第29回ジャパンスチューデントジャズフェスティバル

［中学生の部］
ベストサウンド賞（富士通テン賞）：西宮市立西宮浜中学校
神戸市長賞（白川賞）：名古屋青少年ビッグバンド

［高校生の部］
ベストサウンド賞（富士通テン賞）：愛知中学・愛知高等学校
神戸市長賞（白川賞）：兵庫県立高砂高等学校

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　第29回ジャパンスチューデントジャズフェスティバルが、8月23日（金）・24日（土）・25（日）の3日間、神戸文化ホールで行われました。出場校は関西を中心に東京、愛知、徳島、山口などから参加。1日目の中学生の部には17校、2日目、3日目の高校生の部には27校の合計44団体のビッグバンドが日頃の練習の成果を披露しました。

　今年は宮城県の石巻北高校を招待し、若さあふれる学生たちのステージと、古谷光広＆Saxophon Laboをはじめ、甲陽音楽院ディレクターズバンドなど、5バンドをゲストに迎え、学生たちに負けない貫禄のステージは、結果発表を待つジャズファンを魅了しました。中でも、大阪音楽大学ジャズオーケストラのメンバーには、昨年、高砂高校の一員として演奏したプレーヤーも参加し、コンテストのレベルの高さと歴史をうかがわせます。

［中学生の部］

　1日目の中学生の部では、神戸の舞台の演奏に感激の涙あり、腕にマジックで意気込みを書き、3年生はラストステージを楽しみ、男子校ならではのパワーみなぎる演奏が見られました。

　演奏後のインタビューでは、緊張から解放されて安堵の表情と笑顔が印象的でした。「いちばんいい演奏ができました」「悔いの残る演奏でした」「去年よりもいい音を出すことができました」「お盆休みを返上して練習しました」「練習で先生に怒られたけど、本番はうまくいった」「音質を合わせるのに苦労しました」など、さまざまな思いを聞くことができました。

　表彰式では、優秀各賞や個人賞のナイスプレーヤー賞の発表に会場が沸き、中学生の部の神戸市長賞は、学校に所属しない小・中学生ビッグバンドの名古屋青少年ビッグバンド「Little Hills Jazz Orchestra」、ベストサウンド賞（富士通テン賞）は、ジャズ演奏だけではなく、合唱活動も行っている西宮浜中学校「マリナシティ・ジュニアジャズオーケストラ」が、それぞれ受賞しました。
「近年、技術が高くなっています。ジャズは楽譜に書けないことや、深い表現によって、さらなるレベルの高い演奏をめざしてほしい」と、中学生の部の指導講師を務めた、藤井司朗さんからのメッセージです。

　中学生とは思えないほどのハイレベルの表現力と演奏力を披露し、猛暑を吹き飛ばす、熱気あふれる1日目のステージでした。

［高校生の部］

　2日目と3日目の高校生の部では、パーカッションの迫力ある演奏で客席を引き込み、遠路はるばる参加した実力派ビッグバンドなど、息もつかせぬ演奏が見られました。演奏後のインタビューでは、「今日が最後の演奏になります」と、答えていたことが印象的です。　多くの高校での演奏活動は3年弱。打ち込めば打ち込むほど時間はあっという間に過ぎていきます。その貴重な演奏活動を本大会で締めくくることができる喜びは、詰めかけた観客にも伝わってきます。

　拍手の鳴り止まないステージは、いよいよ審査結果の発表です。前日に続き、各賞が読み上げられるたびに歓声が上がり、受賞者は高校生らしく全身で喜びを表し、照れくさそうに賞状を受け取ります。

　高校生の部の神戸市長賞は、デビュー1年の吉川組が団結してグランプリを勝ち取った、高砂高校「ビッグ・フレンドリー・ジャズ・オーケストラ」。部長の吉川一穂さんが喜びで思わず顔を覆います。観客席の部員たちとのコンタクトが涙を誘い、後輩たちが演奏の楽しさを受け継いでくれることでしょう。

　ベストサウンド賞（富士通テン賞）は、中学と高校の各部員の中から一つのバンドを立ち上げて参加した、愛知中学・愛知高等学校「愛知中学・愛知高校吹奏楽団」が受賞しました。
「みなさんが音楽を演奏できること。その幸せに感謝することを忘れないように、今後も活躍してください」と、高校生の部の指導講師を務めた、宗清洋さんから熱いエールが送られました。

　会場の外は、朝からの雨も上がり、静かな夕闇に包まれようとしています。「来年こそ」「来年も」の思いを胸に秘め、参加者たちは家路へ就きます。ジャズの街、神戸は、また、来年も多くのすぐれた若き演奏者たちを迎えてくれることでしょう。