スタジオfの録音レポート

Kotaro Hiramitsu Quintet

平光広太郎クインテット

no.21

ストレートアヘッドなジャズを体現した1stアルバム。

今回の録音レポートは、ジャズピアニスト・平光広太郎さんがリーダーを務めたアルバム「STRAIGHT LINE」のレコーディング風景をお届けします。平光さんがプロとしての活動を始めて4年目の節目として制作され、アルバムコンセプトも平光さんのこれまでの活動がもとになっているのだとか。「STRAIGHT LINEというタイトルは、自分自身が今まで一直線で突き進んできたことと、素直に聴き手に伝わりやすい、ストレートアヘッドなジャズを追求しているというコンセプトが込められています。内容は奇をてらうことはなく、自然にわき出したアイデアをそのまま曲に込めました。結果的にリスナーにとっても、馴染みやすい楽曲が出そろったと思っています」。
今回のバンドは2年前から定期的にライブ活動をしているという気心のしれた仲間同士。それぞれが作曲するというなかで、今回は平光さんのリーダー作ということで、彼が中心となった楽曲が収録されています。「自分が今まで培った演奏技術が活かしやすく、ジャズの香りがするアレンジを心がけました。ジャズが好きな人たちにこそ喜んでもらいたいと思っています」とお話いただいたとおり、平光さんたちのストレートな思いが詰まった一枚に仕上げっています。


入念なリハーサルによって、スムーズに行われた録音。

今回が初レコーディングとなった平光さん、不安要素も多かったようで、地元名古屋で入念にリハーサルを重ねられたそう。活動拠点が東京である海野さんの代わりに名古屋の若手ドラマ―浅井翔太さんを加えて、収録時間、構成、アンサンブル、録音順にいたるまで、しっかりと固めてから当日臨まれたそうです。そのおかげで、当日は初めてとは思えないほどリラックスされていた皆さん。レコーディングもスムーズに進み、初日で半分以上の曲を録り終えることができました。
録音終了後には「本当は二日では足りないんじゃないかと思っていたのですが、メンバーの集中力も高くて、全曲ともに数テイクで満足いく演奏ができました。スタジオの響きも想像以上に気持ち良くて、録音された音を聴いたときには小松くんが『いつもより上手く聴こえる!』と言っていたほどです(笑)。特に管楽器の音質の柔らかさはいい感じでしたね」と話してくれました。その言葉どおり、スタジオの響きを十分に生かして制作された今回のアルバムは、平光さんたちのストレートな思いが伝わる音づくりになっています。

ミックス終了後、レコーディングの感想を聞いてみました。

平光広太郎さん
ミックスは1曲目の「Straight line」を最初に行い、この曲には時間をたっぷりかけました。スタジオのモニター以外にもイヤホンで聴き、両方の環境で最適なバランスを探しました。音質的にはラフミックスの段階ですでに理想的な音が出ていたので、そのままの感じを活かして、エンジニア長島さんにお任せで微調整してもらいました。あとの曲は、考えすぎずに直感を重視。マスタリングはメールで音源を送っていただき、メンバー全員にも聴いてもらって決めました。ミックスの段階でもすでにいい感じでしたが、より音圧が出て、各楽器のディテールが聴こえやすくなりました。

長島直乗さん(レコーディングエンジニア)

今回の録音はピアノがリーダーのアルバムということで、ピアノのマイクにはいつもよりたくさんマイクを立ててみました。PAでは良く見かける手法ですが、ピアノのサウンドホールにダイナミックマイクを突っ込むというものです。コンデンサーマイクをメインにして、ダイナミックマイクでガッツを足すというやり方ですね。ちゃんとしたレコーディングでは初めての試みだったので、どうかな?と思いましたが、予想以上の効果がありました。
さらに平光さんも繊細なサウンドを出されるので、同じ部屋に居た管楽器のアンビエントマイクを、急遽モノラルからステレオに変更するなどの手直しを行いました。録音してた段階では、サウンドは良かったのですが、楽器同士の位置(前後関係など)が微妙だったので、ミックスダウンではその辺りを特に意識しながら作業をしました。
みなさんレコーディングなのにもにも関わらず、すごくリラックスされていたようなので、演奏もミックスも非常にスムーズに進みました。

楽曲、演奏、サウンドともに真直ぐに心に響く珠玉の一枚。

ミックス作業では一曲ずつ丁寧に行われ、楽器のバランスをはじめとして、特に各楽器の前後の奥行き感と音色の調整を徹底されていました。その結果、木で包まれたレコーディングスタジオであるスタジオfの特色を生かした、温もりあるナチュラルでストレートな楽器の音と響きが存分に楽しめる仕上がりとなりました。「ジャズ好きの人にこそ聴いて欲しい」という当初の言葉どおり、サウンドもさることながら演奏も非常に真直ぐで自然に心と体に入ってきます。平光さんらしい繊細かつストレートなオリジナリティが光る楽曲が詰まったファーストアルバム「STRAIGHT LINE」、是非多くのジャズファンに楽しんでいただきたい一枚です。

Album Information

平光広太郎クインテット「STRAIGHT LINE」

名古屋を拠点に全国で活動を続けるジャズピアニスト、平光広太郎がリーダーを務める平光広太郎クインテットのファーストアルバム。自身のオリジナル曲を中心にSam Rivers の「Beatrice」、Johnny Greenの「Body and soul」など馴染みのあるカバー曲も収録。表題どおりストレートなジャズを楽しみたい人にオススメしたい一枚。全8曲。
[LOVELY labelより2013年7月10日全国発売予定/KBYK-5611]

プレゼント告知!
平光広太郎さんのご好意により、アルバム「STRAIGHT LINE」を3名の方にプレゼント♪
[ プレゼント概要 ]
賞品:CDアルバム/平光広太郎 「STRAIGHT LINE」
当選者数:3名様
当選発表:発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
開催期間:2013/5/23~2013/6/10
※ご応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
※応募受付の確認、当選・落選についてのご質問や、電話でのお問い合わせにはお答えいたしかねます。
※お客様のご連絡先・ご住所が不明などで商品がお届けできない場合は、当選を無効とさせていただく場合があります。
※当選者は本権利を他人に譲渡、または金銭や他の物品と交換はできません。
※当選されたお客様からご提供頂いた個人情報につきましては、当選されたお客様への商品発送のみに利用させて頂きます。頂いた個人情報をその他目的で使用する事はありません。
ライブ情報
<STRAIGHT LINE 発売ツアー>
7月30日 四日市 Veejay
7月31日 岐阜 Bagu
8月1日 名古屋 Jazz inn lovely
8月2日 松坂市 Kenney
8月3日昼 浜松B♭
8月3日夜 愛知県吉良 intelsat
8月21日 豊田市 Keyboard
8月22日 金沢 もっきりや
8月23日 富山入善町 TIME

Member Information

平光広太郎さん (ピアノ)
1983年生まれ。幼少からクラッシックピアノを始め、岐阜大学New Stars Jazz Orchestra、Liebe Parzeに所属したことをきっかけにジャズピアノに転向。在学中よりジャズピアニストである水野修平氏に師事。2005年「東海ビッグバンドコンテスト」優秀ソリスト賞を受賞。卒業後は音楽とは無縁の一般企業に就職するが、演奏活動に専念するために退職。2009年4月から本格的に演奏活動を開始する。同年7月にはシアトルで開催されたCentrum Jazz Workshopに参加し刺激を受ける。現在、自己のグループを率い、各地で定期的に活動を続けている。その他にも様々なミュージシャンのサポートを行う等、東海地区を中心に活動中である。2012年『金沢ジャズストリート2012コンペティション』にてグランプリを受賞。
http://jazzpiano.aikotoba.jp/

側島万友美さん (アルトサックス)
高校在学中、「神戸スチューデントジャズフェスティバル」にて優秀ソリスト賞を受賞。大学卒業後土岐英史氏に師事し、アドリブ奏法を学びながら、ライブハウスでの演奏を重ねる。アルトサックスらしい艶と、独特のやさしい音色に定評があり、現在は東海3県を中心に活躍している。
http://d.hatena.ne.jp/altosobajima/

小松悠人さん (トランペット)
1983年生まれ。静岡県浜松市出身。 名古屋音楽大学器楽学科管楽先攻を首席で卒業。現在は活動の拠点を東京におき、自己のカルテット、ビッグバンド、ロックバンド、シンフォニーオーケストラ、アーティストサポート、レコーディング等で日本全国で活動中。 ブラックエレファンツ、氷川きよしコンサートツアーサポートバンド、C.U.G.Jazz Orchestraのメンバー。
http://blog.livedoor.jp/aaakomatta/

日景修さん (ベース)
1968年、秋田出身。名古屋を中心とした活動の他、吉田正広グループにて全国各地でのツアーを行う。大坂昌彦、川島哲郎、TOKU、納谷嘉彦、アレンファーナム、ジェフキーザー、ブルースバース等との共演の他、多数のレコーディング・ツアーに参加。小濱安浩グループにて韓国公演にも参加する。現在は、納谷嘉彦をはじめ数々のレギュラーグループ、多くのセッションで活躍中。名古屋音楽大学非常勤講師。
http://www2.gol.com/users/hikage/

海野俊輔さん (ドラム)
1979年、富山県魚津市生まれ。 大学在学中からプロとしての活動を始め卒業後に活動を本格化。2012年、堀秀彰(P)トリオで韓国テグInternational Jazz Festivalに出演、2013年に中川英二郎(Tb)カルテットでパリ公演を行うなど海外でも活躍の場を広げている。現在、中村健吾、金子健、植松孝夫、石崎忍、中林薫平、などのグループの他、サックストリオユニット"UNE"、自己のバンドやセッションなどで都内を中心に幅広く活動中。
http://jmsu.web.fc2.com/umishun/