バックナンバーページへ

ConcertReport・コンサートレポート

TACOTACO JAZZ FESTIVAL 2014(タコタコジャズフェスティバル2014/2014年9月21日(日) 明石市立西部市民会館 [兵庫県・明石市])

レポート
PAGE TOP

 9月21日心地よい秋晴れの日に明石市立西部市民会館には、たくさんの人が集っていました。そこはJR線魚住駅から徒歩圏内とはいえ決して地の利のいい場所ではなく、大きな池と公園に囲まれたどこか郊外の美術館を想わせる建物。
しかし、12時開場13時開演にも関わらず11時過ぎには人が集まり、開場前には長蛇の列ができるほど。
TACOTACOジャズフェスティバルは、今年で9回目を迎え、地元のジャズファンに人気のイベントとして定着してきたと言えるでしょう。
私もその歴史の半分以上を鑑賞してきて、観客同士、あちこちのライブハウスでも出会う顔馴染みのジャズファンが増えました。そして今年もまたここに集えたことを喜んで声を掛け合うのが、楽しみのひとつになっています。

 このジャズフェスは、毎年新しい構成で行われ、いろいろな楽しみ方ができますが、今年はまずビッグバンドごとの特色が楽しめる第1~2部と、元T-SQUAREのサックスプレイヤー宮崎さんを迎えたスペシャルコンボの第3部という構成。4時間超え(休憩含む)でしたが、観客のほとんどが最後までジャズを満喫して帰られました。

 トップバッターは、Twinkle Jazz Orchestra(社会人バンド)。そのうち2曲はJAZZ PARTY BIGBAND(明石の高校生選抜バンド)とのコラボレーションという、初の試み。ベテラン社会人バンドに、高校生達の演奏も上手く溶け込んで、素敵な音色に仕上がっていました。出演した高校生にお話を伺うと、同じ曲でも自分達がいつも演奏しているアレンジとはまた違っていて、とても勉強になったとのこと。
Twinkle Jazz Orchestraは金管楽器のシャープな音が印象深く、高校生の刺激を受けて?若々しく新鮮さが加味された演奏を聴かせていただきました。

 二番手は、S.F.BIGBAND。パワフルで小気味の良い演奏に地元ファンにも人気があります。元々若手ミュージシャンが集まって結成されたビッグバンドのようですが、もう18年目だとか。そのせいか今回は特に、今までの迫力と勢いと明るさの他に、走り過ぎない余裕のある大人のムードも加わって、ますます素敵な演奏でした。

 第一部最後はEVER GREEN JAZZ ORCHESTRA with 宮崎隆睦。
フォービートからラテンの曲までバラエティあふれる曲目の中に、ボーカルのシンディさんのジャジーな歌声を聴かせるものや、宮崎隆睦さんをフューチャリングしたQuintessenceを含めた7曲を演奏。ノリがよくアットホームなビッッグバンドならではの懐の深さで、味わいのある音の競演を聴かせていただきました。

 第二部は、阪神間で活躍されている地元明石のプロビッグバンドのBig Band'A。
洗練されたアンサンブルと多彩なソロはもちろん、West Side Storyから始まる選曲にもプロならではの観客を楽しませる演出があり、ラグジュアリーなジャズを堪能できました。

 そしておまちかねの第三部は宮崎隆睦&TACOTACOオールスターズ。
前半は大阪・神戸・明石で活躍する本ジャズフェスでもおなじみのメンバーを中心としたクィンテッド。小気味よいフレーズ、アドリブ奏法を中心としたスリリングな演奏にジャズの楽しみをふんだんに盛り込み、長時間ビッグバンドを聴いてきた観客をその魅力であらたにひきつけたのでした。
後半は、ゲスト宮崎隆睦さんの登場。神戸市出身で10代の頃からジャズシーンで活躍、ボストン・バークリー音楽大学留学時代にはナタリー・コールらと共演し、日本ではTーSQUAREに加入していた宮崎さんのサックスはまさに圧巻。力強さと歌う様なやわらかさをあわせ持つ素晴らしい音色に魅了され、ラストにふさわしい、ともすると贅沢すぎるほどの素晴らしい演奏でTACOTACOジャズフェスティバルはしめくくられました。

 明石のTACOTACOジャズフェスティバルは、小規模でありながらも阪神間という地元に密着したミュージシャンを中心としたその親しみやすさ、多彩なビッグバンド、テクニシャンぞろいのコンボ、さらに今回はビッグゲストを加えた音楽性の豊かさが大きな魅力のジャズイベントでした。
また来年、私もそこに観客として帰ってきたいと思います。

[ レポーター/TACOTACO JAZZ FESTIVAL 2014スタッフ 森谷 里加 ]

Page Top

前の記事へ インデックスへ 次の記事へ