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コンサートレポート

ネクストジャズメッセンジャー vol.2
■2017年6月11日 100BANホール(神戸市中央区)

レポート

20代の若きジャズミュージシャン達によるムーブメント

 関西を中心に活動する、20代の若きジャズミュージシャン達によるムーブメント、「Next Jazz Messengers」。略して「ネジャム」。昨年の春に始動し、「びわこジャズ東近江」をはじめとする数々の音楽イベントに出演。そして、今年で二回目となるネジャム主催のライブ「Next Jazz Messengers vol.2」が、6月11日(日)に行われました。東京からのゲストも招き、さらにパワーアップした、その熱いライブの様子をお届けします。

 会場は、神戸旧居留地にある100BANホール。スタインウェイのグランドピアノが常設されており、ステージを囲むように並べられた客席は、出演者との距離も近くてアットホームな空間です。100名以上のお客さんに囲まれ、18歳~25歳のミュージシャン達が出演しました。

「小原加奈梨 Quintet」
トップバッターはハードバップを中心に演奏。大阪音楽大学での4年間を共にした、小原加奈梨(alto sax)と弓場一誠(tenor sax)は流石のコンビネーション。小原のオリジナル曲「Harry Up Blues」、半音でぶつかる大胆なメロディーは強いインパクトを与えます。平倉初音(piano)の力強いインプロヴィゼーションに今岡稜太(drums)の音が重なり、さらに勢いを増します。美しいバラード「Linden」では、荒井一喜(bass)の温かみある低音が響きました。

「小林沙桜里 Organ Trio」
普段、ピアニストとして活動する小林沙桜里は、ジャズ・オルガンの奏法を確立した巨匠であるJimmy Smith Trioと同じ編成で、オルガントリオに挑戦。ハモンドオルガン自体、初めて見聞きした方も多かったのではないでしょうか。MC中の楽器解説も興味津々でした。次々にファンキーな曲が披露され、小林沙桜里(organ)の特徴的な音色の変化と、若松駿平(guitar)の歯切れ良いカッティングと共に、原田一平(drums)の激しいリズムが乗っていき、盛り上がりをみせました。

「礒野ノブキ Quintet」
休憩を挟んだ2ndステージは、無題の新曲でスタート。リーダー・礒野展輝(trombone)のパワーと、バークリー音楽院在学中である陸悠(tenor sax)の繊細さのバランスが魅力。さらに、器用な指さばきでバンドを支える小池勇輝(bass)、食らいつく森田渚音(drums)。今回、披露したのはオリジナル曲とアレンジ曲のみの3曲で、しっとりとした6月に相応しいオリジナル曲「雨の日の帰り道」は、美しいハーモニーが心地よく、酒井柊人(guitar)のエモーショナルな演奏が印象的でした。

「小倉直也 with NeJ@M All Stars feat.中島朱葉」
ラストを飾るのは、この日のために結成されたノネット(9人編成バンド)。前半に出演したメンバーに、ビッグバンドでもコンボでも抜群のセンスが光る森下啓(drums)が加わったバンドです。そして、スペシャルゲストは、関西出身であり、現在は東京を中心に活動中の中島朱葉さん(alto sax)。リーダーの小倉直也(trumpet)によるスタンダードのアレンジを演奏しました。中島さんの圧巻のプレイにバンドメンバーもさらに火がつき、客席は演奏中も掛け声が飛び交うなど、大盛り上がり。陸と弓場は熱いテナーバトルを繰り広げました。アンコールには盛り上がりに相応しいアップテンポなブルースを披露し、拍手のなか終演。

「ジャズ」というと、「年配の方の音楽」や「BGM」というイメージがあるかもしれませんが、現に今も進化し続け、ジャンルにとらわれない音楽になってきています。今回のライブでは、既存の曲以外にもメンバーによるオリジナル曲が聞けたり、曲のアレンジやインプロヴィゼーション(即興)での表現の自由さ、演奏者同士のコールアンドレスポンスなど、魅力の詰まった内容だったと思います。若手ミュージシャン達の活躍に期待が高まる一方、今後さらに若いミュージシャンの登場にも胸が膨らむ一日となりました。

(written by Asumi Kasai)

(写真撮影:五島羊祐)