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ConcertReport・コンサートレポート

CHRIS BOTTI LIVE IN JAPAN 2010

クリス・ボッティ ライブインジャパン2010 2010年12月7日(火) 神戸文化ホール 大ホール

ジャンルを超えて世界で活躍する、今、最も注目されているトランぺッター。

2004年に雑誌『People』において“世界で最も美しい50人”に選ばれ、その実力とルックスからジャズトランペット界の貴公子とも呼ばれるクリス・ボッティ。知的で崇高な演奏と、サポートメンバーと息のあったステージは、ファンの間ではすっかりおなじみ。

30年に及ぶ華やかなキャリアの中で、フランク・シナトラ、スティング、ポール・サイモンなど、世界の名だたるトップアーティストや交響楽団と共演、レコーディングを重ね、その名はファンのみならず、世界でも広く知られています。

静かに始まったライブはオープニングナンバーの「アベ・マリア」で詰めかけた観客の心をしっかりと掴みます。数百席規模のライブハウスと違い、数千人収容のコンサートホールならではの、音の広がりは壮観です。哀愁漂うトランペットの音色に引き込まれ、冒頭の1曲で観客を魅了するのはさすが。

「ウェン・アイ・フォール・イン・ラブ」「エマニュエル」「フラメンコ・スケッチーズ」と、おなじみのナンバーが続き、9曲目の柔らかなピアノの音色が心を癒す「シネマ・パラディーソ」が終わると、ライブも後半にさしかかり、美人ヴァイオリニスト、キャロライン・キャンベルの妖艶なソロ演奏が大ホールに響きわたります。

今回、注目のゲストヴォーカルは、R&Bシンガーソングライター、リサ・フィッシャー。ローリング・ストーンズのバックアップシンガーとして活躍し、チャカ・カーン、ティナ・ターナー、スティングと共演を果たすなど、実力派ヴォーカリストがクリス・ボッティのトランペットを引き立てます。

2人は観客席に場所を移し、観客のすぐ目の前で演奏、熱唱する心憎い演出に詰めかけたファンは大喜び。クリスのトランペットと表現豊かなリサのヴォーカルのパフォーマンスに酔いしれ、華やかなコラボがライブに彩りを添えます。

また、彼を支えるサポートメンバーもユニークで実力派揃い。流暢な日本語を披露してMCで客席を沸かせる、真っ赤なギターのマーク・ホイットフィールド、華麗なスティックさばきを見せるドラムのビリー・キルソン、グラミー賞8回ノミネートの本格派ピアニスト、ビリー・チャイルズの不動のトリオは健在。

そんな息の合ったメンバーとのコラボを楽しみながらライブはいよいよエンディングへ。プッチーニの名曲「トゥーランドット」から「ネッサン・ドルマ」で最高潮の盛り上がりを見せました。ライブが終わり、余韻に浸りながら会場を出ると、ロビーで行われたCD即売会には、サインを求めて長蛇の列が続いていました。

ジャンルを超えて世界で活躍する、今、最も注目されているトランぺッター。
Interview
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クリス・ボッティ インタビュー

——今回のコンサートの見所を教えてください。

この数年リリースした3枚のアルバムが中心になりますが、ライブとアルバムの雰囲気はまったく違います。ライブでは弾けるような演奏をするのですが、観客を短い旅に連れて行き、元気でノリノリのステージを聴かせたいといつも考えています。一方で、アルバムはすべての音が聴こえるように控え目にアルバム作りをしています。これは、僕自身が聴きたい音楽です。たとえば、キース・ジャレットを聴きたいときは、トリオでの演奏ではなく、すべてが聴こえるソロの美しい録音を選び、そういう音楽を好みます。キース・ジャレットとハービー・ハンコックは、僕が最も好きなピアニストです。

——アルバムを聴くと音質にこだわっているのがすごく感じられますね。

その通りですね。マイク、リバーブ、収録する部屋や編曲においてすべてにこだわっています。レコーディングは音質がとても大事です。耳触りのいいものでないといけないですね。マイルス・デイヴィスの代表アルバム「カインド・オブ・ブルー」と「スケッチ・オブ・スペイン」を聴いてみると、優れたマイクや設備が整ったスタジオで収録し、細かいところまでこだわっているのがよくわかります。僕も演奏が全体的に気持ちよく聴こえるようにレコーディングの音質には気を使っています。

——そのこだわりがあなたの音楽に魅了される人気の秘訣ですね。

そうですね。そういう作品を作るのは難しくないですが、余分なエネルギーや注意を注げるアーティストは少ないですね。大事な仕事を人に任せてしまう。他のアーティストと何年もスタジオでレコーディングに携わっているから、どんな音作りを行えばいいか、それをどのように実現すればいいかわかります。ここで大事なのは邪魔するものを除けること。中音域がはっきり聴こえないレコーディングが多い。これは落ち着いて聴けません。そんなせわしない音楽は嫌いですね。それと、録音エンジニアも大切ですよ。優れたエンジニアは世界で30人もいない。音作りとミキシングも必ず腕のいいエンジニアにお願いしています。そういった技術者はジャズやポピュラー音楽の歴史に残るレコーディングを知っていますし、フランク・シナトラなどのアーティストのアルバムに何が必要かをよく理解しています。レコーディングにおいては彼らを含むチームを組むことが大切です。

——最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

僕の音楽やメンバー全員の演奏に魅力を感じてくれた日本のみなさんに感謝しています。ライブ後、ファンと直接ふれあうことも大切にしているので、2011年からは毎年、日本に来たいですね。

FM COCOLO DJクリスさんのプログラムで、
クリス・ボッティのインタビューをお聞き頂けます!!

[放送日]1月30日 22:00-24:00(再・火 25:00-27:00)
[番組ブログ]http://fmcocolo-jazz.blog.eonet.jp/jazz/
[番組ホームページ]http://www.cocolo.co.jp/jazz/