コンサートレポート バックナンバー
ALL JAPAN DIXIELANDJAZZ FESTIVAL 2007
第41回 全日本ディキシーランド・ジャズ・フェスティバル
2007年7月22日(日)兵庫県公館(迎賓館)・神戸栄光教会[神戸市・中央区]
なごやか・にこやか・ディキシーランド!
出演バンド
1.N.Oグローリージャズバンド
2.ディキシーランド・ハートウォーマーズ
3.マホガニーホール・ストンパーズ
4.岡山ディキシーフレンズ
5.マグノリア・ナテュラルプレイバーズ
6.ニューオリンズ・ラスカルズ
7.ロイヤルフラッシュ・ジャズバンド
8.キャッスル・ジャズバンド
9.ニューオリンズ・レッドビーンズ
10.花岡詠二とグットマンボーイズ
11.ディキシー・キャッスル
12.ジャパン・オールスター・キャッツ
全12バンドが一堂に!
「全日本ディキシーランド・ジャズ・フェスティバル」ですが、なんと41回目の開催となりました。旧甲子園ホテル、舞子ビラに次いで、今回の開場は神戸の街の真ん中、兵庫県公館(迎賓館)とお隣の神戸栄光教会です。
兵庫県公館といえば、1902年に建設されたというフランス・ルネッサンス様式の美しい建物。その美しい佇まいは優雅さと同時に歴史の重さをも感じさせます。豪華なシャンデリアの下で繰り広げられるトラディショナルジャズ、黄昏も近づく頃には教会でもジャズによる賛美歌…。
あまりにも神戸の街にピッタリの組み合わせに期待もふくらみます。
参加バンドは、えり抜きのオールスターバンドを併せて全12バンド。神戸だけでなく、大阪、京都、姫路、岡山、東京からの参加もあり、なんともにぎやかな顔ぶれです。これだけのプレイヤーが一堂に会し、個性的な演奏を聴かせてくれる、それだけでも見ものと言えるかもしれません。
訪れるジャズファンの善男善女のみなさんもベテラン(?)揃い、高い天井のロビーにも柔らかい光と穏やかな笑い声が満ちています。ホール入り口では、2007年度の神戸ジャズ大使の小林明(さやか)さん、副大使の岩本真紀子さん、山内直子さんがにこやかに迎えてくださいました。
客席もどんどん埋まり、末廣光夫さんによる名調子の司会と共に、いよいよ演奏が始まりました。
ディキシーランド・ジャズファンにはお馴染みの曲の数々、早くもノリノリの演奏に、広い会場の空気もどんどんスウィングしていきます。
プレイヤーだけでなく、客席の中にも演奏をあおり、客席をあおるチアリーダー的な方の姿もあり、みなさん本当に楽しそうです。
トラディショナル・ジャズと新しい試み
クラリネット・花岡詠二氏の率いるオールスターバンド「ジャパン・オールスター・キャッツ」の演奏では、こんな試みもありました。
何かと神戸とは縁の深い、作家でもありシンガーソングライターでもある新井満氏の作曲による「千の風になって」。この曲をディキシーランド風にアレンジして演奏、なんとタイトルも「998の風になって」(笑)。花岡氏の愉快なMCも客席の爆笑を誘っていました。
たくさんのバンドが入れ替わり立ち替わり、インストゥルメンタルはもちろん、ボーカルをフィーチャーした曲も織り交ぜながらにぎやかに演奏が続いていきます。プレイヤーのみなさんも衣装も、シックなものありカラフルなものありで、耳だけでなく、目も存分に楽しませてくれました。
ふとホールの外に出ると、ドアからもれてくる演奏をバックに、なんと社交ダンスに興じているカップルの姿も。明治の面影を今に伝える名建築の雰囲気が、そんな大人の粋な気持ちを演出してくれたのかもしれません。
バンドをかけ持ちしているプレイヤーがいたり、同じバンドの中に親戚がいたり、そんな「順列組み合わせ」的な環境も、このアットホームな雰囲気作りに影響しているのか、どの顔も笑顔・笑顔・笑顔。司会の末廣光夫さん、大牧暁子さんとも長いつきあいのツーカーの仲という感じです。
きっと客席にも、この穏やかで暖かいオーラが伝染していくのでしょう。みなさんそれぞれに目を細め、体を揺らしながらジャズを楽しんでおられました。
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神戸栄光教会では…
時間はまたたく間に過ぎ、兵庫県公館での演奏とならんで神戸栄光教会での演奏も始まりました。
震災では壊滅的な打撃を受けたこの教会。神戸栄光教会の美しく再建された姿は、よみがえった神戸の街の姿そのものなのかもしれません。
そんな教会の中でジャズによるゴスペルを聴かせてくれたのは、ニューオリンズ・ラスカルズ。何の手も加えない全くの生音が荘厳に響きます。目を閉じて聴き入っている人の姿も多く見られました。そんな人々の心には、光に包まれて天に昇っていく、音の翼でも見えていたのでしょうか。

隣あわせのふたつの会場で、一方ではにぎやかに、また一方では荘厳に、ディキシーランド・ジャズの一日は豊かに暮れていこうとしています。挨拶を交わしながら会場を後にする人々の足取りも、いかにも満足そうに見えました。