雨にも負けず、風にも負けず、ビックバンド。

　台風がちょうど関東に直撃していた10月29日日曜日の昼下がり。その台風をも吹き飛ばすようなライブが新宿の地下で繰り広げられていました。慶應義塾大学K.M.P. NEW SOUND ORCHESTRAと横浜国立大学Bay Sound Jazz Orchestraによる対バンが新宿SOMEDAYにて開催されました。

　トップバッターを務めましたのはKMPレギュラーバンドです。今年の夏に開催されました[山野ビックバンドジャズコンテスト](http://kobejazz.jp/concert_report/vol187.html)にて実に15年ぶりの5位入賞を果たし、その勢いはとどまるところを知りません。今回のライブでは疾走感あふれるナンバーApple Honeyでオープナーを飾り、一気に会場が熱気に包まれました。カウントベイシーのナンバーからは誰もが知るShiny Stockingsを演奏。メンバーによる遊び心が散りばめられたライブならではの一曲に仕上がっていました。その後はKMPレギュラーバンド十八番ともいえるGordon Goodwinのナンバーを3曲続けて披露し、看板ソリストによる華麗なソロで会場を沸かせました。

　2番手を務めたのはBJOジュニアバンド。横国BJOは2010年に設立された学生バンド界隈では比較的新しいバンドです。一曲目からカウントベイシーのナンバーよりJackson Country Jubileeを演奏してくれました。続いてエリックモラレスのナンバーからAlianzaを披露。ラテンとスイングのリズムチェンジが特徴的な難曲をこなしていました。

　続いてはKMPジュニアバンドのステージ。今回のライブでは2曲続けてこちらもまたまたカウントベイシーのナンバーを演奏。迫力のあるブラス隊と切れの良いリズムが好印象でした。そのほかバディーリッチのナンバーよりラテン調のMexicali Noseや、ファスト曲Sammy NesticoのYa Gotta Try ...Harder!など様々なジャンルの曲を披露し、会場を大いに盛り上げました。

　対バンのトリを飾ったのは横国BJOレギュラーバンド。こちらはジュニアバンドとは異なりチェックのシャツで衣装を統一。その中にも個性が表れていて視覚的にも鮮やかなステージを演出していました。今回の対バンではどのバンドもカウントベイシーの楽曲をセットリストに組み込んでいましたが、BJOレギュラーバンドは大トリにふさわしく、オールカウントベイシーのナンバーでセットリストを揃えてきました。一曲目はお馴染みFlight of the Foobirdsを演奏。その後、In A Mellow ToneやFOUR,FIVE,SIXなどカウントベイシーオーケストラを代表する楽曲を次々披露。軽快な４ビートとオールドスタイルなスイング感に観客の体も自然に動きます。

　そして今回の対バンライブの大きな見どころの一つは、4バンド全てのバンドがセットリストの最後にカウントベイシーオーケストラのOne O’clock Jumpを演奏したことであったのは間違いないでしょう。まさにベイシーバンドである両バンドの対バンにふさわしい楽曲で、演者も観客もそれぞれの独自のアレンジや個性を聞き比べ、対バンをより盛り上げるトピックとなったのではないかと思います。

出演
慶應義塾大学K.M.P. NEW SOUND ORCHESTRA
横浜国立大学Bay Sound Jazz Orchestra

Written by MauiTakahashi