2013年8月に開催された第44回山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストで7位に入賞、ベストランクアップ賞とのW受賞を果たした国際基督教大学Modern Music Society。副賞のレコーディングは東京・江古田のライブハウス・Buddyで行われました。
今回のレコーディングは、Modern Music Society57回目となる定期公演のライブ収録です。早朝に神戸を出発した富士通テン録音スタッフは、午前10時には会場へ到着、機材搬入をすませてセッティングを開始。ステージには一人ひとつのスタンドマイクに加え、両袖の2箇所にもアンビエンスマイク(空間・周りの音を拾うマイク)が設置されました。ミキシングコンソール経由で直接録音され、出張レコーディングでは初となるライブハウスでの録音となります。
Modern Music Societyのメンバーも午前中にリハーサルをスタート。録音されるのはレギュラーバンド2ステージとジュニアバンド1ステージ。定期演奏会はさらに卒業生社会人OBバンドの演奏を加えた4部構成のため、それぞれ入念なチェックを重ねて本番に臨みます。
そして17時半、いよいよ開場です。Buddy店内に170席ぎっしり並べられた椅子はみるみる埋まっていき、賑やかな声援とともに『Magic Flea』で演奏会はスタート。メンバーによるユニークなMCが会場を和ませつつ、順調に進行し、レギュラーバンドのメンバーは特にレコーディングを意識することなく、自然な雰囲気のなかで最終ステージを迎えました。
「少数精鋭、とは言いがたい少ない人数で立ち上げ、エキストラとして入ってくれた人もメンバーに加わっていいバンドに成長しました。OBや指導にあたってくださったかたも含め、一人ひとりにお礼を言いたい」と、バンドを率いる4年生伊織悠紀子さんの言葉は観客の共感を呼び、声援はいよいよクライマックスに。山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストで審査員・本田雅人氏に「予想を上回るすばらしい演奏」と絶賛された『Claire De Lune』や『So What』『Ollie』など、アンコールを含む全6曲を演奏。有終の美を飾るアンサンブルと熱いソロに惜しみない拍手が送られ、定期公演は感動のうちに幕を閉じました。
オープンニングから約4時間。録音スタッフはこの後データを富士通テン社内「スタジオf(フォルテ)」に持ち帰り、編集作業に入ります。CDは来年1月下順に完成する予定。どんなライブ盤ができあがるのか、Modern Music Societyのみなさんも、ここに居合わせた観客のみなさんも楽しみに待っているに違いありません。
取材協力:BIGBAND!編集部
今年度に入った時点ではわずか13名にメンバーが激減、バンドの継続自体が危ぶまれたスタートでした。各自の楽器技術もばらばら、同じ方向を向いているとは言いがたい状況から、「ソロプレイを核にバンドを構築する」という方針を立てました。メンバーとの話し合い・練習を重ね、山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストの予選通過が実現したとき、ようやく「この方向で間違っていなかった」という確信が持てました。つらいことも多かったけど、W受賞によって、信じてきたことを続ければ成果は出る、ということが私の人生で初めて証明されました。今日の演奏会およびライブ録音にいたるまで、励まし続けてくださった多くのかたに感謝の気持ちでいっぱいです。