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2007年10月に発刊された新しい教則本「ハイ・エア・ビルド ~音域5オクターブの開発~」では、金管演奏のポイントをTM4X4(てぃーえむ・ふぉー・ばい・ふぉー)という4分野16項目に整理して説明しています。 |
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今回はそのうち「リップフォー(唇についての4項目)」について解説します。 |
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リップフォーの第一はウエットです。唇はつねにウェットな(湿った)状態にしておきます。人体の粘膜部分は生命現象が活発に行なわれており、その前提として組織が十分に潤っている必要があります。唇もまた、ウエットな状態のときにもっとも機能すると考えられます。 |
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第二の上振下支(じょうしんかし)は、上唇と下唇の機能分担についてです。金管演奏においては、上唇の振動がメインで音が作られています。したがって上唇の自由度を高めることはたいへん重要です。 |
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したがってマウスピースのリムが上唇の振動を制約していないかチェックするとよいでしょう。一方、下唇でリムを支えることはたいへん有効です。 |
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ひとつの目安として、唇がマウスピースの上から2/3、下から1/3あたりに位置するようなポジションが基本となります。これが「上振下支」です。 |
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第三はパッカー。口を横に引く「スマイル」のアンブシュアは、マウスピースと歯の間で唇が薄くなるため、少し圧がかかっただけで唇を傷める場合があります。 |
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パッカーとは「すぼめる」という意味で、口を少し前へ突き出すことです。ロウソクの炎を吹き消すような強く速い息を出すとき、人間は自然に口をすぼめます。 |
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パッカーは身体の使い方としても無理がなく、マウスピースと歯の間で唇が厚いクッションのような役割を果たすので安全な形です。 |
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リップフォーの第四は、これがもっとも重要なのですが、唇を忘れること(フォゲット)。 |
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タングマジックは、意識を唇から舌へ移す長く困難な戦いといっても過言ではありません。ほとんどの金管奏者は、唇周辺にべっとりと濃い意識がこびりついており、日々の練習を通じて唇の意識をさらに高めようとしています。 |
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この「唇の意識」をいかに消すか。そして自分の意識をいかにすみやかに「舌」へ移動できるか。これがタングマジックの成否を握っています。唇に意識が残れば残るほど、舌の開発が遅れる可能性が高いからです。 |
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したがって、もし本気でタングマジックに取り組むのであれば、唇については「見ざる、言わざる、聞かざる」という三猿(さんざる)を徹底する覚悟が必要になります。唇を見ない、話題にしない、他人の情報も聞かないなど、とにかく唇について考えないことを徹底する。 |
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アンブシュアを鏡でチェックしたり、アパチュアを気にしたり、唇周辺の口輪筋を鍛えたり、そういう唇の意識を高める行為は一切禁止することが、結果として舌を開発する近道となるでしょう。 |
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特にいけないのが「舌も鍛える、唇も鍛える」という(一見バランスのよさそうな)練習方針です。これはもう、タングマジックとはまったく異なる内容になってしまいます。 |
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舌の鍛錬と唇の鍛錬は、相互にアクセルとブレーキの関係になるので、積み上げては崩し、積み上げては崩しを繰り返すことになりかねません。このような練習をすると、タングはけっしてマジックを起こしませんので十分に注意してください。 |
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唇については「ウエット」「上振下支」「パッカー」という3つのポイントを軽く確認するにとどめ、つねに意識を「舌」に置くようにしてください。 |
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つづく。 |
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