二年目に入って、トリオを組んでいいという許可をもらったので、僕は喜んで結成した。
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小曽根実トリオ、奥村英夫(ギター)、西野邦夫(ドラム)、僕。 |
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ギターの奥村英夫、ドラムは大阪管弦楽団にいた西野邦夫と一緒に組んだ小曽根実トリオがそれだ。ちょうどその頃に、「11PM」に6歳のまー坊も出演している。視聴者から「親が付いてて、こんな深夜の番組に出すとはなにごとや!」というお叱りを受けたのでよく覚えている。当の本人は、人前で演奏することが好きなので、まったく物怖じもせずに、トリオとともに世界残酷物語の「MORE」を弾ききった。
小曽根実トリオは大阪「11PM」の顔にもなった。面白かったのは、木曜日に大阪の局を飛び出して、全国の各地方局の制作で回ったこと。全クルーで旅行気分、札幌から九州までといろいろ回った。この話を細かく書き始めると、本が1冊書きあがってしまうので今回は省略することにする。
「11PM」では、あの時間帯にマニアックなジャズを聴かせてもしょうがないので、ポップスまで幅広く演奏した。僕らは演歌だけはやらないけれど、逆に言うと演歌以外はなんでも弾いた。そのせいで東京のジャズ屋には「小曽根はジャズじゃない」とも言われたが、僕にしてみたら当たり前の話だ。ちなみに「11PMトリオ」としてCDを一枚出したけれど、それは全く売れないままに終わった。
そして、「11PM」のレギュラーとして9年目を過ぎた頃、僕の頭には一つの考えが生まれていた。「アメリカに演奏旅行に行きたい」という夢だ。
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11PM時代の僕。写真は撮影でタイへ行った時のもの。40歳。 |
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