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ConcertReport・コンサートレポート

YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST 2012

第43回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト 2012年8月18日(土)・19日(日) 大宮ソニックシティ 大ホール [さいたま市/大宮区]

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ますます百花繚乱!個性際立つハイレベルなステージ

2012年8月18〜19日に行われた第43回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト。国立音楽大学ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラが大会6連覇、そして洗足学園音楽大学の2バンドが入賞を果たし、コンテストはまた新たな時代に突入しつつあることを印象づけた2日間でした。

レポート
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 連日の猛暑に負けないほどの熱気と大声援のなか、今年も盛り上がった第43回山野ビッグ・バンド・ジャズコンテスト(以下YBBJC)。
毎年上位に顔を並べる明治大学 ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ、早稲田大学 ハイ・ソサエティ・オーケストラ、同志社大学 ザ・サード・ハード・オーケストラ、慶應義塾大学 ライト・ミュージック・ソサエティらが、連覇を続ける国立音楽大学ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラにどう挑むのか、近年のひとつの聴きどころとなっています。一方、前年惜しくも入賞を逃したり、出場できずに涙をのんだバンドが飛躍的な進歩をとげ、審査員に絶賛されるシーンが数多くみられたことは、今年のYBBJCの特長だったといえます。それぞれに努力と工夫を重ねた各大学の演奏は、個性を際立たせ、おおいに会場を沸かせました。

 そんな中、昨年初出場ながら5位に入賞した洗足学園音楽大学 ゲット・ジャズ・オーケストラは、通常の編成にバイオリン、ボイス、アルトフルート等を加えた、香取良彦氏作編曲によるオリジナリティあふれる意欲作を披露。「ニュータイドを脅かす存在がとうとう現れた」との角田健一氏の評に、今年はもしや異変が起こるのでは、と期待した観客も多かったのではないでしょうか。
結果こそニュータイドの6連覇、となりましたが、どこが最優秀賞に輝いても不思議ではないほどYBBJCはますます百花繚乱。と同時にコンテンポラリー系、ファンク系、ラテン系、ストレートアヘッドなジャズ等、全く違うタイプの音楽に順位をつける難しさを、改めて感じさせられた大会でもありました。

 今回のYBBJCで印象に残ったことはさらに二点あります。ひとつは、トロンボーンという楽器の存在。驚くほどの技術の向上、そしてなにより演奏者がこの楽器にどれほど魅力を感じているのか、ひしひし伝わってくる素晴らしい演奏が続出していたことは、明るい未来を予感させるトピックスといえます。そしてもうひとつは、YBBJCがいまやプロの作編曲家にとっても、その個性を発揮し、腕を競う場になってきているということ。特に今回は若手作編曲家による斬新な楽曲が目立ちました。出場する学生の指導に当たる現役ミュージシャンも多く、「山野が終わらないと落ち着かない」との声さえ聞こえてくるほど。また初めてゲストバンドとして登場した「イガバンBB」のメンバーは、リーダー五十嵐誠氏をはじめ約7割がYBBJC出身者。ここでもその影響力の大きさが感じられます。

 YBBJCの基礎を築いた山野楽器会長 山野政光氏は大会直前の7月に他界され、授賞式は審査員長・瀬川昌久氏の呼びかけにより、黙とうと氏への感謝の拍手で始まりました。
多くの学生が切磋琢磨し、仲間とともに、音楽と自分自身に真剣に向き合う山野の夏。
亡くなられた会長も、そんな彼らを天国からずっと見守っていてくれるに違いありません。

受賞結果

楽器の音色の美しさ、ソロ・ソリの巧さは圧巻。「すばらしいアレンジ。どの曲も難しいのに流れがとても自然。バランスがいいので一体感がある。いうことがないすばらしい演奏」と守屋純子氏。

意欲的なオリジナル楽曲とユニークな表現で観客を魅了。「ぞくっとした。音の豊かさが新鮮。音色に余裕のある演奏はさすが音大。バリトンサックスはプロ級」と絶賛した角田健一氏。

今年も正統派路線の気迫が炸裂。最優秀ソリスト賞も受賞。「この曲をクラリネットでやるなんてかっこいい!ケチつける部分がない演奏」とエリック・ミヤシロ氏。

組曲風の多彩なオリジナルアレンジ楽曲を熱演。「部分部分のフィーリング、そしてソロがすばらしい。不思議な魅力にあふれ、びっくりしました」と内堀勝氏。

ベイシー、エリントンで真っ向勝負。「エンターテイメントは個性。独特なカラーを世の中にぜひひろめてください!」とエリック・ミヤシロ氏。

授賞式ではコンテンポラリー路線の継続を宣言。「チャレンジしていることが伝わる。ライトらしいカラーがよく出たすばらしい演奏」と納浩一氏。

ファンキーで強力なエレクトリックサウンドを披露。「たいへんいいサウンド。元気がよくて好感が持てる。プロには真似のできない勢いがある」と本田雅人氏。

今年も熱いラテンで会場を魅了。「最高の演奏。ロスガラ・グルーブともいうべきオリジナリティを感じる」と三木敏悟氏も絶賛。

今年はオレンジの半被を脱いでシックに登場。「とても気持ちがいい。演奏に計画性と必然性を感じる。努力が実になって反映され、いうことがない」と本田雅人氏。

見事ベストテンにランクイン。「去年とは全く違うバンドのよう。練習の成果が出ている。どこをとってもすばらしい」と納浩一氏。

「エリントンらしいムードがでていた。しっかり練習してきた感じ」と納浩一氏。富士通テンより、「レコーディング権」が副賞として授与されました。
後日、2012年12月9日(日)に京都市内のホールで行われた彼らの定期演奏会に、富士通テンの音響エンジニアがお伺いし、ライブレコーディングを実施。完成したライブCDをメンバー皆さんにお届けしました♪
(ライブレコーディングのレポートはこちら

出場バンド
●8月18日(土)

01. 慶應義塾大学[K.M.P.ニュー・サウンド・オーケストラ]
02. 名古屋大学[エーデル・レーテ・ジャズ・オーケストラ]
03. 大手前大学[ジャズ・スカイスクレイパー]
04. 甲南大学[ニューポート・スウィング・オーケストラ]
05. 昭和大学[メディカル・オールスターズ・ジャズ・オーケストラ]
06. 専修大学[グリーン・サウンズ・オーケストラ]
07. 国立音楽大学[ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ]
08. 中央大学[スウィング・クリスタル・オーケストラ]
09. 洗足学園音楽大学[しわしわーず]
10. 明治大学[ニュー・ウェーブ・ジャズ・オーケストラ]
11. 同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]
12. 上智大学[ニュー・スウィング・ジャズ・オーケストラ]
13. 立命館大学[R.U.スウィンギン·ハード·ジャズ·アンサンブル]
14. 早稲田大学[ハイ・ソサエティ・オーケストラ]
15. 東北大学[ジャズ・オーケストラ]
16. 成蹊大学[コンパル・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
17. 法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]
18. 東京工業大学[ロス・ガラチェロス]

19. 愛知大学[ブルー・スターズ・ジャズ・オーケストラ]
20. 神戸大学[KOBE マソック・ジャズ・オーケストラ]
21. 明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]  

●8月19日(日)

01. 日本大学[リズム・ソサエティ・オーケストラ]
02. 東京大学[ジャズ・ジャンク・ワークショップ]
03. 天理大学[ALS ジャズ・オーケストラ]
04. 青山学院大学[ロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
05. 関西学院大学[K.G. スウィング・チャリオティアーズ]
06. 大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]
07. 慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]
08. 名古屋芸術大学[ジャンパ・スウィング・オーケストラ]
09. 日本医科大学[ミッドナイト・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
10. 埼玉大学[スウィング・キューブ・ジャズ・オーケストラ・ブルー・バンド]
11. 立教大学[ニュー・スウィンギン・ハード]
12. 創価大学[プリンス・マーシー・ジャズ・オーケストラ]
13. 京都大学[ダーク・ブルー・ニュー・サウンズ・オーケストラ]
14. 洗足学園音楽大学[ゲット・ジャズ・オーケストラ]

取材協力:BIGBAND!編集部