9団体の参加によって初開催されたのは1984年。名称変更後、第1回となる1992年には15校、そして今や2日間で40校を超える参加からなる大きな催しに発展。東日本の各地から泊まりがけでやってくる参加校も珍しくありません。ジャズの演奏には定評のある有名校から、結成して間もない学校まで、さまざまなキャラクターの共演がフェスティバルを盛り上げていました。

トップは調布市立第一小学校。50人近い大編成で始まった「BRAZIL」のパーカッションは圧巻。いきなり観客のスイッチが入ります。次々と出演するどのバンドの演奏も、まっすぐに心に響くのはなぜでしょう。子どもたちの明るく真剣な演奏には、上手い下手を飛び越えた、なにか特別なチカラが備わっているような気がします。

と、そういいつつも、彼らの技術レベルの高さ、選曲の幅広さにはびっくりです。ネスティコやボブ・ミンツァーはあたりまえ。小学生の「マイルストーン」、もうカッコよすぎでしょう!

スチューデントジャズフェスティバルは、生徒たちにとって発表の場であると同時に、他校の演奏をじっくり聴ける貴重な機会。そんな中で「メッセージカード」というシステムがあります。各学校に100枚程配布され、互いに聴いた感想を書いて交換し合うという方法。これが講師の先生方からのアドバイスと同様、生徒たちにはとても大きな励みとなっているそうです。

特に輝いていたプレイヤー・団体には、優秀セクション賞、優秀プレイヤー賞、優秀団体賞、JAJE東日本会長賞などが贈られ、JAJE東日本会長賞を受賞の3校——富士学苑中学・高等学校、羽黒高等学校、横浜市立笹下中学校は、2011年5月に開催される浜松JAZZ WEEKにJAJE東日本代表として、出場することになりました。

このイベントは、子どもたちだけでなく、応援する観客のとっても、忘れていた「熱いなにか」を取り戻す機会として、今後もますます目が離せません。

東日本の小・中・高校生によるビッグバンドの祭典。
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近藤 淳さん
近藤 淳さん(スチューデントジャズフェスティバル講師/サックス奏者)

毎年子どもたちの演奏を聴くことがとても楽しみです。彼らのストレートな演奏には、心が洗われ、「自分もがんばらなくては」というエネルギーをいつももらっています。僕が講師を始めた10数年前は、譜面のセッティングなど、ごく初歩的な指導を高橋(達也)先生がなさっていました。それからの成長ぶりを考えると驚くべきものがあります。フレージングのセンスの良さ、上達する早さ。ここ2-3年は特にすごい。耳にする音楽や譜面の質も、時代とともに向上しているのでしょう。また熱心な先生方の指導には、いつも頭の下がる思いです。コメントを書くこちらも緊張しますね。来年もぜひここでお会いしましょう。

井上泰雅さん
井上泰雅さん(スチューデントジャズフェスティバル主催 日本学校ジャズ教育協会東日本本部事務局次長)

ジャズの持つ音楽的な幅広さを、教育の現場で活かせないか、ということからこの催しは始まりました。アンサンブルとアドリブというビッグバンドならではの形態で演奏することは、「協調性と自己主張」という、子どもたちに必要な「人間力」を養うことに直結しています。教育的な成果を上げるだけに留まらず、さらにもう一歩進めて、「日本の音楽文化」の普及に貢献できるフェスティバルにしていきたいと願っています。

本田 礼さん
本田 礼さん(JAJE東日本会長賞受賞 浜松JAZZ WEEK参加校 羽黒高等学校 顧問)

89年、このイベントの前身となる催しに生徒として参加しました。後に私も教師となり、最初に赴任した学校の吹奏楽部をまかされたものの、部員はわずか8名。その時、人数が少なくてもできるビッグバンドのことを思い出し、譜面を買ったことが今に至るきっかけです。どちらかといえば、ややおとなしい今の子どもたちにとって、ビッグバンドは「自分を引っ張り出してくれる」ツールとしても貴重だと感じています。

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取材協力:BIGBAND!編集部