Denso Ten

Concert Report

黒田 卓也
Slices of NY -aTak-

■ 2019年4月20日(土) 神戸100BANホール

文・写真 小島良太(ジャズライター・ジャズフリーペーパーVOYAGE編集長)

神戸初上陸のライブ“パーティー”に大興奮!!

ニューヨークでの活動を軸に、ジャズシーンに限らずジャンルレスで活躍するトランペッター、黒田卓也さん。生まれ育った神戸で注目のライブパーティーを初開催。その熱い熱い一夜に潜入してきました!100BANホールとの共同開催となった今回のイベント、当会場では初のスタンディングイベントにもなりました。

まずDJのYoshijiro Sakuraiさんによるジャズだけにとらわれない選曲でフロアの雰囲気もクラブ仕様に。続々とお客様も集まり、熱気を帯びてきた所でまずはオープニングアクトの「SATTU CREW」が登場。関西を拠点に活躍する注目のヒップホップグループです。鋭いリリックとMC、タイトな生演奏によるグルーヴがダイレクトにリスナーに響きます。世界の最前線で鳴っているような、時代にフィットするサウンドでした。SATTU CREWのステージングはまさにこのイベントに打ってつけで、序盤に関わらず、とても盛り上がった空気を作ってくれました。彼らのニューシングル「Classics」も4月下旬にリリースされてすぐに各方面で話題を呼んでいます。関西から世界へ発信しているこのグループ、今後も注目度大です。

インターバルを挟んで、いよいよメインアクトの黒田卓也さんのバンドが登場!ゲストシンガーにHiro-a-keyさんも開催直前に参加が決定するなど話題に事欠きません。黒田さんとテナーサックスの西口明宏さんによるフロントの分厚い音の迫力、たなかかつこさん(キーボード)、中林薫平さん(ベース)、菅野知明さん(ドラムス)による変幻自在のリズムクリエイト。フロアも自然と体でリズムを刻み出します。報道番組のオープニング曲で使用されている黒田さんの代表曲の一つ、「Starting five」や「S.T.E.P.」を披露。時に黒田さんはMCで巧みにフロアをリードし、それに応えて観客全体が揺れる光景は壮観。経験に裏打ちされたステージングと聴き手にいかに楽しんでもらうかを意識したショーマンシップ溢れるプログラムでした。

完全にヒートアップした後に行われたジャムセッションでは関西で活躍する広瀬未来さん(トランペット)や柏谷淳さん(アルトサックス)や桑原睦美さん(ボーカル)などが参加し、あの日あの夜にしか聴けない貴重なセッションでさらに熱気は高まるばかり。特に黒田さんとステージを共にした若手ミュージシャンにとっては忘れられない時間となった事でしょう。自身のステージ後もファンはもちろん、ミュージシャンからの質問などにも気さくに答える黒田さん。本場で活躍する彼の演奏、言葉一つ一つが関西にもとても刺激を与えてくれたように思います。神戸とニューヨークを繋ぐ企画が100BANホールでは先日から続いていますが、今回のイベントは、この試みの更なる可能性を感じさせるイベントでした。ジャズに限らず、現在進行形のブラックミュージックにアンテナを張っている方は次回聴き逃してはいけません!

INFORMATION

黒田卓也 公式WEBサイト

https://www.takuyakuroda.com/