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コンサートレポート

第48回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト
■2017年8月12日(土)・13日(日) 東京国際フォーラム ホールA [東京都/千代田区]

レポート

それぞれの個性を追求し、より高次元の音楽をめざす

第48回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト(以下YBBJC)が今年も開催されました。本年はYBBJCを主催する銀座山野楽器創業125周年にあたるプレミアム・イヤー。本拠地であった大宮ソニックシティーから丸の内の東京国際フォーラムへと会場を移し、大勢の観客を迎えていっそうの賑わいを見せました。
昨年同様、出場校の演奏レベルは年を追うごとに上がり、入賞バンドの入れ替えが激しい中、慶應義塾大学ライト・ミュージック・ソサエティが圧倒的な完成度で三連覇を成し遂げました。演奏が終わった瞬間、出場する他校の学生からため息が漏れ、「もはや次元が違う」との声さえ聞こえてきました。
今回、大きく順位を上げ、上位に食い込んだのは法政大学ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ、慶應義塾大学K.M.P. ニュー・サウンド・オーケストラ、神戸大学KOBE マソック・ジャズ・オーケストラ。また昨年は出場に届かなかった中央大学スウィング・クリスタル・オーケストラは14位と検討し、みごとベストランクアップ賞を手中に収めました。一方、初出場の琉球大学モダン・ジャズ・オーケストラは管楽器セクションが全員が立ち上がってスタンダードナンバーを演奏。譜面にとらわれない「南国風」のユニークなサウンドで「自分たちが持つ力を最大限活かした」(本田雅人氏)と評され、会場を沸かせました。
出場した全35校のうち、今や半数以上が日本人現役コンポーザー、アレンジャーの楽曲を演奏しています。特に今回は慶應義塾大学ライト・ミュージック・ソサエティの加藤真亜沙、立教大学ニュー・スウィンギン・ハードのAsuka Kakitani といった、アメリカ在住の女性作・編曲家の優れた楽曲が注目を集めました。プログラムを眺めると、おなじみの現役プレイヤーが編曲していたり、わずか数年前にソリスト賞を受賞したプレイヤーが楽曲提供していたり。その一方でスウィングやメインストリームの名曲もまだまだ健在。YBBJCの見どころ、聴きどころの楽しみはつきません。
今大会もうひとつのトピックスは、創業125周年を記念して結成された『審査員Special Big Band』。過去YBBJCに出場した豪華メンバーを結集。審査員全員がバンドリーダー、プレイヤーとして出演し、その気迫溢れるプレイに会場からは大声援が送られました。
表彰式では「審査基準も課題曲もありません。各団体の個性を活かしたい。こんなに高いレベルのコンテストは世界のどこにもありません。就活には役だたなくても、長い人生の中では必ず役立つでしょう」と審査員長の内堀 勝氏。今回YBBJCの発展に尽力された各氏に功労賞が贈られましたが、そのひとり瀬川昌久・前審査員長は、かつて「僕の夢はメイド・イン・ジャパンのビッグバンド・ジャズが、世界へ向けて発信していくこと」と語っていましたが、その夢はもはや現実となって明日へ向かっているのでは。
そう実感せずにはいられない充実感とともに、第48回YBBJCは幕を下ろしました。

受賞結果

第1位 最優秀賞

慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]

今年も完成度の高い演奏で会場を魅了。「びっくりしました。すばらしい。自分も次の演奏へ向けて動き出したくなったくらい。どこを取ってもケチのつけようがない」と納 浩一氏絶賛。

第2位 優秀賞

早稲田大学[ハイソサエティ・オーケストラ]

ビッグバンドでニューオリンズを綴る凝った構成。「リズムセクションが特にすばらしい。技術もすごいがセンスがいい。いい演奏と言うよりお客さんに聴かせるバンド」と三木敏悟氏絶賛。

第3位 優秀賞

法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]

名曲を吹き倒す硬派なジャズが会場を圧倒。「すごい!トランペットソロ、言うことない。トロンボーン、アルトサックスソロも共にすばらしかった」と内堀 勝氏。

第4位

東京工業大学[ロス・ガラチェロス]

今年も大トリでロスガラ・サウンド全開。「受け継がれたグルーブがある。メンバーによってパーカッションがよく考えられ、音楽と絡み合って本当にすばらしい。」と納 浩一氏。

第5位 日刊スポーツ賞

慶應義塾大学[K.M.P. ニュー・サウンド・オーケストラ]

力強いG.グッドウィンで上位入賞。「勢いがすごい。圧倒された。勢いに流されることなくアンサンブルしていた。もうひとつの慶應の強敵になりつつある」と前田憲男氏。

第6位 J-WAVE賞

同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]

力強いパフォーマンスが今年も光る。「さすがによくまとまっている.ソロ、みんないい。ギターとベースももうぴったり。文句のつけようがない」と納 浩一氏絶賛。

第7位 特別賞

明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]

今年も王道ジャズで真っ向勝負。「ダークサウンドの音がバンドの特長だが、盛り上がってきたらブライトな音も必要なのでは。それを考えるともっとよくなる」と三木敏悟氏。

第8位 敢闘賞

神戸大学[KOBE マソック・ジャズ・オーケストラ]

モダンなサウンドが魅力。「みんなが力んでいないいい演奏。ソプラノソロは音楽的。ピアノとドラムが会話していた。アルトソロは粒が揃い、表情があってよかった」と角田健一氏。

第9位 審査員賞

大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]

うまさと楽しい演出で会場はノリノリ。「間違いなく演出は最優秀賞。特にサックスセクションのハモりがいい。音が色っぽく、ダイナミクスも言うことなし」と三木敏悟氏絶賛。

第10位 奨励賞

洗足学園音楽大学[ゲット・ジャズ・オーケストラ]

この日のために新曲を用意。「自分たちの得意な部分で楽曲が描かれ、うまくいっている。大きな風景が見えるようでよかった。よく練習している。ソロはみんなよかった」と守屋純子氏。

最優秀ソリスト賞

松倉和範(Tp)

法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]

優秀ソリスト賞

砂川滉太(P)

東京工業大学[ロス・ガラチェロス]

優秀ソリスト賞

布施音人(P)

慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]

ベストランクアップ賞

中央大学[スウィング・クリスタル・オーケストラ]

「スウィングして一体感があった」と守屋純子氏。富士通テンより、「レコーディング権」が副賞として授与されました。

学バン アワード

法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]

第3位入賞、最優秀ソリスト賞と大奮闘して三冠をさらった。

(※学バン アワードとは:審査員による審査とは別に、予選を含む参加バンドが本選出場バンドの中から最も良かったと思うバンドに投票して、自分たちで選ぶ賞です)

出演

8月12日(土)
01.日本大学 [リズム・ソサエティ・オーケストラ]/02.昭和大学 [メディカル・オール・スターズ・ジャズ・オーケストラ]/03.大手前大学 [ジャズ・スカイスクレイパー]/04.京都大学 [ダーク・ブルー・ニュー・サウンズ・オーケストラ]/05.東洋大学 [グルービー・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]/06.学習院大学 [スカイ・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]/07.早稲田大学 [ハイソサエティ・オーケストラ]/08.甲南大学 [ニューポート・スウィング・オーケストラ]/09.横浜国立大学 [ベイサウンド・ジャズ・オーケストラ]/10.青山学院大学 [ロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]/11.洗足学園音楽大学 [しわしわ-ず]/12.国際基督教大学 [モダン・ミュージック・ソサエティ]/13.明治大学 [ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]/14.金沢大学 [モダン・ジャズ・ソサエティ]/15.明治大学 [ニュー・ウェ-ブ・ジャズ・オーケストラ]/16.洗足学園音楽大学 [ゲット・ジャズ・オーケストラ]/17.法政大学 [ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]/18.上智大学 [ニュー・スウィング・ジャズ・オーケストラ]/19.慶應義塾大学 [ライト・ミュージック・ソサエティ]/[GUEST BAND]審査員Special Big Band
8月13日(日)
01.神戸大学 [KOBE マソック・ジャズ・オーケストラ]/02.琉球大学 [モダン・ジャズ・オーケストラ]/03.立教大学 [ニュー・スウィンギン・ハード]/04.大阪大学 [ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]/05.東北大学 [ニュー・フォレスト・ジャズ・オーケストラ]/06.立命館大学 [R.U. スウィンギン・ハード・ジャズ・アンサンブル]/07.東京大学 [ジャズ・ジャンク・ワークショップ]/08.同志社大学 [ザ・サード・ハード・オーケストラ]/09.関西学院大学 [K.G. スウィング・チャリオティアーズ]/10.昭和音楽大学 [リリー・ジャズ・オーケストラ]/11.慶應義塾大学 [K.M.P. ニュー・サウンド・オーケストラ]/12.愛知学院大学 [スインギング・オール・スターズ]/13.中央大学 [スウィング・クリスタル・オーケストラ]/14.天理大学 [ALS ジャズ・オーケストラ]/15.日本医科大学 [ミッドナイト・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]/16.東京工業大学 [ロス・ガラチェロス]/[GUEST BAND]森 寿男とブルーコーツ