水: |
老師、いよいよ始まりましたね。 |
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寿: |
ニャんじゃ? |
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水: |
KOBEjazz.jpでの連載ですよ! 老師とジャズの話をするだなんて思ってもみませんでした。 |
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寿: |
そうかニャ。吾輩はこれでもジャズ好きニャんじゃがな。 |
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水: |
え~? そいつは初耳です。 |
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寿: |
ジャズ、つまり即興演奏というのは、気功に通じるものがあるんじゃ。 |
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水: |
はあ。 |
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寿: |
ま、それはおいおい話すとして、今回は例のブックCDについて解説しようと思うがニャ。 |
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水: |
「快眠☆ねこ気功」ですね。お願いします。 |
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寿: |
これは今までになかった、ユニークなスタイルの気功テキストと考えておる。 |
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水: |
そうでしょうね。気功へのリードメッセージあり、物語あり、歌あり、演奏あり、幻想的なイラストありと、なんだか絵本のような感じですもの。 |
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寿: |
とっつきやすい印象じゃが、なかなかどうして高度な気功法ニャんじゃぞ。 |
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水: |
そのあたりをくわしく教えてください。 |
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寿: |
うむ。まず、このブックCDは「三つの境界」からできておることことを理解せよ。 |
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水: |
三つの「境界」ですか? |
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寿: |
ひとつは「めざめ」と「ねむり」の境界。 |
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水: |
ああ、「まどろみ」というやつですね。起きてもいないし、眠ってもいない状態。 |
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寿: |
つぎに「現実」と「空想」の境界じゃ。 |
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水: |
ファンタジーというのは、完全に空想の世界じゃないんですか? |
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寿: |
そんなふうに思うじゃろ? しかし、そこにまったくリアリティがないとファンタジーとして機能しニャいんじゃよ。 |
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水: |
どこまでが現実でどこからが空想か、はっきりしないほうがいいということですか? |
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寿: |
まあ、そういう表現もできるかニャ。三つ目の境界は「心」と「身体」の境界じゃニャ。 |
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水: |
これはよくわかります。練功(気功を練習すること)していると、身体と心の境界がわからなくなるというか、その境界部分が大きくなるというか、そんな感じがしますもの。 |
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寿: |
ニャはは、いいぞ、いいぞ。そういう状態のことを、気功では一般に「入静(にゅうせい)」と呼んでおる。ある種の瞑想状態じゃニャ。 |
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水: |
でも、けっこう練功を積まないとこの感覚は生まないような気がするんですが。 |
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寿: |
それは、ふつうの気功法ではの話じゃニャ。 |
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水: |
というと、ねこ気功は違うんですか? |
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寿: |
それが快眠☆ねこ気功じゃよ。めざめとねむりの境界を利用して、瞑想体験を身近なものにするんじゃ。 |
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水: |
でも、瞑想と睡眠は違うんじゃないですか? |
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寿: |
そこじゃニャ。このブックCDの狙いは、眠れば眠ったでよし、眠らなければ瞑想に入ればよし、というところにある。 |
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水: |
えーと… |
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寿: |
よいか、人間の意識状態というのは、けっして一定ではニャい。たえず揺れ動いておるものじゃ。 |
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水: |
たしかに。 |
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寿: |
睡眠も瞑想も、日常の意識状態から見ると特殊なものじゃが、途中までは方向が同じニャんじゃ。 |
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水: |
方向って? |
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寿: |
日常意識から「まどろみ」の方向へ向かうところまでは同じで、そこから瞑想と睡眠に分岐するんじゃニャ。 |
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水: |
はあ。 |
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寿: |
ただ、ことはそんなに単純ではなくて、まどろみから一気に睡眠に行く場合もあるし、瞑想方向と睡眠方向をウロウロすることもある。まどろみへ引き返すということもある。 |
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水: |
いわゆる「夢うつつ」というやつですか? |
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寿: |
その通り! それは文字通り「空想」と「現実」の境界ということじゃニャいか? |
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水: |
あ、なるほど! |
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寿: |
「めざめ」と「ねむり」の境界のような状態のときに「空想」と「現実」の境界世界のファンタジーを聞くと、人間は社会的制約やいわゆる常識というものから比較的簡単に解放されるのじゃ。 |
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水: |
それって、お母さんが子どもに童話を聞かせながら寝かすのと似てますね。 |
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寿: |
いいところに気がついたニャ。子どもはそもそもが気功的存在ニャんじゃよ。 |
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水: |
つまり身体と心が明確に区別できていないと? |
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寿: |
人間には心身未分化の領域というものがある。身体でもニャい、心でもニャいという領域じゃ。子どもは日常的にその領域に生きておるのじゃ。 |
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水: |
それを人為的に体験しようとするのが気功のトレーニングというわけですか? |
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寿: |
ほほう、いい線いっとるのう。しかし、それは気功だけじゃにゃいぞよ。ジャズの演奏もまた心身未分の世界ニャんじゃ。 |
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水: |
え、そっちへ行きますか! |
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寿: |
いきなりそんなことを言われても、はいそうですかというわけにはいかんじゃろうがニャ。 |
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水: |
そういえば「快眠☆ねこ気功」ブックCDで作曲と歌を担当しているユキイナバさんもジャズシンガーが本職でしたよね。 |
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寿: |
うむ。そして、ねこ気功の原理を姿勢や歌唱にも応用しようと勉強中じゃよ。 |
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水: |
気功って、実際にジャズにも応用できるんですね。 |
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寿: |
そのあたりに焦点をしぼって、この連載「ジャズ☆ねこ気功」では、気功的観点から人間の身体、意識、そして呼吸を考察し、ジャズ的コミュニケーションと関係させながら語ろうではニャいか。 |
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水: |
いいですね。よろしくお願いいたします! |
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寿: |
おっと、堅苦しいのはやめにしよう。いつも通り、
おもしろおかしく、エンタテイメントでいこうニャ。 |
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水: |
はいな! |
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|
(つづく) |
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