アルコウ 関西ツアー
■2017/1/20(土) 神戸 旧グッゲンハイム邸(神戸市垂水区)
週末の昼下がりの洋館で楽しむ、
ピアノとチェロのハーモニー。
JR塩屋駅を山側に出て東に向かって歩くと山陽電車の踏切。その踏切を越えてすぐのところに建っているのが、1909年に建てられたコロニアルスタイルの洋館・旧グッゲンハイム邸です。歴史を感じる木の温もりと高い天井。窓からは海を望み、時折走る電車の音も聴こえてくる、そんな素敵な空間の中で、珠玉の演奏を聴かせてくれたのはピアニスト岸淑香さんとチェリスト佐野まゆみさんのディオ「アルコウ」。今回は1月20日、休日の昼下がりに開催されたアルコウの関西ツアーをご紹介します。
1曲目は岸さんがキューバで日本のことを思って作ったという「海の向こう側」。のびやかなチェロの音とダイナミズムを感じられるピアノの響きで一気にアルコウの世界観に惹き込まれます。スピーカーなどは一切使わない生音での演奏は心地よく、目を閉じて音楽に身を任せてしまうお客さん。二人の等身大のトークも楽しく、制作時のエピソードを踏まえた曲の紹介も、これから演奏される曲をより一層身近に感じさせてくれます。今回はゲストに神戸在住のパーカッション・スズキトモヒサさんとソプラノ歌手山守美由紀さんも参加。3曲目の「アベマリア」では山守さんのマイクを通さない生歌に、アルコウの二人も「すごい!」と絶賛。普段はホールなどの広いコンサート会場でしか聴くことのないソプラノ歌手の迫力の歌声を間近に聴ける贅沢なひとときでした。4曲目はアルバム「Asummetry」にも収録されている「六月のうたうたい」ボイスありverで。雨の日に作った曲というだけあって、雨の粒を思わせるピアノとパーカッションにしっとりとしたチェロと歌声がしっとりと聴かせてくれます。アレンジの違う曲が聴けるのもライブならではの醍醐味。
休憩を挟んでセカンドステージでは、旧グッゲンハイム邸に明治39年に作られたというオルガンを使った「海のおじさん」。オルガンの神聖な音色とチェロの音色がとてもマッチしていて、まさにこの場所でしか聴けない素晴らしい演奏でした。続いては佐野さんが「朗々としたイメージのあるチェロですが、速弾きもできるという曲を作りたかった」という「空のアオ」。その言葉どおり、軽快で爽やかな一曲です。ピアノを弾きながらマラカスも振れる岸さんのパフォーマンス、ラジオ体操をアレンジした即興を入れるなど、楽しさが詰まった演奏にジャズミュージシャンらしさを感じました。打って変わって、今度はチェロらしい演奏が聴ける「背中」。「こういう洋館で演奏してみたかった」と佐野さん。しんみりと重いメロディに合わせて、窓の外もゆっくりと日が傾いていきます。最後の曲はベースを岸さん、メロディを佐野さんが作った共作「天つ風」。アドリブも多く、ジャズ要素の強い一曲。今のアルコウを代表する曲といっても過言ではない、壮大さと繊細さを併せ持った名曲をこの場限りの声とパーカッションを交えて。アンコールは作曲岸さん、作詞佐野さんの「花が咲くまで」。最初から最後までアットホームな雰囲気の中、ピアノとチェロの音色、二人の人柄が心地よいコンサートとなりました。
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- アルコウ「天つ風」 2017.2.11 求道会館
- アルコウ 岸淑香さんインタビュー
- ――コンサートお疲れさまでした。旧グッゲンハイム邸の感想を聞かせてください。
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岸「普通にまず素敵な空間なんですけど、ここで演奏できて良かったです。私たちは生音で演奏する機会が多いんですが、音の響きもすごく柔らかくていいですね」
- ――オルガンでの演奏もすごく良かったです。
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岸「すごく年代物なんですが、スタッフの方に『弾いていいよ』と言われたので、せっかくなので取り入れてみました。鍵盤が足りなかったり、足踏みしないといけないのが大変でしたが、素敵な出会いでしたね」
- ――ライブ中にピアニカを吹きながらだったり、マラカスを鳴らしながらのピアノ演奏にはびっくりしました。エレクトーンご出身ならではの器用さなのかなと(笑)。素敵なパフォーマンスでした。
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岸「ありがとうございます。あー、あるかもしれませんね(笑)。エレクトーンも両手両足違う動きで複雑なので。それ以外にもエレクトーンはジャンルに囚われない楽器なので、やってて良かったと思いますね」
- ――アルコウのチェリスト、佐野さんも神戸ご出身ですが、今日ゲストのお二人も神戸在住のミュージシャンということで。
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岸「そうなんですよ!私だけが関東で。スズキさんとは東京で知り合ったのですが、山守さんは佐野さんの高校のときの同級生ということで、神戸に来て初めてお会いしました。声楽の方と一緒にやる機会は少ないので、とても面白かったです」
- ――こうやっていろんな地域の方とのセッションや演奏が楽しめるのもツアーならではの醍醐味ですよね。アルコウを始めて、神戸に来られる機会が増えたと思いますが、街の印象を聞かせてください。
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岸「人があたたかくて素敵な街だと思います。私自身、性格が関西気質だとよく言われますし、自分でもすごく馴染みやすくて、居心地がいいですね。また6月に神戸にアルコウで来る予定なので、是非また聴きに来ていただけるとうれしいです」
- ――6月に神戸でライブがもう決まってるのですね!楽しみにしています。エレクトーンの話やジャズの話など、またゆっくりお話をお聞かせいただけると嬉しいです。今日はありがとうございました。
[ アルコウ×丹精×容昌ミニツアー2018 ]
- 3月9日(金) 川崎 ぴあにしも
- OPEN 18:00 / START 19:30 投げ銭制
神奈川県川崎市川崎区小川町16-15 電話044-201-1668 - 3月10日(土) 浜松 スペイン厨房ito akira
- OPEN 17:30 / START 18:00~ 20:00~ 2,300円(1drink付き ブッフェスタイル
静岡県浜松市中区高丘東5丁目31-21 電話053-523-6520 - 3月11日(日) 静岡県磐田市 カフェキタガワ
- OPEN 12:00 / START 13:00 2,500円
静岡県磐田市国府台 45-6 電話0538-32-3886 - 3月11日(日) 静岡葵区 炉辺人(ロベンド)
- OPEN 18:00 / START 19:00 2,500円
静岡県静岡市葵区鷹匠2-10-5 電話054-255-1615
- その他、最新情報やライブ情報については公式webサイトをご覧ください。
[ アルコウ リリース情報 ]
- Asymmetry(アシンメトリー)
- Tracks
1.Asymmetry
もがいてももがいても前にも後ろにも進めない、そんな不安定な心の叫びみたいなものを曲にしました。今回のアルバムタイトルにもなっています。アシンメトリーだから見える世界というものがあると思います。(佐野)
2.G線上のアリア
J.S.バッハ作曲の有名なクラシックの「G線上のアリア」をブルース風にアレンジしました。元の曲は「管弦楽組曲第3番二長調BWV1068」より「アリア」です。(佐野)
3.背中
今まで自分が歩んできた人生の後ろには、自分が選ばなかった道がたくさんある。いつも前を向いていたいけれど、背中にはそんな選ばなかった物や事がたくさんあるという事。そしてそんな背中にある選ばなかった方の目線で書きました。(佐野)
4.空のアオ
夏の青空が大好きなのですが、夏のカンカン照りの空の下では、暑すぎて悩み事も吹き飛んだりしますよね。そんな「もういいやーっ」という瞬間を音にしてみました。(佐野)
5.時のハザマ
とある打ち合わせで入ったお店。いきなりその幻想的な内装の店内に圧倒され、帰り道に急いでこの曲を書きました。今回はなんとジャケットの写真や他の写真でも使われているのがこのお店です。(岸)(普段は露出NGのお店ですので、このお話をして特別に許諾していただきました。)
6.六月のうたうたい
真夜中、外は雨が激しく降っていて叫びたい事も雨がかき消してくれるのではないか、そんな想いを込めた一曲です。ピアノで創ったメロディですが、チェロが本当に良く合います。(岸)
7.あいにゆこう
亡くなってしまった友人の仔猫が、もしかしてたまに天国から遭いに来てくれているのではないか?というメルヘンな想いを託した、仔猫目線のドラマチックな曲です。(岸)
8.忘らるる
右近の百人一首の句より引用した、叙情的な雰囲気の曲です。実はむかーし好きになった人が忘られない、というメッセージも込められています。(岸)
9.up to you -アルコウver.-
何をするにもあなた次第!up to you=自分 でもあります。2014年に出した私のCD「feat.手」にも収録されている曲ですが別バージョンの録音です。(岸)
10.Restart
ある年の地元神戸のコンクリートジャングルで見た元旦の夕日を見て、また新たに1年間頑張ろうと思って書いた曲です。(佐野)
11.天つ風
とにかくチェロという楽器の持つ重低音の魅力を激しく放つ曲が書きたくて、私がバックグラウンドのピアノを、メロディのチェロを相方が、共作しました。ユニットとしては新境地になる一曲に仕上がったと思います。(岸)
- タワーレコード Amazon BRIDGE ONLINE STORE ORICON
- アルコウ
- ピアノ岸淑香(きしさやか)、チェロ佐野まゆみ、からなるアコースティックデュオ。2013年からデュオライブを重ね、2015年5月「アルコウ」結成。クラシックを学び、ボーカリストやポップスのサポートにも定評のある佐野。エレクトーン出身ながらジャズを始め、多ジャンルで活動するピアニスト岸。ピアノとチェロというクラシックな編成でありながら、奏でる楽曲は感情をえぐるようなものからディープな世界に浸るものまで多種多様に表現している。宛らクラシックでありフリージャズ。互いのオリジナルを中心に、ジャンルを問わない名曲スタンダードのアレンジもデュオならではの演奏でステージを盛り上げる。ユニット名の「アルコウ」は、弓で弾くarcoと、一緒に「歩こう」の2つの意味を掛けている。2015年オリジナル曲7曲のみを収録した1st デモCD「出会い」発売。2017年2月15日 1st Full Album「Asymmetry」全国発売。東京近郊から、関西へのレコ発ツアーを行うなど精力的に演奏活動を行なっている。
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