コンサートレポート バックナンバー
KOBE NEXT JAZZCOMPETITION 2007
第1回 神戸ネクストジャズ・コンペティション[決勝ライブ]
2007年10月27日(土)神戸市立西区民センター・なでしこホール
ジャズの街・神戸に、本格的なジャズ・コンペが誕生!
2007年のこの秋、まったく新しいジャズ・コンペティションが産声をあげました。
その名も「神戸ネクストジャズ・コンペティション。
このコンペは、芸術・文化の祭典「神戸ビエンナーレ」の協賛事業として、次世代のジャズの担い手となる新人ミュージシャンの登竜門であり、さらなるジャズ文化の振興を目的として生まれたものです。
いったいどんな「ネクスト」な演奏が聴けるのか、開場前から胸が高鳴ります。
さて、第一回となる今回の会場は、神戸市立西区民センター・なでしこホール。
曇りがちだった空にもだんだんと光が戻り、爽やかに晴れてきました。いよいよ開場です。
司会は、「ジャズピープル」にもご登場いただいたジャズヴォーカリストのジャネットさん。MCのその声がすでにジャズしています。
審査員は4名。ジャズピアニストの御大・小曽根実さん、サキソフォニストの宮崎隆睦さん(元T-SQUARE)、日本学校ジャズ教育教会事務局長の日下雄介さん、そしてFM COCOLO「World Jazz Warehouse」のDJとしてもおなじみクリストファー・マイケル・ノットさん。
エントリーはバンド部門とソロ部門に別れていますが、演奏と審査そのものはまったく同じステージで行われます。審査員の紹介が終わり、さあいよいよコンペティションの始まりです!
entry.01 ページトップへ
サックスをメインにした8ピースバンド、ソプラノサックスを交えたノリノリの演奏で、つかみはオッケー、キャッチーなオリジナル曲で会場を盛り上げてくれました。
entry.02 ページトップへ
ダークスーツであらわれた和田さんは大学4年生。本格的にソロ演奏に取り組んだのは一年ほど前からだそうですが、そうは思えない叙情的で美しい演奏を聴かせてくれました。
entry.03 ページトップへ
ジャズバンドとは思えない意外性のあるバンド名の猿楽はキーボード、ベース、ドラムの3ピースバンド。
サンバのリズムを取り入れた、軽快でしかも深みのある演奏。演奏後の「チック・コリアとか好きでしょ?」なんていう審査員とのやりとりも楽しいものでした。
entry.04 ページトップへ
津嘉山さんをリーダーとするピアノトリオは自作のオリジナル曲で参加。「面白いテーマ!オリジナルだけでなくスタンダードもやってほしい」とは審査員の小曽根実さんの講評。
entry.05 ページトップへ
Drレスの、トランペットをメインとしたトリオで、このメンバーでの活動はまだ一年半ほど。中学・高校でビッグバンドを、大学で初めてコンボを経験されたのだそうです。
entry.06 ページトップへ
若かりしパット・メセニーを思わせる長髪に、ギターをかかえてあらわれた福富さん。オリジナルのこの曲はまさに幽玄、新しいスタイルのジャズを感じさせてくれました。「ニューヨークとかボストンとかで演奏されてるようなNEW JAZZのようだ」と、日下雄介さん。
entry.06 ページトップへ
今回唯一のビッグバンドでの参加のこのバンドは、神戸ジャズではお馴染み、高砂高校のメンメン。ユニークなバンド名は、リーダーの中垣さんの名前からつけられたそうです。いつもながらフレッシュで、元気いっぱいの楽しい演奏に、大きな拍手が起こります。「申し分ない。聴いていて気持ちよくなります」と、クリスさんの講評がありました。
第一部の審査はここまで、、休憩を挟んで第二部の審査へと続きます。
いよいよ第二部の始まります。
entry.08 ページトップへ
ジャズ界でも、ヴィブラフォンのソリストはかなり少ないのではないでしょうか?ピアノ・ベース・ドラムをサポートメンバーに、軽快で楽しい演奏を聴かせてくれた影山さんは、プロとしてのキャリアをスタートしたばかり。今後はバンドネオンとの共演も予定しているとのこと。小曽根さんの「とてもよくスイングしているね!」との講評の後にはゲイリー・バートンの楽しいエピソードが紹介され、会場にも笑い声が溢れました。
entry.09 ページトップへ
体全体でリズムをとりながら、熱い演奏を聴かせてくれた早川さんは、なんとまだ18歳!審査員の宮崎隆睦さんも、その年齢を聞いて絶句。続いて「その若さで自分のやりたいことが見えていて素晴らしい。後は経験をつんでいくだけですね」とアドバイス。
entry.10 ページトップへ
スケールの大きいイントロからリズミカルなテーマへ…。こなれた演奏を聴かせてくれた大友さん、一番好きなピアニストはビル・エバンスなのだとか。「若手の中からこんな素晴らしいプレーヤーが出てきてとても嬉しい」と、日下さんから講評がありました。
entry.11 ページトップへ
長身をピアノの前に据えて奏でられたのは、今回のコンペでは数少ないスタンダードの名曲。一見無造作にも見える演奏ですが、曲の構成にも細かな配慮が感じられます。小曽根さんの講評も、演奏のかなり細かなことに及び「特にペダルの使い方が見事!」とのことでした。
entry.12 ページトップへ
なかなかソロ楽器としては登場しないウッドベースでのエントリー。宮下さんの正確なピッチ、明確なメロディーでの演奏が、客席のどよめきを誘います。審査員のクリスさんも、「ピッチの正確さに加え、楽器の音域全体をつかった演奏が素晴らしい。アルコ(弓)での演奏を聴かせてくれたことも嬉しかった!」と驚きを隠せない様子でした。
entry.13 ページトップへ
大学を出たばかりで、プロとして歩み始めたばかりとは思えないようなバランスのとれた演奏。落ち着いたクールなイントロは、チェット・ベイカーをも思わせます。宮崎さんの講評も、「まるで横尾さんのライブを聴きにきているみたい」。とても安心感のある演奏でした。
entry.14 ページトップへ
乾さんはなんと埼玉からの遠距離参加。神戸に着いたその日に演奏というハードスケジュールだったそうです。前衛的・現代音楽的なアプローチも積極的に取り入れ、ギターでの表現の可能性を探っているかのような演奏でした。
entry.15 ページトップへ
いかにも手慣れた演奏とステージング。浅井さんはちょうど2年10ヶ月のニューヨーク滞在から帰国したばかり。ニューヨークで吸収してきたことが今回の演奏にも反映しているのでしょう。とても安定したプレイでした。
審査結果 ページトップへ
グランプリの大友さん
すべての演奏が終わり、審査結果が出るまであと少し。
緊張感溢れるこの時間を楽しく演出してくれたのは、MCでも活躍してくれたジャネットさんと、第二部でソロ演奏のサポートをしてくれた川瀬健トリオ(川瀬健P、枝信夫B、北村喜彦D)。
「SMILE」「MISTY」「LA VIE EN ROSE」 と、スタンダードの名曲で楽しませてくれました。ずっと聴いていたいところですが、いよいよ審査結果の発表です!
それぞれに賞状と賞金・副賞が授与され、「賞金、何に使うのん?」なんて言葉も行き交いながら、和やかな雰囲気のうちにコンペティションは幕を閉じました。
彼らがジャズの最先端のステージに登場するのも、きっと遠い日ではないでしょう。
次回はどんなミュージシャンがあらわれるのか…。第二回の開催が待ち遠しいところです。
準グランプリの宮上さん 準グランプリの浅井さん