コンサートレポート バックナンバー
  
TAKATSUKI JAZZ STREET 2010
高槻ジャズストリート2010
2010年5月3日(月・祝)・4日(火・祝) 阪急高槻市駅・JR高槻駅周辺43会場
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暑い、熱い、熱気、笑顔。
街中が人と音楽であふれた2日間
 快晴に恵まれたゴールデンウィーク。5月3日と4日の2日間にわたり、第12回高槻ジャズストリートが開催されました。北は芥川エリアからJR高槻駅、阪急高槻市駅、南は高槻城跡公園まで全43会場、アマチュアからジャズの大御所まで2日間で571組のバンドが出演しました。
会場内を周回するジャズストバス「パラダイス号」が走り、車内でもミュージシャンが生演奏。高槻の街が一つになってジャズの熱気にあふれました。日本最大級の手づくり音楽イベントならではのスケールは、ジャズファンならずとも大満足。ホームに降り立って改札を抜けると、そこはもうジャズワールド。
 さて、パンフレットを片手にどこに行こう? ドラムやトランペットの音色と歓声に導かれるように街をさまよい歩くことになります。お気に入りのミュージシャンめあてに行くもよし。モダンジャズからフリージャズ、ラテンやフュージョン、ゴスペル、ブルースと、ジャズのことを知らなくてもジャンルで選べば問題ナシ。さらに、今年は日本を代表するラテン系ビッグバンド「熱帯JAZZ楽団」、古谷充率いる関西ビッグバンドの雄「ネイバーフットビックバンド」、韓国の本格ビッグバンド「The Seoul Soloists Jazz Orchestra」、たかつきスクールジャズコンテストで最優秀賞に輝いた「泉陽高校軽音楽部S.L.M.S」など、例年になくビッグバンドがズラリ。広場で、公園で、カフェで、バーで、ホールで、学校で、神社で、教会で、至るところで激しく熱く繰り広げられました。
 もちろん、演奏だけではありません。歩き疲れたら飲食ブースでひと休み。フリーマーケットでお買物を楽しみ、アートの森では情熱ほとばしる作品にふれて、さまざまなアトラクションがイベントに華を添えます。
 目の前で、隣の席で、みんなの笑顔と体の揺れがダイレクトに伝わり、ジャズとお酒に酔いしれて日が暮れてもジャズの音色が鳴りやまない。早くも来年が待ち遠しくなるような熱い2日間でした。
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 今年で開催12回目を数える高槻ジャズストリート。
地域全体で盛り上げていくこのジャズフェス、その人気は年々高まり、日本でも有数のビッグイベントとなりました。
ビール片手にパフォーマンスに見入る人、大きな楽器を抱えて通りを急ぎ足に歩く人、地図を見ながらお目当ての会場を探す人、人、人…。
今年も晴天に恵まれ、国内外を問わず、たくさんのミュージシャンやジャズファンが高槻を訪れました。室内に入りきらず、外にまで観客があふれる会場も多くあったようです。
今回のKOBE JAZZ PEOPLEでは、この高槻ジャズストリート(以下TJS)にプレイヤーとして、あるいは指導者として、さまざまな役割で関わられた方々にお話をうかがいました。
ネイバーフッド・ジャズ・オーケストラ代表・サックス奏者 古谷充さん

●高槻ジャズストリートにはいつから?
「実は第一回、最初から毎年参加してるんですよ。企画や演出の方は息子の方が多く関わっていますけどね。最初はなかなか認知度も低かったんですが、どんどん大きなジャズフェスに育って、どんどん人の輪ができてきたのがうれしいですねえ」


●古谷さんご自身にとっての高槻ジャズストリートの魅力は何でしょう?
「これは見に来てくれた人から聞いた話でもあるんですが、ふつう、ジャズクラブでのライブは夕方から夜という感じですよね。ところがTJSは真っ昼間。明るくて、まるでピクニック気分なんですよね。たくさんビール飲んでもすぐさめるという(笑)」


●ネイバーフッド・ジャズ・オーケストラ結成のきっかけはどんなことだったんでしょう。
「昔、尼崎国際音楽祭というイベントの企画に関わったことがありまして。どんなミュージシャンを招聘するか、それを探しに韓国まで足を運んだのがそもそものきっかけです。あちこちのクラブに演奏を聴きに行ったりしてミュージシャンを探したんですね。『音楽があれば国境はない!』これをコンセプトに、それ以来の日韓交流が今まで続いてるんです。もちろんメンバーは入れ替わったりしていますが、とてもいい形で続いているんですよ」


●TJSの魅力は?
「関西のジャズファンは無邪気な人が多くて楽しいですね。僕もだんだん肩の力が抜けてきて、そんな雰囲気を楽しめるようになりました。今年は、ペドロ・ジェラルドというアルゼンチン系ミュージシャンの曲を演奏します。曲としてはなかなかややこしい曲なんですが(笑)ネイバーフッド・ジャズ・オーケストラのパワーとスピードにこの曲の複雑さを加え、どう料理するか楽しみにしていただきたいと思います」

 

今年、御歳74歳になられるという古谷さん。ますます燃えてますね。
ありがとうございました!

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●S.L.M.S.BIGBAND(泉陽高校軽音楽部)顧問・藤本嘉信さん
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●S.L.M.S.BIGBANDは、高槻市で行われたスチューデント・ジャズ・コンテストの最優秀賞を受賞したという実力派。ふだんの指導もなかなか厳しそうですね。指導をされていく上でのご苦労は?
「いやあ、ウチはもう生徒が自分たちで活動を進めていまして。今回のお話をいただいてからも、選曲からアレンジから、全部生徒たちが自主的に進めて、もう僕は最終段階で報告を聞くだけという(笑)」


●普段の練習もハードなのでは?
「まあたしかに、土日なんかは9時から5時まで練習してますね。体育会系というかなんというか…(笑)」

…軽音楽部とはいいながら、それはかなり『体育会系』的な様子ですね、(笑)。

●学校という形式上、だんだんメンバーが変わっていくことにはなりますが…。
「そうなんです。3年生が卒業していくと同時に、1年生が入部してきます。でも、入部したときにはほんの初心者だった生徒も、先輩が指導していくうちにどんどん成長してきますね。今年も卒業を控えて、3年生のメンバーは今回のTJSが最後の演奏となるんです。彼らの演奏をぜひ聴いて、楽しんでください!」


優秀なビッグバンドの顧問でありながらとても静かで控えめな藤本先生。
ご自身の自慢は、『教え子の中からプロのミュージシャンが育ったこと。エリック宮城さんのバンドでも活躍してるんですよ』ととてもうれしそうに語ってくださいました。今回の演奏メンバーの中から、またプロとして活躍するミュージシャンが育つのかもしれませんね。
ありがとうございました!

The Seoul Soloist Jazz Orchestra ホン・スンダルさん

TJSには今回で3回目の出演となるというホンさん。
演奏終了後の楽屋でお話をうかがいました。
●まずお聞きしたいのは、The Seoul Soloist Jazz Orchestraという名前の由来なんですが。
「メンバーはそれぞれ別のバンドで活躍しているソリストなんです。そんな優秀なメンバーを選抜して結成したバンドですから、この名前になりました。メンバーの半分以上は、大学で教えている指導者でもあるんですよ」


●それはすばらしいメンバーですね!でも、それだけに練習時間の調整とかむずかしくありませんか?
「だいたい、毎週木曜の深夜12時から3時くらいまで集まって練習しています」
え、そんな深夜に?
「そうなんですよー。ソウルのジャズクラブで、そうやって練習しています。4月にはCDが出ましたし、クラブでもコンサートホールでも、それぞれ年に4~5回くらい演奏しているんですよ」


●演奏を聴かせていただきましたが、いわゆるビッグバンドジャズとはちょっと違うような…。
「そうです、そうです。もちろん私もスイング時代のビッグバンドジャズの演奏をしていましたが、それだけを普通に演奏しているなら、ちょっと他のバンドに追いつけない。もちろん演奏技術で勝てない、という意味ではありませんが、私たちのオリジナリティを出しにくいと思ったんですね。そこで、韓国の伝統音楽などを取り入れるようになったんです。そうやって、私たちの文化や歴史を現代に生かすよう努力しています」
それが「アリラン」などの曲になるわけですね。
「そういうことです。著作権などの問題があって、全部の曲をCDに収録できなかったのが残念ですが…」


●韓国のジャズ事情を教えてください。
「韓国では、若いジャズミュージシャンがとても多いんです。今回のTJSでの演奏ですが、韓国からのオリジナル・ビッグバンドとしては初めての招聘・来日だと思います。これはとても記念的なことで、これをきっかけに、次世代の音楽家がどんどん来日できるようになるでしょうね。その意味でもTJSは大きな影響力をもっていると思います。私たちのこのバンド、9月にも再来日の予定があるんですよ!日本語はまだまだ勉強中で、やっぱり緊張しますね。ステージでも日本語で挨拶や曲の紹介をしましたが、演奏よりも緊張したくらいです(笑)。


韓流ジャズ、これからも楽しみですね、ありがとうございました!

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