いよいよコンサートは「リパブリック賛歌」でスタート。スーザホーンのウシ、トロンボーンのウマなど、各楽器による動物の鳴きマネには思わず笑い声もあがります。「こんな音が出せるの?」と、目を丸くする子供たち。その姿に大人たちもニコニコ…と思いきや、ビックリしたのは子供たちだけではないようで、たくさんのオトナたちも同じように目を見はっています。続いて曲は、いま話題の「鉄腕アトム」へ。大人には懐かしく、子供たちには最新のこの曲。何十年もの時間の距離を、ジャズがつないでくれました。
続いてはおなじみ、S・フォスター作曲の数々の名曲。「オールド・ブラック・ジョー」「草競馬」「スワニー・リバー」と続きます。イキのいいジャズの演奏で聴くおなじみの曲は、きっと音楽教室で聴いた印象とはぜんぜん違うものだったでしょう。おそらくは誰でも、一度は聴いたことのあるメロディー。ふと通りかかってその響きに惹きつけられた人々で、立ち見の輪はどんどん広がっていきます。続く「オー・ブレネリ」でのバンジョーの早弾きには、会場から思わずため息と拍手が巻き起こりました。バンジョーというと一般的にはあまり馴染みのない楽器ですが、「バンジョーに触ってみたい人は!?」 との問いかけに勇気ある(?)男の子がステージへ。青木さんの指導の元、初めて触れたバンジョーでリズムをとる…という一幕もありました。
懐かしい日本のメロディー「里の秋」でしっとり和んだ後はいよいよラストナンバー、「タイガー・ラグ」。楽しい時間は早く過ぎるもの。とはいうものの、このコンサートもあっという間にエンディングです。超アップテンポなこの曲、メンバーの雄叫びも交えながらのにぎやか・にぎやかな演奏に会場はますます盛り上がります。お父さんに肩車されながら聴いていた男の子もリズムに合わせて体をゆらせています。演奏が終わり、盛大な拍手と熱気につつまれながら「親と子のおもしろジャズコンサート」は幕を閉じました。初めてジャズの魅力を知った人、改めてジャズを好きになった人、そしてきっと、いつかジャズを生涯の友として生きる子供たちも生まれたことでしょう。さわやかな風と、人々のにぎわいに包まれた秋の午後のジャズコンサートでした。 |