
Narumi Sagane
相根成美

ヴォーカリストとしてのポイントを伺いました
- ●練習法、喉や体調などの管理法、気を使っているところ、アピールポイントなど
- 楽器の人にも共通と思いますが、メトロノームを使って、リズム感を常に意識しながら練習してます。
喉ができるだけ乾燥しないように、マスクをつけたり加湿器を使用します。冬場は冷えないように、マフラーや、寝るときにネックウォーマーを使用しています。
歌うときは、できるだけお腹に意識を持って行って、体全体で歌うように心がけています(喉の調子の悪い時は特に)
歌う曲の歌詞の内容の意味はもちろん、可能な限りその曲のできた背景等を研究して歌うようにしています。同時に、英語の発音も注意して、正しく発音できるように練習しています。 - ●今後やっていきたいジャンル、発声法などこれからの取組みについて
- 今は離れていますが、元々お芝居が大好きなので、お芝居とJazzの生演奏がコラボレーションしたショーがやってみたいです。
英語の発音の研究は引き続きしていくのと、高い声を出すときに使う「ハーフヴォイス」の研究も更に進めていきたいです。
レコーディングの感想
万波幸治さん(レコーディングエンジニア)
レコーディングに入るまでにしっかりとした打ち合わせ(アルバムコンセプトの確認)を必ず行うのですが、今回、相根さんの持たれていたサウンドイメージは音楽を構成する楽器、それに交わる自身の唄声、そして普段のリスニング環境での音の響きや広がりをまでをしっかりイメージされていました。言葉で言うならダイナミクスレンジが広く、自然で伸び伸びとしたサウンドと言った感じです。そこで今回のレコーディングでは全ての楽器をコンプレッションする事なく収録する事にしました。昨今のレコーディングセオリーでは収録時に適切なレンジコントロール(過度のアタック音の処理や、音量感の平均化)を行う事が多いのですが、まず作品のイメージを作り上げる事を最優先と考え、十分に広いダイナミクスレンジを確保したかったからです。ミックスダウンに関しても同様に作品イメージを保ちつつ作業しました。スタジオフォルテではちょうど新発売のECLIPSE TD-M1を使わせて頂けるタイミングでしたので、今回のコンセプトであるレンジ感の確認にはとても良い環境となりました。
ミックス作業でイメージ通りのサウンドに仕上がったのですが、この後のマスタリングの行程が重要となります。マスタリングとはミックス完成後のマスター音源に磨きを掛ける様な作業です。今回の作品では生き生きとしたサウンドのレンジ感を一般リスナーの再生環境でも十分に再現出来る仕上がりを作ることがとても重要です。そこで幾つかのマスタリング手法で数パターンのサンプルCDを作り、それを相根さんやプレイヤーの方々に自宅で聴いて頂き、コンセプトイメージに合う最もベストな仕上がりの物を選び決定しました。
1stアルバム「Beautiful Steps」
今回ファーストアルバムとなる相根成美さんのレコーディングは3日間にわたって行われました。初日はピアノとのDuo、2日目はピアノトリオ+ヴォーカル、3日は古谷充さんのサックスとコーラスパートのオーバーダビングと、楽曲ごとの演奏内容や、音のイメージに合わせ録音方法を逐次変更されての録音でした。
初日のDuoでは曲の間合いや流れ、音の自然さ、声の出しやすさなどを意識してピアノと向い合うようなかたちで同じ空間で収録されました。最終的にはヘッドフォンもしない極めてナチュラルな状態で録音されました。
2日目のピアノトリオでは相根さんとドラムの安井鉄太郎さんがそれぞれブースに入り、初日とは打って変わって各楽器の干渉があまり無い条件で録音されました。楽曲の詳細を確認しつつ、楽曲のイメージをすり合わせながら録音が進みました。
3日目はサックスのダビング、そしてコーラスパートのダビングが行われました。サックスのダビングでは部屋の響きも考慮しスタジオの広い空間で行われました。関西の、いや日本のJazzの重鎮、古谷さんの味わい深いサックスの音色がスタジオいっぱいにいびきわたりました。古谷さんのサックス録音以外の時間はじっくりとコーラスパートのダビングに使われました。幾重にも折り重なったコーラスパートの響きは、まさにゴージャス。
この様にバリエーションに富んだ構成と、自然なレンジ感あふれる相根さんのファーストアルバム、ぜひお聴き下さい
。
Album Info.
「Beautiful Steps」相根成美
[ 2014.04.16 Release, Amazon・ディスクユニオンにて発売中 ]
-
- 01.
- Just In Time
-
- 4:15
-
- 02.
- Invitation
-
- 4:30
-
- 03.
- Waltz For Debby
-
- 4:06
-
- 04.
- Here's That Rainy Day
-
- 4:17
-
- 05.
- Twilight Express
-
- 3:11
-
- 06.
- This Is New
-
- 3:38
-
- 07.
- Close Your Eyes
-
- 3:55
-
- 08.
- I Wish You Love
-
- 3:23
-
- 09.
- What Are You Doing The Rest Of Your Life
-
- 3:58
-
- 10.
- Cherokee
-
- 2:17
-
- 11.
- I Can't Believe That You're In Love With Me
-
- 4:13
Live Info.
相根成美/ライブスケジュール
2014年6月1日 blue note kyoto
<CD発売記念ライブ>
2014年7月20日 梅田ミスターケリーズ
2014年7月22日 祇園 pick up
Member Info.
相根成美 (ヴォーカル)
学生時代、演劇に興味を持ち、劇団そとばこまちに所属。退団後、役者時代に好きだった音楽を極めようと、ジャズの勉強を始める。関西ジャズ界の重鎮・古谷充氏に師事。1999年、ジャズコーラスグループ「Girl Talk」を結成。大阪の老舗ライブハウス、ロイヤルホースオーディション入賞、浅草アマチュアジャズコンテストで銀賞受賞。関西のライブハウス、イベントで活躍。
現在も、女性3声のコーラスグループ“パールズノーツ”で活動しながら、ソリストとしても、大阪、京都のライブハウスを中心に、活動中。
安井さち子 (ピアノ)
富山県生まれ、奈良県育ち。4歳からクラシックピアノを学ぶ。大学3年次にジャズに転向し、大学卒業後、1996年9月にバークリー音楽大学に特待生留学。ピアノをジョアン・ブラッキーン、レイ・サンティシに学ぶ。在学中から数多くのライブの仕事活動と録音を経験。1998年5月にジャズ作曲科、1999年8月にピアノ科をそれぞれ卒業、両科の最優秀成績の称号を授与される。1999年9月に帰国し、地元関西、そして、関東において精力的にライブハウスで活動をはじめる。2002年7月に拠点を東京に移し、2003年4月よりFM東京CS放送MusicBird Jazz8「安井さち子と素敵にJazz Talk」のメインパーソナリティーとして1年間担当。2005年2月、M&I/ポニーキャニオンから「Touch of Fortune」をリリースし、メジャーデビュー。その後数々のCDをリリース。2011年8月には安井さち子の新境地とも評される「NANA」(ポニーキャニオン)をリリース。現在、関東一円のライブハウス/ホールや全国からの出演依頼に飛び回る。
西川サトシ (ベース)
ベーシスト。1964年大阪生まれ。奈良在住。大阪府立東住吉高校ブラスバンド時代からジャズを始め、関西学院大学軽音楽部に所属し、その頃からプロ活動を始める。数回のニューヨーク滞在で本場のジャズに触れる。数多くのセッション経験があり、ウィントンマルサリス(tp)やスティールドラムのオテロモリノー、中山正治(dr)など多数にわたる。最近はアルトサックスの大御所、古谷充氏率いるネイバーフッドビッグバンド、氏の息子光弘(ts)氏とのサンダーバーズやアコースティックトリオに所属し、トランペットの唐口一之カルテットやピアノの清水武志氏の地球防衛隊にも参加している。最近はラテン音楽に興味を持ち、カルロス菅野(per)熱帯トロピジャムなど幾つかのセッションに参加している。
http://satobaho.exblog.jp/
安井鉄太郎 (ドラム)
京都に生まれる。13才からドラムを始めYAMAHAでレッスンを受ける。15才の時YAMAHAのコンテストでベストドラマー賞受賞。16才からドラムをYAMAHAで教え始める。このころからポップス、フュージョンバンドなどのバンドでライブハウスに出演。23才から大阪に住み関西で演奏し始める。2006年にニューヨークに拠点を移しNEW SCHOOL UNIVERSITY CONTEMPORARY JAZZ MUSICに奨学金を得て入学。ドラムを、Ari Hoenig、Johnathan Blakeに師事、ウエインショーターアンサンブルにオーディションに通りベーシスト、Doug Weissに師事、他、多数のオーディションに通り、Charlie Persip、Junior Mance、George Garzonなどに師事しフルバンドからフリージャズまでさまざまなアンサンブルで演奏。2008年からハーレムのセントニクスパブの金曜日にレギュラーで出演、フランクレイシーなどのミュージシャンと共演。出演ライブハウスにSMALLS, FAT CATなどでエリックワイアット、イゴアーランパートなどさまざまなミュージシャンと演奏する。2011年帰国前に自己のバンドメンバーでぎりぎりにレコーディング、メンバーはマイケルイートン、デイブディモッタ ブライアンビンセント。10月に日本に帰国。ライブなどで活躍中。
古谷充 (アルトサックス)
1936年2月13日、大阪生まれ。京都音楽大学(現京都芸大)在学中に、アルト・サキソフォン奏者として、ジャズバンドに参加。北野タダオとアロージャズオーケストラ等を経て、古谷充とザ・フレッシュメンを結成。ヴォーカリストとしての評価も高く、1995年には第11回ツムラ・ジャズ・ヴォーカル賞特別賞受賞。98年尼崎市民芸術賞、99年大阪舞台芸術賞受賞。現在は古谷充 Neo Saxophone Band、古谷充 Neighborhood Big Bandをはじめ、数々のバンドを主宰。

東京と大阪で離れている時間も長かったのですが、年に1度は必ず会って、会うと6時間くらいお喋りしてしまうという、大の仲良しのピアニスト、安井さち子さんと、私の永年の師匠、古谷充先生のSaxと私の3人でガッツリ音の世界に浸りたくて、3人だけの演奏曲を2曲入れました。スケジュールの都合で、ヴォーカルとピアノで先に録音して、後日Saxを入れていただくことになりました。ヴォーカルとピアノのDuoで録音したときは、いつもおしゃべりしている感覚で、音で会話できて、二人の世界ができたと思いました。後日、Saxを録音していただいた時は、私たちの女子トークに、古谷先生の大人のSaxの音が、更に全体を深みへ持っていっていただいた感じがして、心の深いところに響く曲に仕上がったと思います。
2008年にリリースされた、Pianoの安井さち子さんのアルバム「恋人~エナモラーダ~」に収録されている、彼女のオリジナル曲「Twilight Express」を初めて聴いた時には、メロディもSwing感もスピード感も何もかも気に入って、いつかこんな曲を歌ってみたいとずっと思っていました。今回、せっかくご本人とCDを制作する機会に恵まれたので、歌詞をつけて歌ってみました。歌えば歌うほど、益々彼女の世界観にハマっていくようで、すごく楽しかったです。
私の歌のキャリアの中で、ジャズコーラスグループでの活動というのは外せません。今回は、コーラス3声の1人での多重録音にもチャレンジしました。大好きなThe McGuire Sistersのようなサウンドを目指しました。
多重録音の時は、1人で3パート歌うので、それぞれのパートへの、頭の切り替えが大変でした。3番目のパートを録音しているのに、気が付いたら、先ほど録音した2番目のパートを歌ってしまっていたりもしました。細かな言葉のタイミングを合わせるのも気を遣いました。でも、3パートの音が合うと、すべて自分の声なので、ハーモニーは、とても気持ちのいいものになりました。
CDにどの曲を入れるかは、皆悩むところだと思いますが、私も1曲、入れるかどうか迷いながらも、とりあえずレコーディングしてみたいという曲がありました。演奏後、とてもいい出来だったので、自分の中ではほぼ入れる方向に傾いていたのですが、全体的な構成等も見て決めたいと思ったので、メンバーには「入れるかどうかわからない」と言っていました。後日、歌入れの時に「入れるかどうか悩んでいて・・」とエンジニアの万波さんに相談したところ「え~!絶対入れてください。かっこいいのに!」と背中を押されて、メンバーに相談せず、即決で入れました!出来上がったCDを聴いて、メンバーは驚くと思います。