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ConcertReport・コンサートレポート

INTERNATIONAL CHRISTIAN UNIVERSITY MODERN MUSIC SOCIETY RECORDING REPORT

国際基督教大学Modern Music Society レコーディングレポート[第44回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト連動企画/ベストランクアップ賞 副賞]/2013年11月30日(土) Buddy[東京・江古田]

レポート
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 今回のレコーディングは、Modern Music Society57回目となる定期公演のライブ収録です。早朝に神戸を出発した富士通テン録音スタッフは、午前10時には会場へ到着、機材搬入をすませてセッティングを開始。ステージには一人ひとつのスタンドマイクに加え、両袖の2箇所にもアンビエンスマイク(空間・周りの音を拾うマイク)が設置されました。ミキシングコンソール経由で直接録音され、出張レコーディングでは初となるライブハウスでの録音となります。
 Modern Music Societyのメンバーも午前中にリハーサルをスタート。録音されるのはレギュラーバンド2ステージとジュニアバンド1ステージ。定期演奏会はさらに卒業生社会人OBバンドの演奏を加えた4部構成のため、それぞれ入念なチェックを重ねて本番に臨みます。
 そして17時半、いよいよ開場です。Buddy店内に170席ぎっしり並べられた椅子はみるみる埋まっていき、賑やかな声援とともに『Magic Flea』で演奏会はスタート。メンバーによるユニークなMCが会場を和ませつつ、順調に進行し、レギュラーバンドのメンバーは特にレコーディングを意識することなく、自然な雰囲気のなかで最終ステージを迎えました。
「少数精鋭、とは言いがたい少ない人数で立ち上げ、エキストラとして入ってくれた人もメンバーに加わっていいバンドに成長しました。OBや指導にあたってくださったかたも含め、一人ひとりにお礼を言いたい」と、バンドを率いる4年生伊織悠紀子さんの言葉は観客の共感を呼び、声援はいよいよクライマックスに。山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストで審査員・本田雅人氏に「予想を上回るすばらしい演奏」と絶賛された『Claire De Lune』や『So What』『Ollie』など、アンコールを含む全6曲を演奏。有終の美を飾るアンサンブルと熱いソロに惜しみない拍手が送られ、定期公演は感動のうちに幕を閉じました。
 オープンニングから約4時間。録音スタッフはこの後データを富士通テン社内「スタジオf(フォルテ)」に持ち帰り、編集作業に入ります。CDは来年1月下順に完成する予定。どんなライブ盤ができあがるのか、Modern Music Societyのみなさんも、ここに居合わせた観客のみなさんも楽しみに待っているに違いありません。

インタビュー
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伊織悠紀子さん(国際基督教大学 Modern Music Society バンド&コンサートミストレス)

今年度に入った時点ではわずか13名にメンバーが激減、バンドの継続自体が危ぶまれたスタートでした。各自の楽器技術もばらばら、同じ方向を向いているとは言いがたい状況から、「ソロプレイを核にバンドを構築する」という方針を立てました。メンバーとの話し合い・練習を重ね、山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストの予選通過が実現したとき、ようやく「この方向で間違っていなかった」という確信が持てました。つらいことも多かったけど、W受賞によって、信じてきたことを続ければ成果は出る、ということが私の人生で初めて証明されました。今日の演奏会およびライブ録音にいたるまで、励まし続けてくださった多くのかたに感謝の気持ちでいっぱいです。

コメント
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冬の気配を感じる11月末日、朝一番で空路東京に降り立ち、会場であるBuddyさんの前に到着するとちょうど、Modern Music Societyのメンバーの皆さんも搬入を始められていました。今回は、われわれ録音スタッフが初となるライブハウスでのビッグ・バンド収録ということで、少々不安に思いながら機材設営を開始しました。今まで経験してきたホールに比べて小さな空間での録音となるため「音が混濁してしまわないだろうか」「ライブ演奏であるにもかかわらず、ライブ感のある音を収録できないのではないか」などの心配がありました。ところが、いざリハーサルが始まり、テスト録音した音をヘッドフォン越しに確認してみると、その心配は一気に吹っ飛びました。Buddyさんのほうでマイクロフォンをご準備してくださり、楽器1つずつにマイクを立てていただけましたので、音が混濁することもなく、非常にクリアに収音できていました。また、会場全体の音は持参したマイクロフォンでアンビエンスとして集音しました。小気味良く消えていく短めの残響があり、デッド過ぎず、奥行き感のある音を、お客様の熱い歓声とともに収音することができました。ミックスは当日の会場の音の響きの再現とともに、楽しさや熱気も感じられるよう、バランスを崩さないレベルまでアンビエンスマイクの音量を上げていきました。限られたトラック数でビッグバンドを録音する場合、「何を録らないか」を決めるのにいつも頭を悩ませます。今回はBuddyさん(PAご担当の田中さん)のご配慮で、ハウスのミキシングコンソールのお力をかなりお借りして、20チャンネルを超える音声ラインを16トラックにおさめることができました。こうして収録した音源なので、ミックス時にはクリア感を出し過ぎる傾向にありましたが、4年生の方々には最後の定期演奏会となる特別な日ということで、「当日のライブ感の再現」に立ち返りながら進めました。

取材協力:BIGBAND!編集部

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