トップバッターを飾るのは張智仁&CHO HUMAN NATURE。阪神・淡路大震災の頃にピアニカと出会ったことがきっかけで音楽活動をスタートしたという張さんを中心にしたグループ。鍵盤ハーモニカのどこか温かみのある音とキーボード、トランペット、サックス、パーカッションが奏でる音楽はどこかオリエンタルな雰囲気が魅力。民族的でもありジャジーな一面もあり、災害復興イベントのスタートにふさわしい音楽を聴かせてくれました。
そして、この日のために新曲を作ってきてくれたのは甲陽音楽学院 学生バンドの皆さん。「せっかくの機会なので、自分たちの言葉で作った曲を披露したかった」と災害復興のためにできることを考えよう、というテーマで作られた曲を披露してくれました。ほかにもマーヴィン・ゲイの名曲「What's Going On」など、イベントの主旨に合わせたセットリストが印象深いステージでした。
3番目はKOBEjazz.jpでもおなじみの明石のビッグバンド、メイト・ジャズ・オーケストラ。結成から34年が過ぎ、さらにダイナミックさが増した社会人ビッグバンドです。カウント・ベイシーの「Corner Pocket.」では客席の子どもが演奏に合わせて踊ったり、リズムに合わせてカラダを揺する老夫婦の姿も。
メイト・ジャズのしっとりと歌い上げるボーカル曲を堪能した後に登場したのは陽気な音楽が魅力のヨッピーズ。ジャズのルーツの一つとも言われるニューオリンズ・ブラスバンドはパレードを基本とした楽器使いが特徴。なかでもベースラインを担当するスーザフォンの迫力は格別。ステージ最後には、そのスタイルを生かして会場内を練り歩きながら「聖者の行進」を披露してくれました。
次に、落ち着いた大人の音楽を楽しませてくれたのはモダンタイムス・ビッグバンド。バンドとしてのダイナミズムはもちろんのこと、ソロパートや節々で感じさせてくれる一人ひとりの演奏力の高さで会場を圧倒。素晴らしい演奏で大人の魅力をたっぷりと楽しませてくれました。
モダンタイムスに続いては、ガラリと雰囲気を変えてアコースティックでカントリーな演奏が魅力のブルーグラスグループ、アベニューが登場。バンジョーやウッドベース、ギター、ドブロなどのアコースティック弦楽器のみを使用した演奏はピースフルでやさしい音色でありながらアップテンポで楽しげ。目を瞑って聴けば、どこか外国にいるような気分になるステージでした。
そんな気分を一気に現実に引き戻してくれたのが西明石のロックバンドALOWS。普段ジャズイベントではまず聴くことのないロカビリー系ロックに年配のお客さんはビックリしたのではないでしょうか。ジャズだけでなく、思ってもみなかった音楽ジャンルに出会えるのも、今回のイベントの魅力の一つだったと思います。
そして再び、ステージはジャズに。前回のコンサートレポートにも登場した富士通テンジャズバンドがこの日のために四川応援隊として登場。まずは「A列車で行こう」で始まり、最後は「ルパン三世のテーマ」で大盛り上がり。誰もが知っている楽曲に、買い物途中の人々も足を止めてステージに集まり始めたのが印象的でした。
四川応援隊の後に登場したのは明石市の現役高校生が集まったビッグバンド、ジャズパーティー。2006年に生涯学習連盟から発足した学生バンドです。楽器やジャズを始めたばかりという初々しい演奏が魅力的。白シャツに黒いネクタイがとても似合っていました。
続いてもビッグバンド、甲南大学ビッグバンドがお目見え。リズム隊が全員女性という魅力的な構成が印象的で、さすが大学生といった感じのノリのいいステージで盛り上げてくれました。舞台慣れした演奏力とMCで、若さを感じさせる楽しいひとときでした。
トリを務めるのはやっぱりビッグバンド、ウエストウインズ・ジャズオーケストラの皆さん。西宮を中心に神戸や大阪で活動を続ける社会人ビッグバンドです。今回は熱帯ジャズ楽団の曲ばかりを集めたラテンのノリが楽しい選曲でラストまでぞんぶんに楽しませてくれました。
また、今回の出演者は出演バンドだけでなく、司会もボランティア。7月20日に神戸ハーバーランドで開催されるスイング・ジャズ・クルーズでも司会を務める女子大生が明るく楽しく司会を担当。随所で会場を盛り上げてくれ、まさに皆でつくり上げるアットホームなムードがイベント全体に溢れていました。 |