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クリスのワッツ・ジャズ?
VOL.4  ヘンクツ王 ~超個性的ミュージシャンの群雄割拠~


ついに、いわゆる『モダンジャズ』が誕生! 今回はその発展を辿ります。

ビッグバンドの仕事を終えたミュージシャンたちが、自分たちの楽しみのために深夜のクラブに集まって演奏するようになった。
それは主に52番街のライブハウスが多かったわけですが、有名なのはハーレムのMINTON'S PLAYHOUSE。こんなクラブでの演奏がモダンジャズを生んだんですね。
楽譜にとらわれない自由な演奏は、ミュージシャン同志の情報や演奏アイデアの交換の場でもあったんです。そんな中で、それまでのビッグバンドジャズとは違う、新しい音楽が生まれました。
ビッグバンドジャズという幹から、大きな大きな枝が分かれて伸びてきたといっていいかな。


それが、いわゆるモダンジャズ、またはビ・バップというスタイルだったわけですね。

そうなんですねー。ミュージシャン個人の演奏に注目するようになって、新しいスターがたくさん生まれました。
チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンク、チャーリー・クリスチャン、マックス・ローチ、ケニー・クラーク、バド・パウエル…。


僕たちがよく知ってる(←名前だけでも)ミュージシャンがいっぱい!

-ここで生徒砂原の自由研究1-
この辺りのミュージシャンって、麻薬漬け、アルコール漬けの人がほんとに多い!だからかなあ、ジャズ好きでも有名な村上春樹氏は『人畜有害のミュージシャン…』なんていう表現をしています(笑)。

そうそうそう、彼らはみんな、ミントンズでのジャム・セッションから生まれてきたといっていいでしょうね。 それまで主流だったビッグバンドのスイング・ジャズは4拍子、でもこの新しいスタイルでは8拍子が基本。
複雑なコードを使ったりアフロ・キューバンのリズムを取り入れたり…ものすごく先鋭的、刺激的な音楽を作りだしたんです。


現代の僕たちが思っているような、『ジャズ=シブい音楽』ではなかったんですね!

かーなり違うでしょうね。
スイング・ジャズに慣れた耳にはとんでもなく刺激的だったはずですよー。だから、特に若い人が彼らに注目するようになったんです。
ミュージシャン個人が注目されるようになったおかげで、ファッション的な部分もすごく変わりました。
わざと、すごく丈の長いジャケットを着たり、セロニアス・モンクみたいに変なカタチの帽子をかぶったり…。


あー、ビッグバンドだと、みんなお仕着せのユニフォームみたいになっちゃいますもんね。


そうでしょう?みんな音楽的な部分はもちろん、見た目的にも目立ちたかったんでしょうね(笑)。
もっともそれは、自分の才能に目を向けさせるためでもあったわけです。つまり、注目されればバードランドみたいみたいな一流クラブと長期契約ができたり、レコーディングのチャンスをつかむきっかけになるわけでね。
雑誌メディアも、この新しいジャズに注目していました。それがビジュアルでの影響力を生むことにもなるわけです。


あー、ビジュアルの力は大きいですねえ!

でしょー?そんなこんなで、モダンジャズは良くも悪くもファッション的にひろがっていきました。
『モダンジャズを聴いてることがカッコイイ、たとえ理解できなくても』、みたいなね(笑)。ま、それはともかく、ジャズはこうして、娯楽音楽から芸術的な音楽に変化してきたんですね。


わからなくても、それを聴くことがカッコイイなんてのは、日本でも同じようにあったみたいです(笑)。
なんかこう…文学とかアートみたいな感じですね。
わかんなくてもダザイやミシマを読んで眉間にシワ寄せてるとカッコイイみたいな。

そうそうそう、ちょうどそんな感じかもしれませんねー。


-ここで生徒砂原の自由研究2-
これはまあ個人的な印象なんですが、講義を受けてるときに、似てるなーと思ったことがありました。それは「落語」なんです。 誰もが演じることができる演目(曲)はあるけど、固定したやり方(アレンジ・楽譜)はなく、演者(ミュージシャン)それぞれが、それぞれのスタイルでやっている。で、結果的に、「志ん生の『火炎太鼓』が…」とか、「米朝の『三十石』が…」みたいになるわけですね。 そういえば、林家正蔵さんや柳家小三冶さん、亡くなった古今亭志ん朝さんもジャズ好きで有名。山下洋輔さんみたいに落語好きなジャズメンも多い。 ジャズと落語。ぜんぜん違うものだけど、実はかなり通じるものがあるんじゃないか、ここだよお咲さん、あたしが言うのは。 ま、それはさておき…。


ニューヨークではそんなカタチで、どんどんモダンジャズが聴かれるようになりました。
それに呼応するように、今度は西海岸でも新しいジャズのムーブメントが起こったんです。『ウエスト・コースト・ジャズ』なんて呼ばれてますが、東海岸といちばん違うのは、白人ミュージシャン、それも、クラシック音楽の素養を持つミュージシャンが多かったこと。
彼らはドビュッシーみたいな現代音楽家も積極的に取り入れました。
そんなわけで、かなり東海岸とは違ったジャズが生まれ、育っていきました。ああ、気候の違いも大きいですね(笑)。


ほとんどいつも晴れているようなところと、ニューヨークとはやっぱり違う、と(笑)。 これはロックやポップスでも同じですね。


-ここで生徒砂原の自由研究3-
ウエスト・コースト・ジャズは、『クール・ジャズ』と呼ばれたりもしたようです。
厳密にはビバップとも重なる部分があって、きちんと区別はできないみたいですが。
朝鮮戦争が終結し、アメリカ、特に西海岸に好景気が戻ってきた。
そんな時代の富裕層に、あまり熱くないというか、クールで聴きやすいスタイルが受けたようです。
スタン・ゲッツやチェット・ベイカー、ジェリー・マリガン、デイブ・ブルーベックなんかは西海岸の代表的ミュージシャンと呼べそうです。
たしかに爽やかというか洗練されたというか、クールな響きが感じられますね。


いやあ、モダンジャズと一口に言っても、いろんなスタイルがあるんですねえ。

まあね、でもいろんな分類をして名前をつけたのはほとんど評論家だから(笑)。 まあそんなふうにして、スイングジャズから枝分かれして生まれたモダンジャズは、ビバップ、ハードバップ、ポストバップとかモードなんて少しずつ進化して、あるいはフリージャズみたいな枝分かれをしながら今でも生き続けています。


ジャズも、常に新しい音楽・未知の音楽やアイデアを取り入れて変化しているわけですね。


そうなんですねー。
えー、あれはなんて言いましたっけ?料理の……あ、そうそう『創作料理』!いわゆるスタンダードを、どんな風にアレンジするか、どんな味付けにするかみたいなのが、今のジャズの楽しみ方でもありますね。
『この魚を、今日はバップ味にしてみようか、それともモード味に…?』みたいなね。
うーん、次回からは演奏スタイルというか、楽器編成の変遷みたいなテーマにしましょうか。じゃあ、今日はこのへんで!


ありがとうございました!

-ここで生徒砂原の自由研究4-
そう考えると、ジャズというのは音楽のジャンルとかスタイルというよりも、『アイデア』とか『コンセプト』なんじゃなかろうか、なんて思いました。
そもそもがアフリカの音楽から始まったジャズですが、ジャズはブルーズもラテンも、クラシックもファンクもどんどん吸収して育っていった。
だから、『これがジャズだ!』というジャンルがあるわけじゃなくて、ジャズ的な考え方、表現の仕方があるだけなのかなーなんて思ったんでした。
だんだんと佳境に入ってきたこの連続講義、次回もお楽しみに!





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