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コンサートレポート

第2回あまがさきJAMフェスティバル
■2018年5月6日(日)あましんアルカイックホール

レポート

“尼崎に新しい音楽文化到来!?”

 2018年5月6日(日)、ゴールデンウィークの最後を締めくくるにふさわしい、 賑やかな音楽イベント「あまがさきJAMフェスティバル」が、あましんアルカイックホールの3会場で開催されました。昨年、プレイベントが行われて今年が実質的な本格開催。尼崎の地元有志のプロデュースによる、ジャズ、ブルース、ロックなど様々なジャンルを含んだ総合音楽イベント。その模様をレポートいたします!

 まずは小ホールで行われた「学生ジャズコンボコンテスト」を鑑賞。関西学院大学、関西大学、大阪音楽大学、甲南大学、甲陽音楽学院、神戸大学、大阪大学の計7校が小編成のジャズバンド、いわゆる“コンボ”による演奏で初代優勝を目指して熱演を披露しました。学生ビッグバンドのコンテストは多々ありますが、コンボが競うコンテストは全国的にも稀で関西でも初の試み。課題曲の“Love for Sale”とバンドが自由に選んできた曲の計2曲を演奏。短いながらも、それぞれの趣向を凝らしたアレンジで様々な個性、才能の発芽を感じさせるステージでした。記念すべき第1回の優勝は甲陽音楽学院!バンドのパワーが一際エネルギッシュに伝わってきました。優秀ソリスト賞には大阪音大で出演した佐藤絵美里さんと神戸大の大福成歩さんが受賞。優勝した甲陽音楽学院はメインステージであるオクトステージで出演、またソリスト賞の二人も関西の重鎮が揃うThree Spirit Jazz Band(上山崎初美さん、高岡正人さん、上場正俊さん)との共演を経験し、この1日できっと様々な良い感覚を掴んだ事でしょう。学生ジャズコンボコンテスト、今後も学生達の表現の場として継続していってほしい取り組みの一つです。

 コンテストの結果発表を見届け、続いてメインステージのオクトステージへ!QUNCHO(クンチョー)さんと畑ひろしさんによる、茶目っ気を含んだ素敵な色気あるブルース、ソウルの世界が活気ある尼崎の雰囲気と見事にマッチ。演奏の合間のQUNCHOさんのほんわかしたMCと演奏の渋さのギャップにお客様もすっかり魅了された様子。

 続いてはピアニストの越山満美子さんのトリオにボーカルのYukaさんがゲストに加わり、力強い歌声とバックの演奏とのコンビネーションで会場をさらに盛り上げました。

 学生とも共演したThree Spirit Jazz Bandが再び登場。音の重み、説得力、これぞベテランだからこそ出せる重厚なサウンド。極めつけはトランペットに横尾昌二郎さん、ボーカルのジャネットさんが加わった“横浜ホンキートンク・ブルース”。ジャネットさんが切ない男の心情を歌い上げると観客から自然と歓声が!尼崎のお客様はリアクションがとっても良い!自然とコール&レスポンスが生まれる一体感は聴いているこちらも楽しくなりますね。

 昨年のプレイベントでも好評を博した高尾典江さんと溝口恵美子さんのスペシャルバンドが今年も出演。“Moon River”やボサノヴァナンバーを心地良く自然体に歌い紡ぐお2人の歌声に癒されます。まさに音楽による“癒し”。柔軟に音を創り出せる演奏陣と生み出す極上のトリップ感覚、う~ん、これはこのイベントの風物詩になるような予感…笑。

 お昼からスタートしたイベントのトリを飾るのは、藤村麻紀さん with チェレ and Fellows。え、ちょっといきなり“Spain”ですか!?もう歌い出しから、格好良くて、歌の上手さが際立てって鳥肌物。小粋なジャズナンバーから、アカペラグループ、チェレステ・F・メルクルズが加わってのステージも“歌声”の力というのを強く感じさせるパフォーマンスでした。

 ラストは一般公募で集まったクワイアがステージに上がって藤村さん先導の元、明るい歌声を目いっぱいにステージに届けて終演。ミュージシャンと観客の心が一つとなった瞬間に立ち会いましたが、これは来年も楽しみなイベントになりそうです。

 主催者の方々の音楽への熱い気持ち、そこからつながる人と人の輪が結実した「あまがさきJAMフェスティバル」。未体験の方は来年行くしかない!!

取材・文
小島良太(ジャズライター、ジャズフリーペーパーVOYAGE 編集長)
写真提供:あまがさきJAMフェスティバル実行委員会