コンサートレポート バックナンバー
  
BIG BAND JAZZ FESTA in KOBE JAZZ STREET2009
ビッグバンドジャズフェスタ
2009年10月10日(土) ・11(日) 新神戸オリエンタルアベニュー
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富士通テン特別プログラム in神戸ジャズストリート
 
折高く青い空の元、新神戸オリエンタルアベニューの特設ステージ周辺には早くから熱気ムンムン。神戸ジャズストリート、今日のこのステージには若いエネルギーが結集しています!高校生バンドを含め、学生が中心となったビッグバンドの演奏とくればそれも当然かもしれません。ベテランジャズメンの演奏とはまたひと味違う、さわやかな空気があふれています。
players.01 K.G.SKY JAZZ ORCHESTRA ページトップへ
まずトップバッターは、K.G.SKY JAZZ ORCHESTRA。
関西学院大学軽音楽部のOB・OGが中心となって2009年に結成されたというこのバンド、「カウントベイシーに代表される古き良きスイングジャズから、ボーカルを交えたスタンダード / エレクトリックなフュージョンタッチのビッグバンドアレンジまで幅広く取り組んでいる」という言葉通り、とても意欲的で新しい感性を持っているようです。頼もしい先輩ミュージシャンのサポートをバックに、のびのびとした演奏を聴かせてくれました。
players.02 富士通テンジャズバンド ページトップへ
続いては、富士通テンジャズバンド。地元・兵庫に本社を置く富士通テン株式会社で結成されたこのバンドは、演奏経験やジャンルを問わず音楽を楽しもうというのが最大のコンセプト。透明な秋の光に輝くサックスも初々しく、ドラムとベースにサポートメンバーを加えての今日のステージ。結成してからまだ日は浅いということですが、それだけに何とも新鮮な演奏が印象的でした。

 

players.03 ストロベリーサンデージャズ ページトップへ
次のバンドがステージに上がると、会場には「?」「!」と、どよめきにも似た声があちこちで漏れます。なんとメンバー全員が現役女子大生というストロベリーサンデージャズ。
2008年の大阪城ジャズフェスティバルの企画で生まれたこのバンド、通う大学は違っても「ジャズって楽しい!」という気持ちはメンバー誰もが同じ。メンバーを少しづつ変えながらも活動を続けているということです。「私たちの演奏を通して、ジャズを目と耳で楽しんでほしい」という言葉もダテではありません。白いシャツにネクタイ、黒いミニスカートとホットパンツというお揃いのコスチュームも女の子ならでは。キュートでスウィートなルックスと真剣で熱い演奏、今後も彼女たちから目が離せません。
players.04 伊丹高校ICHI☆ITA JAZZ ENSEMBLE ページトップへ
伊丹高校ICHI☆ITA JAZZ ENSEMBLEは、その名の通り高校生によるビッグバンド。
「日々前進」をモットーに練習を重ねているということです。若々しい演奏に頬を緩める年輩の観客の姿も多く見かけられました。演奏後には盛大な拍手が贈られ、なんとも将来の楽しみなビッグバンドです。
players.05 甲南大学KYK BIG BAND ページトップへ
さていよいよトリの登場、甲南大学KYK BIG BANDです。大学生バンドとはいいながら、初々しい高校生バンドの後の演奏はむしろ老練。現役の甲南大学に卒業生も加え、カウント・ベイシーマニアが集結したというこのバンド、もちろん演奏曲目もベイシー中心。メンバーの演奏経験も長く、とても安定感のあるステージです。リーダーによるMCも手慣れたもの、会場に笑いを起こしながら演奏が続いていきます。そして最後には圧巻のドラム・ソロ。なんとソロの途中でメンバー全員がステージを降りてしまいました!観客のどよめきをものともせずにソロは続き、一人二人とメンバーも戻っての怒濤のエンディング、会場からは大きな拍手が鳴りやみませんでした。
楽しい演奏も、過ぎてしまえばあっという間。短い秋の陽は、西に傾き始めています。ステージ周辺にはオープンテラスのカフェもあり、その気持ちよさそうなテーブルでランチとワイン、あるいはコーヒーを飲みながら、のんびりと演奏を楽しむ姿も多く見られました。 ジャズの街・神戸に、若く熱い風が吹き抜けた秋の一日でした。
親と子のおもしろジャズコンサート in KOBE JAZZ STREET2009

2009年10月10日(土) ・11(日) 新神戸オリエンタルアベニュー
折々に雲の流れる、さわやかな秋晴れのこの日。

富士通テン特別プログラムin神戸ジャズストリートとして、新神戸オリエンタルアベニュー1階のアベニューステージで、「親と子のおもしろジャスコンサート」が開催されました。毎年、この会場では「春待ちファミリーバンド」が家族連れで賑わうこの場所で明るく陽気な楽しい演奏をしているのですが、そのステージの合間を縫う形で、この特別プログラムが開催されました。

小中学生を対象に、アニメの主題歌や音楽の教科書にある楽曲をジャズにアレンジ、ジャズを親子で楽しもうというこのプログラム。会場には、そのタイトル通りジャズという音楽に興味津々な子供たちの姿も多く見られました。もちろんベテランの(?)ジャズファンもつめかけて、増設されたベンチや椅子の数も追いつきません。たくさんの立ち見の人々が会場をとりまく形となりました。


このコンサートでの演奏は、神戸ジャズではおなじみのメンバー、花岡詠二(クラリネット)、池田公信(コルネット)、井桁賢一(スーザホーン)、青木研(バンジョー)、藤田洋(ドラム)、さらにオランダからのスペシャルゲスト、B・ブーレン(トロンボーン)を加えてのニューオリンズスタイルのセクステッド。お揃いのスーツにネクタイとシックにキメたメンバー各氏が登場すると、会場も一気に盛り上がります。

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いよいよコンサートは「リパブリック賛歌」でスタート。スーザホーンのウシ、トロンボーンのウマなど、各楽器による動物の鳴きマネには思わず笑い声もあがります。「こんな音が出せるの?」と、目を丸くする子供たち。その姿に大人たちもニコニコ…と思いきや、ビックリしたのは子供たちだけではないようで、たくさんのオトナたちも同じように目を見はっています。続いて曲は、いま話題の「鉄腕アトム」へ。大人には懐かしく、子供たちには最新のこの曲。何十年もの時間の距離を、ジャズがつないでくれました。


続いてはおなじみ、S・フォスター作曲の数々の名曲。「オールド・ブラック・ジョー」「草競馬」「スワニー・リバー」と続きます。イキのいいジャズの演奏で聴くおなじみの曲は、きっと音楽教室で聴いた印象とはぜんぜん違うものだったでしょう。おそらくは誰でも、一度は聴いたことのあるメロディー。ふと通りかかってその響きに惹きつけられた人々で、立ち見の輪はどんどん広がっていきます。続く「オー・ブレネリ」でのバンジョーの早弾きには、会場から思わずため息と拍手が巻き起こりました。バンジョーというと一般的にはあまり馴染みのない楽器ですが、「バンジョーに触ってみたい人は!?」 との問いかけに勇気ある(?)男の子がステージへ。青木さんの指導の元、初めて触れたバンジョーでリズムをとる…という一幕もありました。


懐かしい日本のメロディー「里の秋」でしっとり和んだ後はいよいよラストナンバー、「タイガー・ラグ」。楽しい時間は早く過ぎるもの。とはいうものの、このコンサートもあっという間にエンディングです。超アップテンポなこの曲、メンバーの雄叫びも交えながらのにぎやか・にぎやかな演奏に会場はますます盛り上がります。お父さんに肩車されながら聴いていた男の子もリズムに合わせて体をゆらせています。演奏が終わり、盛大な拍手と熱気につつまれながら「親と子のおもしろジャズコンサート」は幕を閉じました。初めてジャズの魅力を知った人、改めてジャズを好きになった人、そしてきっと、いつかジャズを生涯の友として生きる子供たちも生まれたことでしょう。さわやかな風と、人々のにぎわいに包まれた秋の午後のジャズコンサートでした。

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