レッツスタート!Chapter.2
ハイノート講座編「Tongue Magic」
「ダブルハイCを楽々出そう!」を合言葉に、全国へ広がるハイノート講座タングマジック。ダブルハイCはチューニングで使う「ド」の2オクターブ上の実音Bbです。タングマジックは「舌を鍛える」ことを中心課題にしており、なるべく唇の意識を消すことを推奨しています。2007年4月には、舌の本格的トレーニング教本「フレックス・タング・ビルド」も出版されました。舌を使う練習法はこれまであまり知られていないため、理解されにくい面もあるようです。本連載では、タングマジックの入門編として、その背景やトレーニングを、エッセイ風にやさしく解説します。
タブー バックナンバー
ローキック
TM4X4(てぃーえむ・ふぉー・ばい・ふぉー)の第三カテゴリー「エアフォー(呼吸についての4項目)」のうち「ローキック」について説明しましょう。
金管でふつうには出ない低音域がペダルトーンです。トランペットの場合、五線下のF#(実音E)までが通常音域で、この下のF(実音Eb)からがペダルトーンです。その四度下のC(実音Bb)がペダルC(Bb)、そのオクターブ下がダブルペダルC(Bb)です。
ペダルはハイノートを開発するうえでもたいへん有効な練習法ですけれども、正しいペダルの練習法はほとんど伝わっていないのが現状。有益な練習であるにもかかわらず落とし穴が多い、それがペダルトーンです。
●間違ったペダルトーン
唇をゆるめて出す。
バズだけでピッチをとる。
長く吹き伸ばせる。
●正しいペダルトーン
唇をゆるめないで出す。
アゴを落とし口の中を大きくしてエアパワーで出す。
長く吹き伸ばせない。
唇をゆるめてペダルを出す人は、ハイノートでは唇を絞める傾向があるようです。つまり「唇で」音程を調節しようとする。しかしTMでは、音程を決める主舞台は「口の中」にあります。ハイノートもペダルトーンも、すべてアイコの上下運動とエアパワーで作り出します。
正しいペダルトーンを出すときもエアのキックが必要になり、これを「ローキック」と呼びます。
アでローキック
ペダルトーンの正しい練習方法は、TMの教則本ハイ・エア・ビルドを参照してください。
http://item.rakuten.co.jp/wellonshop/highairbuild-w/
タブーフォー TABOO 4
さて、TMにおいて注意しなければならない点を4つにまとめたのが「タブーフォー」です。
タブー1:禁断シラブル「魚」
使ってはいけないシラブルは「ウ」「オ」です。これらのシラブルを頭の中で思うと、舌のずっと奥の部分(舌根)が喉を絞めてしまい、コントロールがききにくいのです。喉を絞めたようなサウンド、こもった音は「ウ」「オ」のシラブルが原因の場合があります。
頭の中で「ド→ソ」のように歌いながら吹くと、口の中は「オ→オ」のシラブルを使う可能性が高くなります。低音→高音は「ア→イ」、高音→低音は「イ→ア」と歌う習慣をつけるのは、「オ」のシラブルを避ける意味もあります。
またタンギングするときも「トゥトゥトゥ」と発音すると「ウ」のシラブルで喉が絞まりがちです。低音は「タタタ」、高音なら「ティティティ」と発音してください。ダブルタンギングも「トゥクトゥク」ではなく、低音は「タカタカ」高音は「ティキティキ」でやりましょう。
タブー2:無駄なロングトーン
もし舌を開発したいのであれば、ほとんどのロングトーンは無駄な練習です。あまり舌が動かないからです。そして万一、ロングトーンがアンブシュアの安定や口輪筋の育成を目的としているのなら、それは無駄を通り越して「害がある」練習となり得ます。唇周辺の意識を高めてしまうからです。
TMではなるべく唇の意識を消し、舌へ意識を移動したいのですから、唇周辺を鍛えるのはタブーです。例外的に舌を開発するすぐれたロングトーンがないわけではありませんが、一般論としてロングトーンは「細心の注意が必要な」練習であり、正しい知識がないなら「あまりやらないほうがいい」練習です。
タブー3:危険なバズィング
 基本的にバズィングはたいへん危険な練習方法であることを自覚してください。不用意なバズィングは絶対にやってはいけません。バズィングには大きく分けて三種類あります。
a.リップ・バズィング
 → 唇だけでやるバズィング
b.マウスピース・バズィング
 → マウスピースでやるバズィング
c.リードパイプ・バズィング
 → マウスピースとリードパイプでやるバズィング
楽器を通さないでやるバズィングは楽器を通して演奏するのとまったく抵抗が異なるため、使われる筋肉が違うのです。バズィングという練習は、本来必要ない筋肉を鍛えてしまう可能性がきわめて高いため、やればやるほど楽器の上達を妨げる可能性があります。
さらにTMの観点からいえば、バズィングは唇の意識を高めやすいので、リップ・バズィングは厳禁、リードパイプ・バズィングやマウスピース・バズィングも、できれば禁止すべき練習と考えたほうがよいでしょう。
タブー4:アンバランスな体系
TMでは唇の意識を消し舌の意識を高めることを、トレーニング体系のすみずみにまで配慮しています。ところが、バランスのいい練習が必要だと考えて、舌も少し鍛え、唇も少し鍛え…とやってしまうと、それは結果としてアンバランスな練習体系になるおそれが大きいのです。
よいバランスとは、いろんなものをまんべんなく取り入れることではなくて、「中心」に置くべきものと「周辺」に配置すべきものを明確にし、排除すべきものはきちんと取り除くこと。それが適正なバランスへとつながるのです。
世の中にはたくさんの情報があふれていて、いろんな先生がさまざまなアプローチを提案しておられます。けれどもあらゆる方法には共通する「一般原理」があるはずです。一見まったく逆のやり方に見えるものでも、ひとつ高い次元から見れば人類に普遍する共通点が発見できるのです。
表面的な方法の違いや流行にとらわれてフラフラするのではなく、地球上の物体に働く物理学や人体の構造などに立ち返って、普遍的かつ合理的な原理を学んでください。
迷信、根性論、権威主義などにもとづく不合理な方法は上達をはばみ、学習者をかならず苦しめます。
複数の方法の「違い」に目を奪われることなく、それらの背後にある「共通点」を探す、つまり高い視点から戦略的にトレーニング体系を考えることをお薦めします。アンバランスな体系は、タブー中のタブーです。
タングマジックの連載は今回が最終回です。次回からは「音楽家の心身開発/ねこ気功」をお届けします。お楽しみに!
快眠☆ねこ気功
タングマジックの「ウォーター・トレーニング」を応用したのが「ねこ気功」。ベッドにころがってCDを聞きながら寝てしまうだけという超カンタン気功です。歌にあわせて呼吸法の練習ができる「パジャマで出かける呼吸旅行」を収録。毎日のトレーニングにぴったりです!
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著者Profile
水行末(すいぎょうまつ)
ハイノート講座「タングマジック」プロデューサー。「まま呼息の発見」「楽呼吸法 ~インナー・ウォームアップの方法~」
「ウォーター&ブレス」など呼吸法関連の論文多数。雑誌「楽器族。ブラストライブ」では「音楽家のためのメディテーション "ねこ気功" 入門」を連載中。合奏教育のための国際音楽プロダクション「ワールド・プロジェクト・ジャパン」代表。
http://www.wpjapan.com/
杉山正氏との共著に教則本「フレックス・タング・ビルド」 「ハイ・エア・ビルド」がある。
☆舌を鍛える本格的トレーニング集
「フレックス・タング・ビルド ~強靭で柔軟な舌を開発する~」
「ハイ・エア・ビルド ~音域5オクターブの開発~」
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カテゴリ一覧「自費出版」もしくは「店長おすすめ商品」から
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胸元にTMのキャラクター「ムサシ」が輝く気心地のよいシャツです。ハイノート練習のラッキーアイテムとしていかが?
 
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